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少女たちの5年間の話(前編)

今日は1話のみの更新です。

「一気に王都が遠ざかったな……」


 ルゥリ達かつての孤児院の少女6人が結成した【ホワイトリリー】が所有する魔導馬車に乗った僕は、一気に遠くなった王都を見届けていた。


 今は亡きあのゲズランド王国による錬金術師を置き去りにしたり、なぶり殺しにしたりする事件以降、国の政策等により不本意ながらクラフトギルドに引きこもったが、思い出もあったからな。


「このままノンストップで走って行けば、3日で【アローウィル】の街に着くよ」


「3日か。 流石は魔導馬車だなぁ」


「昔にはなかった代物だからね。 総合学校がある街とアローウィルの街の間は普通の馬車でも片道1日で済んだんだけどね」


「確か、私達が13歳の頃に魔導馬車の試作品が完成したって話ですね」


「という事は、3年前からか」


「うん。 重力魔法も結界性能も盛り込んでるから、かなりの高額になってるんだよね」


 魔導馬車というのは、僕が総合学校を卒業した直後にはまだなかった記憶がある。

 それもそのはずで、フィーネとカレン曰く試作品が完成されたのは、3年前だという。

 そこからとんとん拍子で開発していったんだろうな。

 だが、高性能が故に高額となっており、普通の国民には手が出せない。

 確かに荒れた道を走っても揺れないように制御するための重力魔法や敵の襲撃を防ぐ結界機能があるなら、高額になるのは仕方がないけど。


「お待たせ。 じゃあ、早速だけど私達が総合学校での生活とか話そうか」


「うん。 ルゥ達の5年間のお話、聞いてほしい」


 さて、セリナがトイレから出て来た事で、用意されたお菓子をつまみながらルゥリ達がどんな5年間を過ごして来たかを話し始めた。

 これはおそらく、冒険者になってたった1年で(ダブル)(エー)ランクになった事や僕をスカウトしようとした経緯も関わってくるだろう。


「まず、私達が11歳になって総合学校に入学した後の話からだね」


 最初はセリナやルゥリ達が11歳になり、総合学校に入学した後の話だ。

 丁度その1か月前に僕が総合学校を卒業して、すぐに王都へと向かわされたので、出会う事すら叶わなかったけど。


 なお、総合学校は子爵までの貴族と平民全員が無償で冒険者や錬金術師などを目指せる学校の事だ。

 伯爵以上は、王都の魔法学校に通う決まりがあるが、有償らしい。

 

「まず、私達は能力の測定を受けたの」


「その結果、今はここにいる6人全員、今までとは比較にならない高い能力を有していると判定された」


「マジか……!?」


「ホント。 あたしたちは、そこから大変だったよ。 関わりたくない貴族の子爵令息とかが下心を持って接してきたし」


「しかも、自分の思う通りにいかないとなると、決闘を申し込んだからね」


「うわぁ……」


 セリナ、カレン、エリスが話してくれた内容はこうだ。

 まず、能力測定があるのだが、彼女達6人は総合学校では滅多にない高い能力を有していたという。

 だが、そこから彼女達が苦しむ羽目になったようで、貴族の令息たちが下心をもって接してきたと言う。

 その上で、自分の思うようにいかないと、決闘を申し込むほどにヒステリーを起こしていたらしい。


「決闘の際は、ルゥちゃんの魔法やセリナちゃんの剣術、アルマちゃんの魔法剣で瞬殺したんですけど」


「あそこの総合学校の校長がまともな人で良かったと思ってるよ。 多くの貴族の令息を重い処分にしてくれたし」


「酷い時は、とある貴族の令息が『俺様のハーレムになれ』って言ってたしね。 いくら【一夫多妻制度】という重婚制度があるとはいえね」


「男女比も段々酷くなってる。 なのに、あんな男がいるとは思わなかった。 ルゥはお兄ちゃん以外の男とは付き合いたくないから」


 だが、フィーネ曰く決闘はルゥリの魔法とセリナの剣術、そしてアルマの魔法剣で瞬殺だったという。

 その後、まともな考えの校長によってその貴族たちは重い処分に処されたという。


 しかし、ルゥリ達の世代の男子生徒は相当悪い部類なんだな……。

 ここ十数年、男女の比率がおかしくなって、女性の人口が多くなっているため、世界各国で【一夫多妻制度】が施行される程なのに、ルゥリ達を下心を抱いて接してくる男がいるのは正直僕でも不快感でしかなかった。


「幸いにもあれがきっかけで卒業するまでは、ほぼ全ての男子がボク達に近づかなくなったよ」


「おかげで快適に6人で実力をつける事が出来ましたね。 あ、女子の友人は普通にいましたよ」


「なるほどなぁ……」


 例の決闘での瞬殺が引き金となって、ルゥリ達の世代の男子は彼女達を恐れて近づかなくなった。

 下手に手を出したら瞬殺されるという話が出回ってたのだろう。

 彼女達はそれによって、快適に実力を伸ばすことが出来たらしい。

 

「それが、私達の総合学校での生活の話」


「次は卒業後、私達が冒険者になった後の話になりますが……」


 ここまでが、ルゥリ達が過ごした総合学校での生活の顛末だ。

 そして、次は卒業して冒険者になった後の話になる。


 彼女達がいかにして、1年で(ダブル)(エー)ランクにのし上がったのかが分かるかもしれない。


明日もおそらく1話のみの更新となりそうです。


近いうちに不定期更新になります。


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