新社獣ハンター 代議士と宗教団体の闇を暴け!
この物語は、現代社会の闇に挑む者たちの記録である。
政治と宗教、権力と欲望――それらが絡み合い、時に人々を苦しめ、時に命を奪う。だが、その闇を切り裂く存在がいる。
社獣ハンター。
彼らは「社会を混乱させる害獣を駆除する」ために結成された精鋭部隊だ。冷静沈着な首領・伊田裕美を中心に、知性と美貌を兼ね備えた五十嵐いづみ、若きアシスタント青島美香、そして情報工学の達人・暗号屋。彼らはそれぞれの力を駆使し、権力の裏に潜む腐敗を暴き出す。
この物語はフィクションである。しかし、そこに描かれる人間の欲望や欺瞞、そして正義を求める声は、現実の社会にも響いている。読者の皆様には、この物語を通じて「闇を暴くことの意味」を感じ取っていただきたい。
【社獣ハンターのメンバー】
社獣ハンターとは、「社会を混乱させる害獣を駆除する」ために結成された精鋭部隊である。
• 伊田裕美
黒髪ショートカットにスーツを纏う首領格。格闘技の天才であり、必殺技「飛燕真空回し蹴り」で数多の悪人を沈めてきた。冷静沈着、頭脳戦と肉体戦を兼ね備えた存在。
• 五十嵐いづみ(いがらし いづみ)
女優・山岸あや花を思わせる美貌を持つスタッフ。身長175cmの痩身、知的な雰囲気を漂わせる。セクハラ社獣を罠にかけることを得意とし、今回から黒縁メガネを装着。視力は良好だが、中央に仕込まれた小型カメラで全てを記録している。
• 青島美香
アシスタントとして伊田と五十嵐を尊敬し、彼女たちを支える若きメンバー。
• モニター上のインターフェース
社獣ハンターに確実な情報を伝える、クリーンで信頼性の高い通信システム。
• 暗号屋
情報工学の専門家。盗聴や盗撮を駆使し、伊田裕美らを援護する。デスクはモニターと機材で埋め尽くされ、最新情報を解析し続ける。
第一章:雷鳴の議員会館
国会議員会館の一室。
窓の外では、黒雲が低く垂れ込め、激しい雨がガラスを叩き続けていた。時折、雷鳴が空を裂き、白い閃光が室内の壁を一瞬だけ照らす。そのたびに、重厚なカーテンの影が揺れ、部屋の空気はさらに緊張を帯びていく。
テーブルの前に座るのは、一人の若い女性。
佐藤たむえ――新人の衆議院議員である。
紺色のスーツに身を包んだ彼女の姿は、嵐の夜にあっても揺るがぬ意志を映し出していた。肩のラインがきりりと立ったジャケットは、控えめながらも毅然とした存在感を放ち、胸元には細身のグレーのネクタイが結ばれている。女性がネクタイを締めることは珍しいが、彼女にとってそれは単なる装飾ではなく、自己表現の象徴だった。
黒縁の眼鏡の奥に覗く瞳は、曖昧さを許さぬ鋭さを宿している。前髪は額にまっすぐ落ち、短く整えられた髪は几帳面さと冷静な判断力を物語っていた。微笑めば親しみやすさを感じさせるが、沈黙の時には空気を張り詰めさせる力を持つ。彼女の存在は、言葉を発する前から部屋の空気を変え、相手に敬意を抱かせるのだった。
机の向かいには雑誌社の記者が座り、ICレコーダーが赤いランプを点滅させている。
「宗教法人だけ無税なんて、おかしいですよね」
たむえの声は落ち着いていたが、雷鳴に負けぬほどの力を帯びていた。
記者は頷きながら問いを重ねる。
「最近、消費増税の話を聞いたんですが」
たむえは眼鏡の奥で視線を鋭くさせた。
「そうです。財務省と、その子飼いの議員たちが消費税を30%に引き上げようとしています。とくに元総理の野太鼓佳彦、そして子分の蛭田満一が動いている。10%を30%に――許せますか?こんな暴挙!」
記者は思わず身を乗り出し、声を震わせた。
「ぜひ、彼らを粉砕してください」
外では雷鳴が轟き、雨脚がさらに強まった。
国会の嵐
数日後、国会。
テレビカメラの前に立つ佐藤たむえの姿は、嵐の夜のように人々の心を揺さぶった。アイドル的な容姿を持つ彼女は、信者のように熱狂する支持者を増やしていた。だが、その美貌以上に人々を惹きつけたのは、彼女の明快な主張だった。
