PHASE-6 学園
7/4一部修正
「やっと、着いたー!」
「まじでつかれたー!」
玲奈と陽翔が校門をくぐり、中庭を抜け、最初の曲がり角を左折し、寮塔に入る。
ドアを開けた瞬間、目に入ったのは――
「あ、陽翔たちおかえり!」
チョコレートアイス――青城ダークを咥えながら、右腕に黒い手袋付きのアームカバーをつけた金髪碧眼の少年――神崎陽太だった。
今日は7月10日であり、外は優に30度を超えていた。
その上、二人は任務から帰った直後であり、帰る車の中、途中のコンビニで楽しそうに笑いながらアイスをかじる男子中学生を見て、アイスを食べたくて、佐々木さんにコンビニに寄るようにお願いしたが、聞き入れてもらえず、アイスの舌になっているアイスに飢えていたところで、エアコンの付いた涼しい部屋でアイスである。
「「アイス、寄越せぇぇぇぇぇえええええええええええええ!」」
「ん? アイスいる?」
陽太は、百鬼の面相溶かして彼らとは全く違う快適環境でぐうたら、パソコンで惣名先生から出された宿題をやっていた自分に襲いかかってくる二人を華麗に避けつつ、自分の部屋に戻り、冷凍庫の中の、大量の青城ダークの中から二本を手に取り、共用スペースにいる二人に持って行く。
「はい」
二人は渡された瞬間、袋を開けてアイスを食べ始める。
「どんだけ食べたかったんだよ……」
陽太は正直引いた。
「おお、帰ってきたねふたりとも」
「あ、惣名先生」
一心不乱にアイスを食べる二人は気づかず、陽太だけが反応する。
「あ、アイス食べてるじゃん」
そして、陽太に視線を向ける。
――あー。アイスほしいんだな、この人。
陽太は諦めて、さっき通った道を通り自分の部屋の冷凍庫から、青城ダークを惣名先生の分と自分の分の計2本を共用スペースに持って行く。
「おー。気が利くねぇ」
惣名先生がアイスを食べ始める。
「さて、本題に入ろう」
陽翔たちも反応する。
「再来週、全校合同任務が発令された」
「「「は?」」」
異口同音だった。
次回、PHASE-7 集結