一ヵ月
一ヵ月…それは短いようで長いようで……
「付き合ってください」
そう言った俺。少したって
「うん」
と一言。 うれしかった。ただうれしかった。これから楽しいことがずっと続くと思った…。
告白の次の日彼女から聞かされた。
「ホントは私好きな人がいたの。もう1年以上も。その人のことまだ忘れられないの。」
正直ショックだった。でも、俺はそれでもいいと思った。それだけ好きだった。たった一人の大切な人だから…。俺はそう伝えた。 すると彼女は
「ありがと。がんばって忘れるから。」
この言葉を聞いて安心した。
それから俺たちは順調に付き合っていた。毎日何十通というメールのやりとり。夜中の電話。そんな事が楽しかった。たくさんお互いを知ってもっと好きになった。こんなことがずっと続くと思ってた。でも、終わりは早かった………。
付き合いはじめて一ヵ月がたった頃。ある日彼女が突然
「やっぱり私好きだった人忘れられてないみたい。このままだと、あなたを傷つけることになる。だから私続ける自信がない……。だから別れよ。」
俺は何も言えなかった……。
「それでもいい。俺はずっと一緒にいたい。」
って言いたかった。でも言えなかった…。彼女を悲しませることになるから……。 だから俺は
「いつでも戻ってこい。ずっと待ってるから。」
そう言った。 彼女は泣いていた。 その涙は今でも忘れられない。
これでよかったんだよ。アイツが幸せになれるんなら。俺はそう自分に言い聞かせた。でももしチャンスがあるならもう一度………。なんて考えたりもする。だけどもう彼女はいない………。
ありがとう。こんな俺と付き合ってくれて。ありがとう。好きにならせてくれて。ありがとう……。お前を好きになってよかった。
たった一ヵ月。でもこんな気持ちになれた。こんなに大きなものを俺に残してくれた。ホントにありがとう。
最後にやっぱり俺はお前が好きみたいだ…………