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素材が足りない……

「あー、しまった……」


「どうしたの、お兄?」


 街巡りと言う名の案内から次の朝。

 みんなで朝食を取った後で、パーティーハウス内のアトリエで王都向けのポーションを作ろうとした所で僕はミスを犯した。


 準備を手伝ってくれているエリスが、そんな僕の様子が気になったのか、聞いて来た。

 というかエリスさん、顔が近いよ。

 子供時代じゃないんだし、少しは自重してくれ……。


「ポーションの素材の一つの【淡水】がなかったんだ……」


「あちゃー……」


 そう。

 ポーションを作るのに必要な【淡水】の在庫がなかったのだ。

 これがないと、ポーションは作れないのだ。


 今日、僕が作るのは毒などの人体に影響を及ぼす異常を治療する【キュアポーション】。

 それを作るための【レッドハーブ】と【アロエベラ】という他の素材はあるんだけどね。


「今日は先に【淡水】を採取しないといけないな。 エリス、この街の周辺で淡水が採れる場所はあるのかな?」


「北東にある【ユリウスの森】の中にある湖からなら質のいい淡水が採れるよ。 街を出て徒歩で20分の近場のダンジョンでもあるけどね」


 仕方がないので、淡水の採取を先にするしかない。

 という事で、エリスに聞いてみたら、街から北東へ徒歩20分の場所にある【ユリウスの森】で淡水が採れると言う。

 そこの奥にある湖からは、質のいいものがよく採れるという話なので、ポーションの品質も良くなるかもしれない。


「ギルドに採取依頼を出した方がいいかな?」


「いや、お兄はあたし達【ホワイトリリー】の一員だし、その必要はないよ。 王都のクラフトギルドに居る人のために依頼を出してるだけだし」


「そうなのか?」


「うん」


 採取依頼をギルドに出した方がいいかなと思ったが、僕は既に【ホワイトリリー】の一員なので、その必要はないようだ。

 冒険者ギルドに依頼を出してるのは、王都のクラフトギルドに引きこもってる錬金術師の為の依頼だと言う。

 エリスに言われて、そうだったのをすっかり忘れてたよ……。


「だから、セリナちゃん達に言えばいいよ。 セリナちゃんがホワイトリリーのリーダーだし」


「分かった。 セリナに伝えるよ。 まだ、部屋にいるかな?」


「あたしがここに向かう前には、部屋で読書してたから、いると思うよ」


「じゃあ、行ってくる。 器具の準備だけは頼むよ」


「オッケー♪ 任せて」


 完成後の瓶などの用意をエリスに頼み、僕はセリナの部屋へ向かう。

 2階にセリナの部屋がある事は、昨日の案内で教えてもらったので、大丈夫だろう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「セリナ、入るよ」


「はーい」


 セリナの部屋にノックをしてから入る。

 部屋に入ると、部屋着のセリナが本を読んでいた。


「お兄ちゃんいらっしゃい。 どうしたの?」


「ああ、実はね……」


 セリナに、淡水が足りない事を伝えて、採取の為に一緒に同行して欲しいと頼んだ。

 断られたら、ギルドに依頼しようかと考えた。


「うん、いいよ」


「いいのか? 冒険者としての依頼もあるだろうし」


 返事としては、OKだった。

 一応、セリナ達は冒険者だし、依頼もあるだろうから断られるかと思ったが。


「採取依頼があるけど、【ユリウスの森】での採取依頼だし、丁度目的も同じだからね。 でも、お兄ちゃんの頼みは優先するからね」


 今回は採取依頼だけど、採取先は丁度同じ場所だったらしい。

 だが、基本的にホワイトリリーのメンバーである僕の頼みを優先するようだ。


「ありがとう、セリナ」


「どういたしまして。 じゃ、早速みんなに連絡して準備を始めるからね」


「じゃあ、僕もアトリエに戻って瓶などを用意してくるよ」


「うん。 私達も準備が終わったらアトリエに来るから待っててね」


 セリナは他のみんなにも連絡して出発の準備をするようなので、僕もアトリエに戻って空き瓶などの持っていく持ち物の確認をするとしよう。

 ちなみに、集合場所はアトリエとなった。

 

 僕自身、間近でセリナ達の強さを見れるかもしれないので、彼女達の戦いぶりを見るのは楽しみでもあるけどね。



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