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エルフ

 近未来、再生医療と老化防止技術の発達によって、人間は老化を完全にコントールし、基本的に自然死や病死をする事は無くなった。もちろん事故などによる外傷での死は起こりうる。


 寿命が無くなる事で少子化問題や、労働力不足は解決する。但し事故死や戦争による死亡などは一定数発生するので、子供を育てる家庭も少ないながら存在する。


 老化をどこで止めるのかは本人の意思で決める事が出来る。老化の進行を止めたいと思ったところで老化防止薬を注射するのだ。その後年に一度注射を繰り返す事で、投与を始めた年齢のままで老化は止まる。但し成長期の子供への投与は法律で禁じられていて、解禁されるのはニ十歳からである。


 なのでニ十歳で老化を止めるものが一番多く、街は見た目がニ十歳の若者であふれている。実年齢は本人が申告しない限りは分からない。老化防止薬は高価であるが、各国共に労働力の維持と税収の安定の為に、補助を出していて原則無料で投与する事が出来る。そうして人は永遠に働き続ける。当然定年という考え方もない。


 しかし中には自然の老化と、死こそが尊いという思想の元、一切注射をすることなく高齢化して行く者もいる。その人々は、自分達とは違い永遠に生きる者たちの事を、エルフと呼ぶようになった。


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