7の月の【月の日】にて(前編)
ようやく更新できました。
「お兄ちゃん、この素材はここに置いたらいいかな?」
「うん。 そこでいいよ、セリナ」
「マジックポーション用の瓶、用意出来たよ。 20個だったよね?」
「うん、20個だよ、エリス。 そこに置いてくれるかい?」
「りょーかーい♪」
さて、色々あった6の月が終わり、7の月に突入した。
そして、毎年7の月になると毎週の『月の日』は常に夜になるという。
これに関しては、現時点でも不明らしいが、この時期は魔物がより活発になるため、冒険者でも街の外には出ないようにと言われている。
そんな日は、孤児院にも行けないので、まず僕の仕事を済ませる事にした。
セリナやエリスも素材や瓶の用意をしてくれている。
今日作るのは、魔力を回復させる【マジックポーション】だ。
これは口に服用することで、魔力を回復させるというモノだが、トイレの問題を抱える事にもなるため、これに関してはあまり作れない。
体力回復のポーションよりも容量の多い瓶を使うしかなく、そうでないと飲んだ際の魔力は回復しないからだ。
しかも、このマジックポーションに至っては、質の良し悪しは関係ないのだ。
キュアポーションや体力回復の【ヒールポーション】は、質の良し悪しで効果が違い、容量も少なくて済むのにね。
「本当にこれも売れてるのでしょうか?」
「王都や学園都市は、それなりに売れてるみたいだよ。 この街では出さないし、向こうもそのつもりだしね。 効果は落ちるけどマジカルクッキーで事足りるからね」
「ああ、王都や学園都市はクッキーが常に品薄だから、買わざるおえないって奴だろうね」
それ故に、マジックポーションは売れてるのかとフィーネ疑問に思ったようだ。
それでもアーネスト王国内の王都や学園都市は、人口が多いのでクッキーは常に品薄になっている。
ホワイトリリーみたいに魔導馬車も使えない冒険者達は、仕方なくマジックポーションを買っているとクラリス様から聞いたのだ。
それを答えとして伝えると、カレンも同じような考えだったようだ。
だが、この間もアルマから王都でダンジョン内でマジックポーションを飲んだ魔法使いの少女が、途中でトイレに行きたくなったが、我慢中に魔物に襲われて失禁したと言う話を聞いた。
こういうのがあっても、現在のクラフトギルド内では質の高いマジカルクッキーを作れる錬金術師は少ないと言う。
僕がクラフトギルドを出てからは、アリアくらいだろうか?
質の高いマジカルクッキーを作れるのは。
だから、王都や学園都市では品薄になるのだろうな。
一応、クッキーも作成し、梱包してポーション系と一緒に王都へと出荷したけどね。
「考えても仕方がないな。 マジックポーションを作ってからクッキーも作るか。 ルゥ、淡水をこの窯に入れてくれるかな?」
「うん。 淡水の入った瓶を三本分だね」
考えても仕方がないので、今日の前半に作れる分は作っておこう。
小さな窯に魔力を流しながら、ルゥリに淡水の入った瓶を三本分用意させ、窯に淡水を入れさせる。
ヒールポーションは質で回復効果や利尿作用が異なるけど、マジックポーションはどうしても質は同じになるからね。
勢いで入れてもらっても問題はない。
「次にオレンジハーブを3房」
「ん」
次にオレンジハーブを3房分を入れるように頼んだ。
ルゥリは頷きながら、近くに置いてあったオレンジハーブを入れてくれた。
「後は魔力を流し込んで操作をするだけ……と」
「ずっとじゃないんだね」
「タイミングを見計らって少し魔力を流したりするだけだからね」
ルゥリは興味津々で僕のやり方を見ている。
一方でセリナ達は、マジカルクッキーのレシピを見ながら、棚や鞄から必要なレシピ素材を用意してくれている。
「一般のクッキーとは作り方が違うんだね」
「まぁね。 一般のクッキーは【オーブン】という魔道具が必要だしね。 回復系のクッキーはそれの名を騙った固形の薬だから」
「ああ、なるほどね」
レシピ素材を机の上に置きながら、セリナが聞いて来た。
そう。
実は錬金術師が作るクッキーは、クッキーの名を騙った固形の薬なのだ。
薄力粉や卵、バターが必要なのは一般のクッキーと変わらないが、そこに各色のハーブとアロエベラなどが必要になる。
そのため、味が薄いものの回復効果は保証できる。
「よし、出来た」
「予定通り20個分作れたね。 後は瓶をここに置けばいいのかな?」
「うん。 そこの蛇口の栓を緩めてくれたら出てくるから。 それを20個分頼むよ」
「オッケー」
そうこうしているうちにマジックポーションが完成した。
エリスに20個分の瓶にマジックポーションの液体を入れる作業をお願いしてから、別の窯を用意してマジカルクッキーを作る準備を始める。
これも大体20分くらいで、1箱8個分……合計で30箱分のクッキーを完成させた。
質もそれなりにいいのが出来たので、これで仕事はひと段落した。
さて、後半はルゥリ達とのスキンシップの時間だな……。
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