• 消費税廃止
• 宗教法人への課税
• 財務省一省庁支配の打破
この日、彼女は財務大臣・富永彰を徹底的に追及した。
議場の空気は張り詰め、富永は脂汗を流しながらタオルで額を拭き続ける。答弁はたじたじで、傍聴席からはざわめきが広がった。佐藤の言葉は一つ一つが鋭い刃となり、財務省の牙城を切り崩していく。
闇の帰路
夜の議事堂を後にした佐藤たむえは、黒い傘を差しながらマンションへと向かっていた。
雨は昼間よりもさらに強まり、街灯の下で水滴が銀色の糸のように垂れ落ちる。舗道には水たまりが広がり、車のヘッドライトがその表面を白く照らしては、波紋を走らせていた。
彼女の足取りは速かった。国会での激しい追及の余韻がまだ胸に残っている。富永大臣の顔に浮かんだ脂汗、答弁のたじろぎ――それらは確かな手応えであり、彼女の闘志をさらに燃え上がらせていた。
「必ず、宗教法人への課税を実現する。財務省の支配を打ち破る」
心の中でそう誓いながら、彼女は濡れたアスファルトを踏みしめる。
しかし、その夜の街には奇妙な静けさが漂っていた。雨音と車の走行音以外に、人の気配がほとんどない。マンションへ続く道は、まるで彼女だけを狙うかのように暗く、長く伸びていた。
交差点に差しかかった瞬間、強烈なライトが視界を覆った。
「――!」
反射的に身を引こうとしたが、次の瞬間、轟音とともに身体が宙を舞った。傘は弾き飛ばされ、アスファルトに叩きつけられる。雨に濡れた地面が冷たく、視界は揺れ、世界がスローモーションのように遠ざかっていく。
通りすがりの人々が駆け寄り、叫び声が雨音に混じった。だが、車の運転席から現れたのは、呆然とした表情の男――小島弘之。警察はすぐに「知的障害者による単純な運転ミス」と断定した。
だが、現場に居合わせた者の中には、違和感を覚える者もいた。
ブレーキの痕跡は不自然に短く、車の進入角度も奇妙だった。まるで、彼女を狙い澄ましたかのように――。
雨は止む気配を見せず、街灯の下で佐藤の傘だけが無惨に転がっていた。
その傘の黒い布地は、まるで闇そのものが形を取ったかのように、濡れた路面に張り付いていた。
第二章:銀座の影
社獣ハンターを動かしているのは、政府の要人である。
彼はいつも翁の面をつけて事務所に現れるため、素顔を知る者は少ない。
その異様な姿に、ハンターの面々は陰で「ブタッキー」と呼んでいた。体格が丸々としているからだが、本人は「タッキー&翼のタッキーに似ている」と豪語して憚らない。
この夜、翁面の男は彼らに新たな調査を依頼した。
佐藤たむえの不審死――そして、蛭田満一議員と宗教界の影の癒着。
「この二つの線を追え。真実は必ず繋がっている」
翁面の声は低く、湿った響きを持っていた。
【蛭田満一という男】
蛭田満一、六十代。
寒々しくなった髪を黒々と染め上げ、若作りを装う衆議院議員。自称「登山家議員」としてYouTubeチャンネルを運営し、山頂からの映像を誇らしげに配信している。だが裏では、パワハラが酷く、秘書の入れ替わりは日常茶飯事。
その日も新しい秘書がやって来た。
青島美香――社獣ハンターのアシスタントである。
彼女が秘書として潜り込んだ瞬間、蛭田の周囲にハンターの影が差し込んだ。
【銀座の夜】
夜の銀座。ネオンが雨に濡れた舗道を照らし、街は煌めきと欲望に満ちていた。
蛭田は黒塗りの車を降り、クラブ「ゴージャス・エレガント」へと足を踏み入れる。車内では美香が運転手と共に待機していた。彼女の眼差しは冷静で、蛭田の一挙手一投足を記録する小型カメラが胸元に潜んでいた。
クラブの中は豪奢なシャンデリアが輝き、甘い香水と煙草の匂いが混じり合う。蛭田はバーボンを片手に、隣に座るラウンジ嬢の身体を無遠慮に触りながら説教を垂れる。
「君たちも努力が足りないんだよ。政治も、女も、結局は根性だ」
その言葉に嬢は苦笑を浮かべるしかなかった。
やがて、クラブのママが一人の女性を連れてきた。
