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神人共存

紅梅、松風、桜雫

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

元ネタはとある伝説です。

飛梅様、梅香の君に大しては、開き直ってオープンな作者です。

(話すと長〜くなる話)

あの方が旅立つ時、桜の精である桜雫(さくらな)は泣いていた。天を覆う程の豊かな花弁を、雨の如く地に落としながら泣いていた。別れに耐えきれず、袴に懸命に縋り付く様は哀れでならなかった。

「行かないで下さいまし!! 我が君!! どうか……どうか……後世ですから……。私共を置いて行かないで下さいまし!!」

「うん。ごめんね……」

無情にも我が君は一言だけそう仰い、慰める様に頭を撫でる。それを俺と紅梅はただ唇を噛み締めて耐えていた。俺達まで泣いて、我が君を困らせる訳にはいかない。桜雫よ、俺達の分まで泣いてくれ。その思いを汲み取った様に、桜雫は涙が枯れるまでわんわんと泣き続けている。

紅梅(こうばい)。春を告げる花弁。仕事を忘れては行けないよ?」

「勿論で御座います……!!」

紅梅はただ黙って俯いて、主の掌を頭上で受け止める。目が完全に覚悟を決めていた。桜雫と違い、これで終わりでは無いと赤赤と闘志を燃やしていた。俺はその対象的な二人を静観し、今生の別れをただ揺蕩う。我が主、離れてもどうか、お元気で。

主と別れてから数週間。桜雫の枯れ枝の花弁を胸に抱きながら、平穏な日々を過ごしていた。

紅梅は落ち着きなく庭を彷徨っては、主が去ったであろう方角を物寂しげに眺めている。思いを馳せて居るのだろう。あの方が最も愛した精霊なのだ。そうなるのも無理はない。そしてある夜、覚悟は遂に頂点に達した。

松風(まつかぜ)。我が君の命を果たしに参ります」

「あぁ……。俺と桜雫の分まで思いを届けてくれ」

紅梅は桜雫の残した花弁と枯れ枝を抱え、闘志に燃える双眸を晒していた。これならきっと大丈夫だろう。俺が案ずる事もなく、今宵のうちに主の元へ降り立つ。それぐらいの気概で紅梅は腹を括っている。さよなら、紅梅。俺達の分まで主の事を。

そして朝方、紅梅が主の元へ降り立って気配を感じた。どうやらきちんと飛べたらしい。

今、あの方の元には紅梅がいる。別に俺が居なくとも大丈夫だろう。なんせ一番あの方が愛したのは俺でも、桜雫(さくらな)でもなく、紅梅なのだから。その事に大して気にした事は無かった。そう、あの時までは。

ある時、風に任せて耳を澄ませていると、梅の木の元で主と紅梅の会話が聞こえてきた。

「紅梅は私の元に。桜雫(さくらな)は枯れ果てた。何故……松風は素っ気ないのだろうね……」

それから数日後、我が主はこの世を去った。


今日も沢山願いを叶えた。そして霊力を蓄えた。このまま沢山、沢山抱え込んでいると、力のままに振りかざしてしまう。だから私を慕ってくれる精霊達に等しく分配しよう。そう思って、私は一人、名を呼んだ。

「紅梅」

「飛梅様」

現れたのは女性ではなく男性。短く跳ね回ったくせっ毛に、鋭い眼光。硬く引き結ばれた口は、常日頃から思いを口にしない彼らしさを表す。彼は片膝を着き、深深と頭を垂れた。

「今日も素早いね。松風」

「はい」

「まだ気にして居るの?」

「いいえ。『素っ気ない』と仰られた事など微塵も気にしてはおりません」

無表情を貫いているように見えて、僅かに眉が動いた。昔はそんな事も全て包み隠して居たけれど、今では大分、素直に感情を出すようになった。いい事だ。

松風ばかりに気を取られていたが、紅梅も私の前で膝を着いていた。癖のない長髪を床まで垂らし、白梅の肌を天に上げる。

「紅梅は此方に」

「いい子。いい子。いい子だね。君達は」

可愛い私の精霊達。桜雫(さくらな)はもう居ないけれど、紅梅、松風の中に気配は感じるよ。これからもずっと宜しくね。

〜登場人物紹介〜


紅梅(こうばい)

梅香の君(飛梅様)を慕う精霊の一人。

黒髪長髪、白梅の肌した麗人。

三精霊の中で一番思いが強いし、貫く意思がある。

美しさに反し、主に対する覚悟はガンギマリ。(主自身感情が大きいので)

遠い? だから何です? 私の忠誠が、高々距離如きで怯むとでも?

多分この後も出すので軽〜く。


松風(まつかぜ)

梅香の君(飛梅様)を慕う精霊の一人。

黒髪短髪、鋭い眼光。思いは胸に仕舞うタイプ。

三精霊の中で一番冷静だと思う。静観してる。

でも『素っ気ない』と言われた時は滅茶苦茶傷付いた。

俺も貴方のことを慕ってたんですけど!!

ぐらいには未だに思ってる。(主自身、感情が大きいので)

だから、慕っていることを示す為に、紅梅の名前が呼ばれた際には直ぐに馳せ参じる。

どうせ俺も呼ぶでしょ?


桜雫(さくらな)

梅香の君(飛梅様)を慕う精霊の一人。

白金のふわふわした髪。ロゼの目をした麗人。

三精霊の中で一番精神的に幼く、無邪気。

別れに耐えきれず、梅香の君が離れた後には延々と花弁と葉を落とし続けて枯れてしまった。

残った花弁と枯れ枝は、紅梅と松風が大元の神様に頼み込んで統合された。

つまり、桜雫の成分が二人に宿っている。

(某海外吸血鬼小説を思い出しますね〜!! 松風が感情を現したのも、これが理由)

実は名前が決まらなくて投稿を躊躇っていた唯一の子。

この世にはもう居ないけど、意思は二人の精の共に。


因みに梅香の君はこの三精霊を子供のように思ってる。

だからついつい甘やかしちゃう。


前々から考えて居たんですよ。

桜雫の名前が決まらずに投稿出来ませんでした。

もっと深堀すれば、長編にもなり得る。

奥が深い元ネタ。


ヲタ用語でサラリと言うと、最古参の強火の話。

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