公爵令嬢と防具屋で(前編)
「これで本格的にお仕事頑張れるね、兄さん」
「そうだね。 一応、王都の分もあるけどノルマはないから、じっくりやるよ」
「ん。 無理はダメ。 ルゥも手伝うから」
「その時はぜひ、手伝いをお願いするよ」
取引に関する契約を結んで、道具屋を出た僕はカレンとルゥリに腕を組まれながら歩いていた。
ルゥリに関してはずっとだが、後は順番でそうしてるのだろうか?
とりあえず、ノルマはないのでじっくりやっていこうと思う。
必要とあれば、ルゥリ達にも手伝いをお願いする事も念頭に入れて。
「さて、次の防具屋だけどここだね」
「建築ギルドの隣か」
さて、道具屋を出てからすぐに目的の防具屋に着いた。
建築ギルドの隣に構えている盾のマークがそれだ。
「ここでエリスの防具を買い足すんだったな」
「うん。 案内するついでになるんだけどね」
そう。
案内が主目的だが、ここの防具屋で斥侯を務めているエリスの防具を買い足すのも忘れない。
彼女の防具は胸当てと半ズボンという身軽なスタイルで、身軽さとステルスのスキルを活かすものらしい。
「斥侯用の防具は……あそこか」
「じゃあ、あたしはカレンちゃんと一緒に見てくるね」
「ああ。 カレン、エリスを頼むよ」
「うん。 ボクに任せといて」
防具屋の店内に入ってすぐに、斥侯用の防具が売っているコーナーがあったので、エリスとカレンが一緒にそこへ向かう。
一応、予算があると思うので、それに見合った防具を選ぶだろうけどね。
「じゃあ、私達は他のコーナーを回っていきましょうか」
「うん。 魔術師系の防具コーナーが近くにあるし、まずはそこからだね」
「ルゥとフィーネが利用する防具か」
「うん。 魔法の帽子とか魔法のスカートとかがコスパがいい」
「魔力を注げば、スカートが捲れなくなる効果を持つ特殊な布で作られてますからね。 ルゥちゃんとかは特に魔法をよく使うから」
「なるほどねぇ……」
され、残った僕達はセリナの先導でまずは近くの魔術師系の防具コーナーを見て回ることにした。
ホワイトリリーのメンバーでは、ルゥリとフィーネが利用する。
特に魔法のスカートは、装備した者が魔力を注げば風の魔法などを受けた際にスカートが捲らなくなるという。
そういう特殊な布で作られているのだが、値段が安めなのでコスパがいいのだとか。
その布の素材は、何で出来ているのかが気になったのは内緒だが。
「あら、ルゥちゃん達」
「「「「あ」」」」
そんな事を考えていたら、ルゥリ達を呼ぶ声が聞こえた。
「シルビア様」
「呼び捨てで呼んで欲しいのですが……、まぁ、周囲がまだ許さないんでしょうね」
「まぁ、そうですね。 シルビア様もお買い物?」
「はい。 聖女用のローブを新調しにです」
声を掛けられてすぐにセリナとアルマが対応していたこの女性が、ルゥリ達が言っていた公爵令嬢のシルビア様なのだろう。
ロングヘアーの銀髪を靡かせたその容姿は、まさに美少女と言ってもいいだろう。
服装は、見た所聖女として冒険者活動も可能な白色基調のドレスを着ている。
「そして、あなたがルゥちゃん達が言ってたカイト様ですね?」
「あ、はい、そうです」
このやり取り、道具屋でもあったな。
今回は公爵令嬢が相手だけど……。
「私はこのアローウィルを含めた土地を治めるセレティア公爵家の長女、シルビア・セレティアと言います。 今いる場所では厳しいかもしれませんが、プライベートでは気楽にお話してくだされば幸いです。 よろしくお願いしますね」
「ええ、こちらこそ」
本当に公爵家がこの街を含めた土地を治めていると実感がわく。
アーネスト王国のルール上、公爵家でも土地を治めないといけないからだけど。
しかし、そこは公爵家の令嬢だから、圧力がすごい。
ルゥリ達はよく普通に話せるよなぁ。
「ふふっ、過去にルゥちゃんから聞いたり、先ほどのやり取りを見させていただいた所、カイト様は妹から聞いた通りですね」
「妹?」
僕を少しだけ見つめてから、そんな事を言うシルビア様に僕は首を傾げる。
この人に妹がいたのは初耳だけど……?
「アリア・セレティアの事ですよ。 錬金術師の素質を持ったので、総合学校に身分を隠して通っていたのです」
「あ、もしかして……!?」
さらに伝えられたシルビア様の発言に、僕はハッとした。
そういえば、二つ下の後輩として入学していた子が、アリアと名乗っていた。
まさか、あの後輩の子がシルビア様の妹だったとは……!
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