女優・山岸あや花に似た美貌を持つ女性――五十嵐いづみ。
「いづみちゃんです」
「こんばんは、先生」
蛭田は一目で心を奪われ、ママの耳元に囁いた。
「いくらならいい?」
ママは微笑みながら首を振る。
「先生ったら、いづみちゃんはそういう子じゃありませんよ」
蛭田はなおも食い下がる。
「お持ち帰り料金はいくらだ」
いづみは静かに笑みを浮かべ、柔らかくかわした。
「今日はだめです。でも、今度は素晴らしい場所でお会いできるかもしれませんね」
その言葉に蛭田は満足げに頷き、酔いを深めていった。
バーボンのグラスが空になる頃、彼は千鳥足でクラブを後にした。
【駐車場の影】
銀座の駐車場。
雨に濡れたアスファルトが街灯に照らされ、蛭田の足取りを映し出す。
車の前では運転手と秘書の美香が待っていた。彼女は眼鏡の奥で冷静に蛭田を見つめ、心の中で呟いた。
「この男の夜は、必ず記録される。社獣ハンターの調査は、ここから始まる」
蛭田は満足げに笑いながら車に乗り込む。だが、その背後には、銀座の夜よりも濃い影が忍び寄っていた。
第三章:裕美、囮になる
議員会館の一室。
重厚なカーテンが閉ざされ、外の光は遮られている。蛭田満一は革張りのソファにふんぞり返り、足を組み、まるでこの部屋が自分の王国であるかのように振る舞っていた。机の上には高級な万年筆と分厚い資料が散らばり、しかし彼の視線はそれらには向けられていない。
向かいに座るのは、週刊誌の記者を装った伊田裕美。
紺のスーツに身を包み、黒縁の眼鏡が知的な印象を与えている。彼女の姿勢は正しく、声は落ち着いていたが、その奥には鋭い刃のような緊張が潜んでいた。
「先生は官僚時代、財務省のホープだったそうですね。しかし今は、消費税を10%から30%に増税しようとする財務省の手先……そういう人もいるようですが」
蛭田は大きな声で笑った。
「ははは、誰だそんなことを言う奴は?私は日本の将来を憂いているんだよ。そのために、まずは10%から30%へ。将来的には75%くらいがいいじゃないか」
裕美は眼鏡の奥で視線を鋭くさせた。
「そんなに国民をいじめて……率直に伺います。そこまで消費増税に熱心なのに、宗教団体の無税をどうして改革しないのですか」
蛭田の顔に不快の色が走る。
「宗教団体の無税から有税にするのは……これは大変だよ、君」
「蛭田先生と宗教団体には密接な関係があると聞きましたが」
その言葉に、蛭田は椅子から勢いよく立ち上がった。
「何を言っているんだ。本当に失礼な人だね」
その瞬間、秘書の青島美香が静かに部屋へ入ってきた。
「先生、もうお時間です」
彼女は冷静に裕美へと視線を向ける。
「伊田さん、申し訳ございませんが、先生はこの後、中国人留学生の安全に関するシンポジウムに出席されますので」
裕美は軽く会釈し、部屋を後にした。
蛭田は彼女の背中が完全に見えなくなるのを確認すると、すぐに電話を取り上げた。
【闇の通話】
受話器の向こうに現れたのは、宗教団体を一手に仕切る闇の男――清吾明男。
あだ名は「肉坊主」。スキンヘッドに黒いスーツを纏い、その存在はまるで影そのものだった。
「ちょっと調査をして欲しいんだ。◯◯出版社の週刊誌の記者、伊田裕美という。どうも我々の関係を知っているようだ」
肉坊主の声は低く、湿った響きを持っていた。
「いや、それはどうかな。この間の佐藤たむえも我々を調べていた。将来の禍になると思い、始末したが……」
蛭田は声を潜める。
「このことが知られるとまずい。芽は小さいうちに摘むのが一番良策だ」
「まあ、調べてみて、必要なら消しちゃいますよ」
肉坊主の大きな笑い声が受話器越しに響き、通話は唐突に切れた。
【秘密の録音】
そのやり取りを、影に隠れて青島美香がすべて録音していた。
彼女の眼鏡の中央に仕込まれた小型カメラが赤く点滅し、蛭田の言葉を余すことなく記録している。
「何も知らずによくお話になりますね」
美香は小声で呟き、冷静な表情のまま録音データを保存した。
