セレティア公爵家とお話
「ごめんなさい! ルゥちゃんの事情を考慮せず、再会を喜んでしまって」
「空気を読めていなかった事をこの場を借りてお詫びします」
「い、いえ、顔を上げて下さい」
ルゥリとアルマを別室に残して、僕達は大広間に向かうと、アリアを含めたセレティア公爵一家が一斉に謝罪してきた。
セリナが慌てて顔を上げるように促すが、やはりセレティア公爵家もルゥリの事情は聞いていたみたいで、それにも関わらずアリアとの再会をルゥリがいる前で喜んでしまったのが響いている。
現在、セレティア公爵家と躍進中の【ホワイトリリー】はシルビアさんを助けた事で良好な関係を築いている。
その事は家族も知っているから、今回の事で関係が壊れるのを恐れているのかも知れない。
「え、えっとお茶を用意しました」
「あ、フィーネちゃん。 ごめんね」
「じゃあ、兄さん達も席につこうか」
微妙な空気が漂ってしまっている所で、フィーネがお茶を用意してくれた。
それで何とか場を切り抜ける事に成功し、カレンの言うように指定された席につく。
僕の席は、右にセリナ、左にはエリスが座っている。
「この度、スカウトシステムを利用させてしまう事になって申し訳ないと思っています」
「いえ、そうしないと僕やアリアが外に出る事は叶わなかったので」
「カイト君の事も聞いていたよ。 総合学校時代の約2年間、良くして貰ったって」
「出会いは偶然でしたが、アリアに気を掛けてよかったです。 丁度、あの時後輩を教えるという事も単位とされてましたし」
まずは、アリアやシルビアさんの両親から話をし始めた。
母親からは、冒険者ギルドからクラフトギルドへのスカウトシステムを利用した事へのお詫び。
そして、父親からは総合学校時代のアリアの件についてだった。
アリアは、僕の事について両親に手紙などで教えていたようだ。
当時の出会いは偶然だったが、どこか気落ちしていたアリアを放っておくことができず、一緒に自習室で錬金術を教えたのだ。
丁度、その時は錬金術師育成学科の後輩を見つけて教える事も単位として扱われていたので、担任の先生には迷わずアリアを教える事を報告したのだ。
それからは、アリアと一緒に錬金術を教えつつ、自分も錬金術を磨いた。
アリアと仲良くなったのもその時で、常に『せんぱい』と呼んで慕ってくれた彼女が可愛くて、孤児院にいるルゥリ達を思い出したりもした。
「ゲズランドの件が無ければ、君もアリアもあのような思いをしなかったのだろうね。 ここ最近、ゲズランドの思想を表に出してくる貴族が多くなってるのもあるが……」
「そこは私も懸念を抱いてます。 ゲズランドの生き残りの工作員が仕込んでいるとも言われてますが、冒険者ギルドでもその実態はつかめていませんし」
未だにゲズランドの思想を表に出す貴族が増えているみたいで、公爵家も頭を抱えている。
そのせいで、クラフトギルドに属する錬金術師たちは外に出られないままだ。
僕とアリアは、ホワイトリリーのメンバーによるスカウトで無事に出られたが、クラリス様曰く他はあまり上手く行ってないようだしね。
セリナも冒険者ギルドからの情報を得ようとしているが、実態はつかめていないという。
ゲズランドの生き残りの工作員が暗躍している説も流れていて、それが情報の錯乱に繋がっているのだとか。
「それで、アリアをホワイトリリーの一員にした上で、カイト君の嫁の一人にするという話も伺った。 アリアに自信を持たせてくれた君ならアリアを任せられる」
「それに、私達もあなた達を家族として迎えられるしね」
「私としてはアリアが羨ましいですけどね。 次女なために【一夫多妻制度】が適用されるし、何よりルゥちゃん達と毎日触れ合えるんですから」
「ちょっと、姉様!?」
「あはは……」
そして、話は変わり僕がアリアを嫁の一人として迎えるという話も両親に伝わっていた。
セリナが伝えたのだろうけど、両親は僕なら任せられると言ってくれた。
シルビアさんは、アリアが【一夫多妻制度】が適用されることと、ルゥリ達とほぼ毎日触れ合える事が羨ましがっていたが。
シルビアさんは長女だから【一夫多妻制度】は適用されないんだよね。
そこは仕方がないけど、その話に反応したアリアとのやり取りで僕は苦笑いしていた。
「アリアの事、どうかよろしく頼みます」
「はい、もちろんです」
「これからも私達との繋がりもしっかりしてきましょう。 大家族になるんですから」
「あ、そっか。 アリア姉がお兄のお嫁さんの一人になるから、セレティア公爵家との繋がりも強化されるんだね」
最後に両親からアリアの事を頼むと言われて、それを了承。
それからは世間話をメインにした、お茶会として盛り上がった。
これで、正式にアリアがホワイトリリーの一員になり、僕の嫁の一人となった。
会談とお茶会が終わった後、アリアを連れてルゥリの自室に向かい、三人で一緒に寝る事となった。
僕とアリアがルゥリを挟む形で川の字で一緒に寝たのだ。
ルゥリも落ち着いたのか、アリアにすぐに抱きつき、これからもよろしくと言ったので安心した。
これで、落ち着いてスローライフを送れるだろう。
そう思っていたのだけど、暫くしてまた不穏な話を耳にする事になろうとは、この時は思いもよらなかった……。
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