PHASE-2 人外魔境
そこには、東◯ドーム3個分はあるであろう、廃墟群が広がっていた。
――東◯ドーム、いったことないけど。
何より、山奥だけど、よく、日本にこんな広大な廃墟があったな。
「ここから、その、一級相当魔獣を狩ればいいんですよね?」
任務について聞いておく。
「はい。あと、ここを再開発するので、会った魔獣も極力倒してください」
「「わかりました」」
「あと、特級のお二人なら大丈夫でしょうが、危うくなったら逃げてください」
僕と玲奈は、廃墟群に歩き出した。
遠くで見ると、廃墟が密集しているようだったが、実際は、廃墟群というよりも、廃都市といった感じだった。
「僕の術式で全体的見て回ってくる?」
「お願い」
「了解。――【加速】」
次の瞬間、陽翔は消えたように音速を超えて加速し、探索を開始する。
数秒後。
「見てきた」
「どうだった?」
「道路には一体もいない。けど、」
サコッシュから、スマートフォンを取り出し、事前に渡されていた廃都市の地図を開く。
「こことそこの建物から、かすかな魔力を確認した。術式持ちの可能性があるかも」
「了解。なら、それらから回ろう」
大通りを進みながら、魔獣を駆逐してゆく。
――正直、僕がこの任務にいる意味がわからない。
僕の術式は、術式を強化させることしか【加速】以外できない。
しかも、僕は汎用術式にあまり適正がない。
今回の任務は大規模殲滅。
つまり、僕の適正でもない。
たぶん、玲奈の護衛だろう。
だが、そう思っていられたのは、このときまでだった。