幕間①~セリナとアルマの会話~
今回は幕間、セリナ視点です。
「ユリウスの森の奥の湖から採れた淡水で作られたお兄ちゃんのキュアポーション、結構品質が良かったね」
「王都向けのキュアポーションだったけど、いくつかは私達にもくれたしね」
昨日に続き、今日もギルドの依頼完了の報告をして、報酬を貰ってからホワイトリリーのパーティーハウスに戻った私ことセリナとアルマちゃんは、着替えながら話をした。
実は昨日、カイトお兄ちゃんは、王都向けに20本ほど作った後、幾つかのキュアポーションを私達向けに作ってくれたのだ。
このポーションは、飲む以外にも患部に掛けるだけでも効果が出てくると言う。
毒は飲むことで、火傷や凍傷などは掛けることで応急的に治療ができる。
後は病院に行って、完全な解毒などの処置をしてもらうだけでいいのだ。
国際医療協会は、必ずキュアポーションなどの応急的な処置を推奨しているほどだ。
人手と時間が足りずにブラック化している国も多いと言う。
「それにしても、クラリス様も驚いてたね」
「淡水の品質が良かったからって、兄さんが言ってたしね」
出荷の際に、クラリス様が転移で来て、回収したそうだが、その前に鑑定を使ったようで、キュアポーションの質の高さに驚いていた。
そのため、本来の支払いに加えて追加のお金をカイトお兄ちゃんは受け取った。
本来のキュアポーションの報酬は一本当たりで手取り1000エリク。
今回は20本作ったので2万エリクなのだが、品質がいいのでさらに1万エリクを貰ったのだ。
「品質がいいと、売る際の値段も高くなるよね」
「そうだろうね。 それでも買うのが冒険者なんだし」
そう。
私達冒険者は、ダンジョン攻略や依頼の遂行には、ポーションやクッキーが必須なのだ。
ただ、体力や魔力を回復するポーションは水分を摂るので、トイレが近くなる。
これは女の子にとっては、非常に辛い事態であり、最悪こっそり物陰に隠れて済ませざるおえないことになる。
その際にも空気を読まずに魔物達に襲われるケースがあり、結局漏らしたと言う女性冒険者もいるほどだ。
それでも効果が高いので、クッキーと併用したり、女性だけのパーティーを組んでダンジョンに潜る事もあるのだ。
それだけ、トイレの問題があっても需要は高いのだ。
なお、今回の高品質のキュアポーションは、通常相場の300エリクよりは高い値段で販売するのだとか。
いくらになるんだろうね……。
「そういえば、ルゥちゃんは?」
「お兄ちゃんと楽しんでる最中だと思うよ」
突如、ルゥちゃんことルゥリちゃんはどうしてるのかとアルマちゃんから聞かれたので、今はカイトお兄ちゃんと楽しんでいると答える。
今日のルゥちゃんは、冒険者をお休みにして、お兄ちゃんとの触れ合いに時間を割かせた。
つまり、今回の冒険者の依頼は、私とアルマちゃん、フィーネちゃんで遂行したのだ。
エリスちゃんとカレンちゃんは、孤児院で子供たちの世話をしているしね。
「そっか。 ルゥちゃんは……、私達と違って家族に捨てられたからね。 甘えたい年頃だったのに」
「うん」
ルゥちゃんは、私達と違い幼い頃に家族に虐められ、捨てられた。
そんな中、リンジー院長先生が私達と一緒に孤児院に向かう最中に、ボロボロのルゥちゃんを発見し孤児院へと連れて行った。
そしてすぐに医者を呼んではルゥちゃんの治療をしたという。
お兄ちゃんと会ったのは、それから1週間後だったと思う。
なお、ルゥちゃんを捨てた家族は、男爵系貴族の家族だが、リンジー院長が領主に報告した結果、国王にも伝わり、差別と虐待の罪で家は解体され、ルゥちゃんを危害に加えた家族は、脱出不可能な鉱山で死ぬまで労働させられているという。
「そういえば、兄さんがここの生活に慣れたら、【一夫多妻制度】を使って兄さんと結婚するんだよね」
「うん。 ただ、子作りはまず、ルゥちゃんとエリスちゃんとアルマちゃんでお願いするよ」
「あはは、そうだね。 セリアちゃんはリーダーだし、他の2人も私やルゥちゃん、エリスちゃんの為に医者を呼んだりサポートしてもらわないとだめだしね」
そんな私達だが、カイトお兄ちゃんがここの生活に慣れたら、【一夫多妻制度】を利用してお兄ちゃんのお嫁さんになるつもりだ。
とはいえ、子作りに関しては、先にルゥちゃんやアルマちゃん、エリスちゃんにお願いしている。
医者を呼んだり、フォローする人員も必要だしね。
「でも、シルビアさんは公爵家の長女だから、【一夫多妻制度】は適用できないんだよね」
「ああ、貴族の顔でもあるって言ってたのを思い出すよ。 長男もそうだったよね」
そう。
この【一夫多妻制度】は、貴族の長女や長男には適用されない。
当然ながら、アーネスト王国の王族も適用外になる。
男女比が狂っているこのご時世でも、次なる貴族の顔となる長男や長女がこの制度を適用したとしたら『女好き』や『男喰い』なんて噂がばらまかれ、イメージダウンに繋がりかねないからだ。
だから、この制度は貴族でも次男ならびに次女以下でしか適用できないのだ。
あと、ここでは私達は『シルビアさん』呼びしているが、流石に公爵家の貴族に対してフレンドリーになってはいけないという頑固な思想の者がうろついているので、周囲に人がいる場合は『シルビア様』と呼んでいる。
「もうすぐ他の三人も帰って来るし、私達もトイレを済ませてから夕食でも作ろうか」
「そうだね。 ルゥちゃんとお兄ちゃんの触れ合いももうすぐ終わるかもだし、私も手伝うよ」
「うん、お願いね」
そろそろ夕食の時間になるので、私達は先にトイレを済ませてから、夕食の準備に取り掛かる。
こういった風に平和な日常をいつまでも過ごせるように願いながら。
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