議員会館の一室に残されたのは、重苦しい沈黙と、闇に繋がる証拠の断片だった。
第四章:伊田裕美危機一髪
肉坊主は苛立っていた。
調べ上げたはずの「週刊誌記者・伊田裕美」という人物は、どこにも存在しない。名簿にも、出版社の社員名簿にも、その名はない。
「騙しやがって!」
地団駄を踏み、分厚い靴底が床を震わせる。彼の怒りは、蛭田と宗教界の闇を守るための執念に変わり、標的は完全に裕美へと定まった。
だが、彼女の正体は依然として掴めない。そこで肉坊主は蛭田を使い、巧妙な罠を仕掛ける。
【ホテルの罠】
都心の高級ホテル。
厚い絨毯が敷かれた一室に蛭田満一が待っていた。窓の外には夜景が広がり、煌めく街の光がガラスに反射している。
「失礼します。〇〇出版社の伊田です」
裕美は落ち着いた声で部屋に入った。紺のスーツに黒縁の眼鏡、その姿は知的な記者そのものだった。
蛭田はにやりと笑い、手を広げる。
「おお、よく来てくれたね。この前はすまなかったね」
「いいえ」裕美は淡々と応じる。
蛭田は机の上に置かれたカップを示した。
「ここのヴェトナム式コーヒーはうまいんだよ」
秘書の青島美香が静かに入ってきて、銀のトレイに載せたカップをうやうやしく置いた。
「青島くん、駐車場で待っていてくれ」
「はい、先生」
美香は一礼し、部屋を後にした。
裕美は差し出されたコーヒーを口にした。苦味と甘味が混じる独特の風味。だが蛭田の心の中では別の言葉が響いていた。
「馬鹿な奴……これはこの世のお別れコーヒーだ」
一分も経たぬうちに、裕美の身体は力を失い、床に崩れ落ちた。
隣室の扉が開き、肉坊主の一味が姿を現す。黒いスーツに身を包んだ五人の男たちが、無言で大きなボックスを運び込み、裕美を押し込める。重い蓋が閉じられ、彼らは部屋を後にした。蛭田も満足げに笑いながら、青島と運転手の待つ車へ戻っていった。
【晴海埠頭の決闘】
深夜の晴海埠頭。
風は強く、波は荒れ狂い、岸壁に打ち付ける音が夜の静寂を切り裂いていた。街灯の下、肉坊主一味は車のトランクを開け、裕美を引きずり出そうとしていた。
その時、闇の中から一人の男が現れた。
筋肉質の体躯、鋭い眼差し――社獣ハンターの暗号屋である。彼は裕美が持っていたGPS発信機を頼りに、この場所を突き止めていた。
「ふふふ……全てこちらの思う壺だ」
暗号屋の声は低く、確信に満ちていた。
銃とナイフを構える肉坊主の手下たち。だが次の瞬間、裕美が目を覚ました。
飛燕真空回し蹴り――彼女の必殺技が炸裂し、銃を持つ男の手を蹴り上げる。金属音が夜の港に響いた。
裕美と暗号屋、二人の戦士が肉坊主一味に立ち向かう。
裕美は格闘技の天才として、次々と敵を倒し、暗号屋は冷静にナイフを捌きながら男たちを制圧していく。
数分も経たぬうちに、五人の男たちは地面に転がり、完全に捉えられていた。
裕美は息を整え、暗号屋に視線を送る。
「ふふふ……あとは蛭田だけね」
港の風が二人の髪を揺らし、夜の闇は次なる戦いを予感させていた。
第五章:破滅への道のり
夜の銀座。
ネオンが煌めく街に、蛭田満一は足を運んでいた。クラブ「ゴージャス・エレガンス」の扉を押し開けると、豪奢なシャンデリアが輝き、甘い香水と煙草の匂いが混じり合う。
「今日はお持ち帰りいいかい」
蛭田が低く囁くと、五十嵐いづみは言葉を発せず、ただ静かに頷いた。
閉店の時刻、二人は店を後にする。運転手は今日は同行していない。駐車場の車には青島美香だけが待機していた。彼女がハンドルを握り、後部座席には蛭田といづみが並んで座る。
しばらく走ると、蛭田が不安げに声を荒げた。
「ここはどこだ、どこへ行くんだ!」
いづみは冷ややかに答える。
「大人しくしていなさい、満一さん」
次の瞬間、彼女の手が閃き、蛭田の首筋に当身が入る。蛭田は呻き声を上げる間もなく、意識を失った。
【廃屋の裁き】
東京郊外、山中の廃屋。
