表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

ラインの黄金・前奏曲

 はじめに音楽があった。虚無と混沌との長い長いせめぎ合いの果てに、ようやく思想が紡がれた。

 音楽は肉体と共にあり、やがて音楽と肉体とは溶け合った。音楽は肉体になったのである。また、音楽は運動でもあった。その運動を律する思想は骨である。肉体は骨に先立つ。再び長い対立の後、骨は肉体に内包された。

 こうして思想を内包した音楽によって、世界は劫火に包まれるべく回り始めた。それ自体が太陽となるために、百億の永遠を生きるために。始まりがあれば終わりもある。終わらない音楽というものがあるとすれば、それは最早音楽ではない。

 とすれば、語るべきことは何もない。語ったところで、それはいずれ灰となるのだから。それでも結末に救済があり得るのだと信じるなら、ここに物語を提示しよう。

 そう、音楽は流れ始めている。






 僕は夢を見た

 ひどく断片的で統一性のない普段の夢とは違って一貫したストーリーのある具体的な夢だった

 僕は洋館の扉を開けて大広間に入る

 いや厳密にはそれが僕の視点なのか他の誰かの視点なのかは分からない

 とにかく大広間に入ったところで一人の女性に出会った

 それは長方形の手足を持ち逆三角形の胴体が丸い頭部を支えているそんな女性だった

 僕は"それ"を女性と認識したのだ

 女性の手に引かれて中央の大階段を上る

 すると同じように構成された幾人もの人物が僕を迎えてくれた

 同じような見た目でありながらそれぞれをはっきりと識別できるのだ

 そうして階段の上で待ち構えていたのは山高帽子を被った人物だった

 山高帽子の人物だけは性別が分からない

 不可解な事態にひどく混乱してふと誰かに呼ばれたような気がしたのですがるような気持ちで後ろを振り向いた

 顔を黒く塗りつぶされた僕がそこにいた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