第4話 次兄は型通りの剣が振れない。
あれから、2ヶ月、人には二次性や魔力がある事を知った俺は、悩む日々を送っていた。
家族にはかなり心配された、まずアルバとハルトが父親にエリスが病気なんじゃないかと騒ぎ、父のヒューザが家長に領内の医師を全て呼べと命じ、母のアズがメイド長にベッドまで運ばせ俺を寝かしつけた。
医師の問題なしの診断結果を聞くまで家族は俺の部屋から出ることは無かった。
「(魔力はいいんだが)もし、ぼくが、おめがだったら、に、にんしんしちゃうって、ことだよね?」
元いた世界では、子供を妊娠から出産までは、女性が担っていた(俺は彼女はいなかった)がこの世界では、男性Ωでも、妊娠出産が可能って事
「なやんでいても、しかたないね、おそとのくうき、すいにいこ。」
部屋からでて、屋敷の外をうろついていると、訓練所と思われる場所で次兄が木刀を振っていた。
「あれ?ハルトにぃさま?」
「うん?おぉ!エリスどうした、こんな所まで来るなんて。」
「あぃ、おうちの、そとたんけんしてました。」
「悩み事か?それなら体を動かすといい!動かすことによって小さな悩みはすぐに消える!」
「ハルトにぃさまは、にじせぃのけんさ、どーでした?」
「二次性検査の結果はαだったぜ、それがどうかしたか?」
「ううん、ぼくね、おめがだったらどーする?」
「エリスがΩだったら?そーだな、俺は嬉しいな、だってエリス今ですら可愛いのに更に可愛くなって父様は嫁には出さないって騒ぐと思うなぁ、それに今からそんな心配しても、仕方ないって、それに俺たち家族はエリスがどんな二次性だったとしても大切な家族だからな。」
「(見た目は2歳中身はアラサーだけどね)そっか、そうだよね、ぼくハルトにぃさまみたいに、いっぱいからだうごかすぅ!」
それからハルトと沢山体を動かし気がついたら自室のベッドで寝ていた。
「(言う通りだったな、体動かせば今まで悩んでいたことがスッキリした。前世でも運動してた方が良かったのかもしれない)はっ!なやむのきんし!!」
外はまだ日が高く、そろそろお昼と思われた。
「エリス様起きていらっしゃいますか?」
「おきてるよ、はいって。」
「失礼します、そろそろお昼のご用意が出来ますので、着替えて食堂に参りましょう。」
「うん、ありがと。」
メイドに着替えを手伝ってもらい、家族が待つ食堂へ向かった。
ラハムート家では、家族が揃って食事をすることが常にらしい。(他家では1人だったり自室で取ったりするらしい。)
「お?来たね我が家のお姫様、昨日より可愛い顔さらに可愛くなっているよ。」
「ありがとーございます、とうさま、ぼく、ハルトにぃさまとからだ、うごかしてたら、スッキリしました!」
「うんうん!いい事だ!些細な悩み事は忘れてしまうが1番だ!それにハルト、お前また授業抜け出したな?」
ハルトは口に頬張っていた物を詰まらせたらしく、コップにあった水を一気に飲み干した。
「父様も先程言ってたじゃないですか、些細な悩み事は忘れろってだから、俺も勉強と言う些細な悩み事は忘れることにしました!」
「はぁーお前と言う奴は。」
「まぁまぁ、いいじゃあありませんか、旦那様、ハルトにはこの領地を守ってもらうことに致しましょ。」
「アズがそう言うなら、そうだ、アルバお前に合わせたい令嬢がいるんだ、近々連れてくるから、覚えておくように。」
黙々と食事をしていた、アルバもハルト同様に水を一気飲みしてた。
食事が終わり俺は、ハルトとの剣の授業を見学していた。
「ねぇーなんで、ハルトにぃさまは、せんせぇーのやりかたがちがうの?」
俺の問に剣術指南の先生は「ハルト様は今までの先人達の技よりも、独学で編み出した技を使いたがるのですが、その独学の技も毎日違うので困ってます」
と盛大なため息をつかれ、俺にはどうしようも無かった。
ハルトは剣に関しては天才的なかわり勉学に関しては教科書を見たら2秒で寝息が聞こえてしまうくらい、勉強が無理。