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アンジー 冒険者ギルドにご報告

2話目

 ーーー サイド アンジー ーーー


 あの後グレアム君と別れた私達は、帰還転移魔石を使い地上に戻って来ました。


 報告のために冒険者ギルドに行きます。


 解散したそうにしている男の子3人組も一緒に向かわせます。

 報告が終わった後は話したい事が有るからね。


 冒険者ギルドの建物は、北門から入ってすぐの広場に有ります。その一角の中では一番大きくて立派な建物です。


 玄関はいつも開けっ放しになっています。ダンジョンが有るせいで朝も夜も関係ない、不眠不休営業です。

 その代わり彼らは高給取りです。

 まあ、一応3交代制になっているそうですが。

 どっちにしろブラック企業ですよね。


 男が人組にはギルドに併設されている食堂兼酒場で先に食事でもしてもらって、報告が終わるまで待ってて貰います。


 顔なじみの受付のお姉さんミルマさんの処へ行き小声でギルドマスターに報告が有ります。と、取次をお願いします。


 おねーさんも心得たもので、『グレアム君関係?』と、小声で聴いて来て、私がうなずくと、私たち3人を伴って3階に向かいます。


 受付は暇そうにお喋りしていた後輩を無理矢理とっ捕まえて来て代わりに座らせています。


 『私まだ休憩中なのに~。』と小声でブツブツ言ってますが素直に受付を変わります。笑顔が引きつっていましたが。


 3階の奥の重厚そうなドアをノックして、おねーさんが中に向かって、「ギルマス、アンジーちゃんがお話が有ると来てますよ。」と声を掛けるとタイムラグ無しにドアが開きます。


 有無を言わせずに部屋の中に引き入れられた私たちが見たのは、いつの間にかテーブルの上に置かれた湯気の立った5つのお茶のカップと色々なお菓子の沢山乗ったお皿と。向かいに座ってニコニコしているおじいちゃんギルマスと並んで座りお菓子に手を伸ばしている受付のおねーさんです。


 ギルマス、何時の間にお茶を用意したの?

 それにおねーさん何時の間に向かいに座ったの?

 確か私たちを先に部屋に入れたよね。後ろに居たはずなのに、どうやって先に座れるの?瞬間移動ですか?転移?


 この2人相当レベルが高いのじゃ無いかしら。今まで気楽に接して来ていましたがまずかったかしら。今更ながら冷汗がでます。


 なんて考えて立ち尽くしていると、横に居たはずのうちの子もいつの間にか3人掛けのソファに座り、無心にバクバクとお菓子を食べて居ました。

 あんたたちも瞬間移動出来るの?


 疑問は尽きないけど、今は報告を優先します。


 「なんじゃと、上級ダンジョンの10階層の隠し部屋に転移魔法陣じゃと⁈」


 おじいちゃんギルマスが驚いています。


 「はい、転移の罠で最下層の50階に送り込まれます。」

 「ふむ、そんな隠し部屋が有ったとはのう。」


 ギルマスが難し気な顔で悩んでいます。


 「おや、そんな罠に掛かったにしては随分早く帰って来れたもんじゃな?」

 「ええ、帰還転移魔石を使いましたから。丁度6人用をグレアム君に貰ってましたから、速攻で帰って来ました。」

 「うん、帰還転移魔石とは何じゃな?」

 「えっ?地上に帰還出来る転移魔石ですけど。」

 「転移魔石?それは何じゃな?」

 

 えっ?こっちの世界では有名じゃ無いのかな?

 てっ、言うかこっちの世界には無いの?


 あの天然男は、またやらかしてたのか⁉


 そうです。私たち3人娘とグレアム君は転生者です。

 なので、かなり常識に疎くこう言うボロをよく出します。


 私たちはそれ程、能力が飛び抜けて高い訳では無いので怪しまれませんが、あの男は・・・・・。天然です。


 「転移魔石とやらを見せて貰えるかな?」

 「はい、これです。今は魔力を使い切ってしまったのでただの石に成ってますが。」

 カバンから出した魔石を渡します。

 ギルマスは目に魔力を集めて石を見ます。


 ギルマスはレアスキル神眼の持ち主です。凄いですぅ。


 「これは凄い!魔石に緻密な魔方陣と文字が書かれておる。」


 「こんな方法で魔石が魔道具に出来るとは驚きじゃ⁉」


 「じゃが、これは文字が読めぬ?謎文字じゃな。古代文字では無いようじゃが。分らん。」


 ごめんなさい、それ多分日本語だと思います。

 読めませんよね。


 「これを少しの間貸して置いてくれんかのう。知り合いに魔法省に勤めて居る者がおるんじゃ。たのめんかのう?」

 「出所を内緒にしてもらえでしたら良いですよ。」

 内心、どうせバレルと思ってますが。一度世に出たものは隠そうとしても隠しようが無いですよね。知ってます。


 「それで当のグレアム君は如何したのかね。」


 「50階に置いて来ました。」


 「なんじゃと⁉置き去りにしたじゃと。大変じゃないか!直ぐに救助の為のメンバーを編成しなくては、ミルマ君、今この街にAランクの冒険者は何人居る?」


 立ち上がり、大慌てで受付のおねーさんに聞いています。


 「今は全員出払っていますよ。隣り街に土竜が出たとかで皆向かっちゃいました。ワクワクしながら『俺もこれでドラゴンスレイヤーだー‼』とか何とか叫びながら走って行きました。馬車を手配したのに走って向かいました。本当脳筋です。困ったもんです。」


 「ぐぬぬぬ、それは拙いのう。」


 「あのう、グレアム君の事でしたら心配ないと思いますよ。何しろ帰還転移魔石が有りますし。何より強いです。」


 「むっ・・・・・。」


 暫く考えこんでいたギルマスは。


 「確かにあの、グレアム君じゃからのう。無駄に心配する必要無いかもしれんのう。」


 「そうですよ。もしかして、わざと転移魔石使わないで、50階から上に向かって登って来て魔物倒すより階段昇方が大変だった~。とか言ってひょっこり帰って来ますよ。心配するだけ無駄です。」


 「ぷっ、それは確かに言いそうじゃな。ハハハ。」


 「そうですね。言いそうです。それよりギルマス、お菓子無くなったのでお代わりください。」


 「・・・。ミルマ君そのお菓子は子供達の為に出したんじゃが。一番食べとりゃせんかな。」


 「固い事言いっこ無しですよ。お代わりプリーズ。」


 「そう、おねーさん食べ過ぎ。でも、お代わりプリーズ。」


 「プリーズ・・・・・。」


 サーニンとマックスも遠慮無さ過ぎでしょ。恥ずかしいから止めて。

 ギルマスも文句を言いながらニコニコ顔でお菓子を追加しなくても良いですよ。でも。


 ありがとうございます。モグモグ。


 報告終わりです。



ありがとうございました。

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