風が吹き抜け、屋根の隙間から月光が差し込む。蛭田は椅子に縛られ、目を覚ました。周囲には肉坊主一味が座ったまま縛られている。黒い影のように彼を取り囲んでいる。
「ここはどこだ……」
蛭田は隣に座る肉坊主を足で蹴り、叫んだ。
「おい!肉坊主、起きろ!起きろ!」
その瞬間、闇の奥から声が響いた。
「お目覚めね。蛭田代議士に肉坊主さん……あなたがたの癒着を話してもらうわ」
蛭田は顔を歪める。
「なにをだ」
彼らの前には火薬の山が積まれていた。導火線が伸び、その先に青島美香が立っている。彼女は無言で火を灯し、炎がじわじわと近づいていく。
「さあ、話しても話さなくてもいいわ。死ぬか助かるか好きな方を選んでね」
声は冷酷に響いた。
蛭田は必死に叫ぶ。
「肉坊主、言うな!言うな!」
しかし、肉坊主の手下が耐えきれず口を開いた。
「俺は肉坊主の指示で佐藤たむえをやったんだ。そして、知的弱者の小島を犯人に仕立て、自首させたんだ!」
炎が迫るにつれ、次々と自白が飛び出す。恐怖に駆られた者たちは、過去の悪事を競うように吐き出していった。
そのすべてが、カメラに収められていた。
映像はリアルタイムでYouTubeにライブ配信され、同時にSNSで拡散されていく。
SNSの反応
• 「これで終わりだな。悪徳代議士蛭田満一」
• 「宗教団体との癒着、全部証拠付きで出てきた。もう逃げられない」
• 「佐藤たむえの死はやはり陰謀だったか……怒りで震える」
• 「社獣ハンター、よくやった!国民の代わりに闇を暴いてくれた」
• 「政治家も宗教も腐ってる。けど、真実は隠せない時代になった」
炎の光が廃屋を赤く染める中、蛭田と肉坊主の悪事は世間にさらけ出された。
その瞬間、彼らの権力は音を立てて崩れ去り、闇に隠された真実は白日の下にさらされたのだった。
第六章:エピローグ ― 驚きの再会
青梅中央病院の一室。
白い扉の表札には「佐藤たむえ」と記されていた。
裕美は花束を抱え、静かに扉を開ける。
その瞬間、目に飛び込んできた光景に思わず息を呑んだ。――そこに、佐藤たむえが生きていたのだ。
「……佐藤さん!」
驚きと安堵が入り混じった声が病室に響く。
ベッドの上で微笑むたむえは、まだ顔色は薄いが、確かに生きていた。
「裕美さん……本当に、ありがとうございました」
その言葉に裕美は花束をそっと置き、深く頷いた。
「佐藤さんをこんな目に合わせた蛭田と宗教団体の請負人・清吾は捕まったわ。でも宗教法人への課税は、私たち社獣ハンターにはできない。だから、あなたに頑張ってもらわなくちゃ」
たむえの瞳に涙が浮かぶ。
「がんばります」
裕美は小さな紙袋を差し出した。
「これは上島珈琲店のラテ。美味しいから飲んでね」
たむえはその温かい心遣いに、堪えきれず涙をこぼした。
【駅へ向かう人影】
病院を後にした裕美は、夜の街を歩いていた。
手には自分用のラテ。ストローを咥えながら、駅へと向かう。
今日は珍しく黒のダウンジャケットに白のデニムを合わせていた。戦士の顔ではなく、一人の女性としての姿。街灯に照らされたその後ろ姿は、軽やかでありながら、次なる闇を暴く決意を秘めていた。
「人は生きている限り、希望を繋げられる」
裕美の心に浮かんだその言葉は、静かな夜に溶けていった。
(完)
物語は終わりを迎えた。だが、社獣ハンターの戦いは決して終わらない。
蛭田満一や肉坊主のような存在は、時代を越えて形を変え、再び現れるだろう。そのたびに、裕美たちは立ち上がり、闇に挑む。
伊田裕美という人物は、ただの戦士ではない。冷静な頭脳と格闘技の技を持ちながら、人に寄り添う温かさを忘れない。花を手に病室を訪れ、ラテを差し出すその姿は、正義の象徴であると同時に、人間らしい優しさを体現している。
この物語を閉じる今、読者の心に残るのは「闇を暴く勇気」と「人を思いやる力」だろう。
社獣ハンターの物語は、フィクションでありながら、私たちの社会に問いを投げかける。
――闇は必ず存在する。だが、それを切り裂く光もまた、必ず存在するのだ。




