『スパダリの対偶』番外編 学園ものにおける文化祭の扱いに見られる性差
拙作をお読みいただきまして、ありがとうございます。
文化祭といったら何を思い浮かべますか?
屋台?
クラス企画?
学生有志の発表イベント?
いずれも、背景にあるのは『学校』です。
なろうの学園物でも、異世界現実ジャンルを問わず文化祭が出てきたりします。
学園物で文化祭を取り上げるのには、創作上二つの利点があります。
一つは、学校の本質である、競わせ結果に優劣をつけること。評価のフィードバック機能はさくっと削られていますが。
そしてもう一つは、盛り上げどころとしてキャラクターの人間関係を動かすこと。
時期限定イベントである文化祭の扱いは、常時稼働イベントのように扱われる生徒会執行部と似ています。
理由付けに使われるのは、学生の自治。
大人がフォローできる状態で経験をさせ、学ばさせる。
異世界物だと、王族が生徒会長やってるのは国家運営スキル上げのための練習対象扱いにされてることも多いようです。
ですがこれ、圧倒的に恋愛もの女性向けに多い扱いなんですよ。
では、男性の描く学園物ではどうなのか?
筆者が見る限り、そもそも文化祭自体、描かれる頻度が低いようです。
代わりに描かれるのは『競技会』。天下一……いや学園内とか他の学園との武闘会だとか、魔術とか。
それも主人公は一参加者として扱われることが多い。場合によってはブッチ。
生徒会執行部?なにそれなレベル。
運営する気ないんかいといいたいくらい。
いや、内政チートものはあるんだから、国家じゃなくても領地運営とかやるんじゃないの?
ええ、ありますとも。
ただしそれらは実地ですよ実地。
学園内でおままごとしようなんてぬるいことは言わない。自分の領地で一からレッツ実践。
この極端な描かれ方の差は、王族スタートより一般生徒からの成り上がりが描かれやすいからだけではなく、『主人公の活躍』をどう描き、どう読むかに関わっているように筆者は思います。
がつがつ戦って、勝つ。バトル系のかっこよさに重心を置くか、それともフィジカルな強さより集団を育てるシミュレーション的な面白さを取り上げるか。
バトルを書くのに、せっかく誰かが尻拭いを必ずしてくれる環境を設定したんだ、後始末なんて書いてたらだれる。
シミュレーションのさらに模擬なんてやってられない。うまくいったところまでデータを反映できるというのなら死に戻り系ループ設定つけとけばそれで十分、ということもあるのでしょう。
恋愛成り上がり要素の強い、女性向け恋愛もので運営に主人公が関わる理由は――本編で。
尻切れとんぼと呼ばないで!(笑)
タイトルにも入れましたが、これは拙文『スパダリの対偶』の番外編として作成しました。
なので、女性が国家や領地の運営に関わる理由という、ちょっと文化祭というお題には関わらないところまで話が広がる部分については、別途投稿したいと思います(つまりまだ書いてない)。
お待ちください。
もーちょっとだけ、続くんじゃ。