1出会い
著者初のファンタジー。うう、緊張するー。
どうぞ、お手柔らかにお願いします。
――えっと……。なんで俺の目の前に天使がいるわけ?
どうも、榎本十馬です。この都市の割と優秀な高校に2年間通っています。(ここに通うためわざわざ1人暮らしをはじめた。)校舎も大規模リフォームを行ったのできれいで、設備も充実しています。
僕はそんな高校の生徒会副会長を務めています。なにとぞ、よろしく……って!
そうだ!忘れてた。今起こっていることをありのまま紹介するぜ。
クラスメイトに「もてない」などと、散々愚痴を聞かされていた俺は、精神的にも肉体的にも疲れていたので、HR後、即座に下校しているのであります。そうしたら空から天使が降ってきた!
「まさか俺、いっちゃったの、か?」と、思い頬をつねってみるが、いたい。おそらく違うのであろう。
じゃあ、現実に天使が佇んでいる訳?……一体どうなっているの?
俺が困惑しているにもかかわらず、天使が口を開いた。
「あのー、あなたはだあれ?」
天使(お前)こそ何でこんなとこにいるんだ!と反射的に突っ込みたくなるのを抑え、
「……榎本十馬です。君は?」
何とか自己紹介できた。ふうー。よくやったぞ、俺!
「私は、アンジュです。天界生まれ天界育ちの天使、やってます!」
「知ってるよ!!」
あちゃー。ツッコンデシマッタ……。俺の突っ込み結構ぐさっと来ると言われるから控えめにしようと決めていたのに。
でもアンジュはへこたれているようには見えない。さすが天使様!性格も寛大なんだなー。
ありがとうございます、ありがとうございます。
「そういえばあなたはどうしてここに?」
「私ですかぁ?理由はですね――落ちてきました。」
「は?」
どどどういうこと?え、天界から?どういう体のつくりをしているのかって、天使か。羽なんかもついているわけだしと彼女の背中を見るが無い。……訳ではなかった。何やら襟足のところでひょこひょこ動いている白いのがあった。道理で地上から10mmくらい浮いているなーと思ったわけだ。
「小っちゃい!」
うわ!口が滑った。ほらアンジュも不信そうな眼を飛ばしてくるよ。
「あ、あの・・・・・・その、背中についている羽、可愛らしいですね。」
何とか褒めると彼女の顔がぱあっと明るくなった。
「本当ですか!見習い天使だからまだ羽が小さいでしょう。まさかそれを褒めてくれる人がいるなんて。うれしいです、ありがとうございます!」
「あのー、何で落ちてきたんですか?」
どうしてもその疑問が残る。何か天界でやらかしてきたのか?
「ちょっと恥ずかしいことなんですけどね。実は、人間界と天界を結ぶ扉が開いていまして。珍しいなあ~と思って扉の近くに駆け寄ったのですよ。そうしたら、扉の近くの小石につまずいて……。」
さっきから話を聞いていてやっぱり天使だけあって美声だなーと思ったが、もしかしてどじっ子なのか、この子は。
「ということでですね、天界への扉一緒に探して!」
「へ?!」
今一緒にと言わなかったか?この天使。
「そこんとこ、お願いしますよ!トーマくん。」
めっちゃ純粋な目を輝かせて懇願してくる彼女。やめろ、やめろ!そんな目をこっちに向けるな!
結局彼女を振り切れず、仕方なく天界への扉を探す羽目になった。
「……で、君。扉探しはいいけど寝床探しはしないの?」
俺がぼそっとつぶやいた言葉に過剰反応するアンジュ。
「あ、どうしようトーマ助けて。…はっ、ごめん、呼び捨てしちゃった。」
そういって顔を赤く染めるアンジュ。なかなか可愛い。
「いいよ、むしろそう呼んでくれるとうれしいな。」
回ってきたチャンスは逃さない。これって結構大事だと思う。今度、“モテないあいつ”にでも教えてやるか。
「私も呼び捨てしてね!よし、決まった!」
むふーと鼻息を荒くさせるアンジュ。どうしたんだ?
「トーマの家に寝泊りする!」
「え」
何その急展開!天使が家に住み着いてるってどうよ。1人暮らしだから事情を説明しなくても歓迎することは出来るけど、食費も掛かるし。
「ねえねえいいでしょう?」
うむむ、そんな顔するなんてマジ反則だし。まあ、バイト代でどうにかなるかな。
「分かった。一緒に暮らそう。とりあえずアンジュは川島杏樹、俺の親戚ってことでな。天使だってこと言うなよ。」
「はーい!」
俺の提案に元気な返事と笑顔が返ってきた。これらが毎日見られるならそれでもいいかもな。
こうして高校男子とどじっこ天使の奇妙な日常が始まった。 (続く)
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あとがき長くなっちゃいましたね。
いやーファンタジーって難しいですね。でも、人物の設定や世界観を決めるのは楽しいです。
ここまでありがとうございました!