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お節介賢者。幼馴染パーティーに最下層で置いて行かれたので、隠していたチート能力でスローライフをおくる。でも幼馴染が心配なので時々仮面を被って助けに行くけどばれてないよね⁉

2作目

 

 --- サイド グレアム ---


 ここは辺境伯、カサリース・ド・ググレンが収めている領都ザザビーズ。魔の森に隣接している城塞都市です。

 ここには三つのダンジョンが有り。初級、中級、上級と分かれています。

 初級ダンジョンは十階層しかない、成りたての冒険者でも入れる入門コースって感じのダンジョンで、外より安全と言われています。


 中級ダンジョンは二十階層でそこそこ敵も強くなって来ますが、流石に成りたてのF級冒険者は無理ですが、E級以上なら入る事が出来ます。


 ここまでをクリアーして初めて上級ダンジョンに挑む事が出来ます。


 上級ダンジョンは今の所四十二階層まで探索が進んでいて。多分五十階層が最深度だと思われています。


 冒険者に成って四年、八歳で冒険者に成り、今十二歳でDランクに昇進してもう一年が経ちます。上級ダンジョンに入る様になってもう四ヶ月が過ぎました。今上級ダンジョン十階層を探索しています。この年齢にしてはかなり順調です。


 僕ら幼馴染、七人パーティーは十階層の探索をして居る所で隠し部屋を発見。


 うちの斥候を担当している娘は無茶苦茶優秀です。これまでも何度も未発見の隠し部屋を見つけています。


 部屋の中には宝箱が有り、中にはミスリルの短剣が入っていました。こんな浅い階層で出るにしては中々の品で僕たちはホクホクの気持ちで部屋を出ようとしました。


 今回の探索をここまでにして地上に戻ろうと話しながら廊下に出ようとすると。突然扉が締まり、部屋いっぱいの魔法陣が輝き出しました。


 そして、僕たちは最深部、五十階層に転移させられたのでした。


 積んでますよね。これ。


 「待ってくれ、こんな所で置いていかれたら普通なら死ぬぞ。もう一度考えてくれ。」

 「考えたわ。」

 「一秒も考えていないと思う。」

 「考えたわよ。皆で目を合わせて頷いたの見えたでしょ。皆の幸福のためにそうするのが一番良い選択でしょう。」

 「その皆の幸福の中に僕は入って無いよね?」

 「入ってるわよ。だから、皆の幸福の為でしょ。あなたを置いて行くのは。」

 「ええと?それって?・・・。」


 まさか?ばれて無いよね⁉


 「と、言う事で。私たち六人はあなたが渡してくれていた、この六人用の帰還転移魔石を使って戻ります。今まで色々ありがとね。後は好きに生きて良いからね。」


 ちょっと離れた後ろの方に居る三人の男たちが口々に何か言っています。


 「うわー!きついわぁ。」

 「怖えー。」

 「容赦ないわー。」

 「でもしょうがないよな、ただの荷物持ちだもんな。」

 「本当、厄介者だったからな。居なくなってくれるなら助かるよな。」

 「七人は多過ぎたよな。これで分け前も増えるぜ。」

 「「おおーっ。」」


 ~~~~~~~~~~~~~~~


 --- サイド アンジー ---


 「はあっ。」


 思わずため息が出てしまいました。

 どうしてこいつら男たち三人組はここまで馬鹿なんでしょう?


 私たち七人パーティーが十二歳なんて低年齢で、なぜ上級ダンジョンの十階層まで潜れていたのか分からないなんて、長い間一緒に居て、本当に何を見ていたのでしょうか。謎です。


 彼、グレアム君が何時も私達をホローしてくれていたから、今まで本当の意味での命の危険も無くやってこれたって言うのに。


 まあ、なんとか誤魔化せていたってだけだけどね。


 時々こいつ天然か?と思うようなボロを出しまくってたのに気付かないのもどうかと思いますが。


 今回は良い機会なので別れてあげて、グレアム君には好きなように自分の道を行かせてあげる事にしましょう。


 「じゃあ私たちは行くわね。元気で。」


 「あっ、ちょっと待って、渡すものが有る。」


 そう言ってグレアム君が呼び止めました。


 振り向くと汚らしい袋を渡して来ます。


 え~って、ドン引きしても仕方ないわよね。


 と、思っていると、彼は袋に手を入れるとおもむろに色々な物を引っ張り出して来ました。


 三人用テント、お金の入った財布袋、携帯用食料10日分、魔導コンロ、テーブルとイス、布団、毛布、鍋多数、食器多数、魔法付与して有る指輪(防御その他)、魔石多数、換金用素材多数、その他いっぱい。


 汚い袋はアイテム袋でした。


 男三人組が目の色変えて突撃して来ました。


 真っ先に財布袋を開けて大声を上げています。


 「スゲー、14万ギルも入ってるぜ。」

 「おー、俺たち大金持ちじゃんか。」

 「やったー。」


 わたしはグレアム君を通路の端の方へ連れて行き。

 小声で威嚇します。


 「あんたねぇ、あの三人の前であんな物出したら目の色変えるの分かってたでしょ。どうすんの全部自分達のものにしちゃうわよ。あんたの取り分だって無くなっちゃうわよ。良いの?」


 「大丈夫だよ。あれ、あいつら三人組用だから。」

 「はい?」

 「こっちの綺麗な袋、アンジーたちの分だから。見つからないように早くしまってね。」

 わたしは言われるままにファンシーな袋を肩掛けバックの中に素早くしまいます。


 男三人組はまだ目の色変えて物色中なのでこちらには注意を向けていません。

 

 そして、私の口から「はぁ~ぁ。」


 と、ため息が出るのでした。


 こいつ分かってないのでしょうか?アイテム袋が100万ギル以上するって事が。それだけで30年は遊んで暮らせます。


 それをポンポンと出して来る非常識さ。


 どう見ても自分の分も当然確保しているでしょうから。3個は持っていた事に為ります。あほか!


 天然にも程が有るわよ。

 

 頭痛い。


 帰ってから私に渡された方のアイテム袋の中を見たら、帰還転移魔石3人ってのが入っていて、またまた頭を抱えました。

 これ有るのに「置いて往かれたら死ぬ」とか言ってたの何だったの⁉

 絶対隠す気が無いでしょう!

 これで隠しているつもりだったら、アホ過ぎる。


 天然て怖いわ。

ありがとうございました。

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