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ナノマシーン革命

作者: 星野☆明美

8月27日 AFP】米国の研究者らが、皮下注射で体内に注入でき、レーザー光の刺激で動く、肉眼では見えないほど小型の四足歩行ロボットを大量に作製した。特に医療分野でさまざまな用途に利用できる可能性があるという。


すごく小さい(髪の毛と同じ程度の0.1mm)のロボットが開発されました という話です。


強酸性の中でも、マイナス73度でも動作可能だそうです。


仕組みとしては、外部からレーザーでロボットを刺激して動作させる仕組み。


今後の展開としては周囲の環境を自動認識し、反応し、プログラム通りに動作するようなものを作っていきたいそうです。


さらに進むと病気でなくてもヘルスケアのために常に体内に入れておくような使い方もできるかもしれませんね。

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Twitterで上記の記事を発見しました。(令和2年)

以前私が書いた「十三月革命」という小説で登場人物のリラシナがナノマシーンを飲み水に投入してしまうくだりがあるのですが、それによって水を飲んだ人々が暴徒と化します。まずは悪用されないことを願うばかりです。

おそらく、治療で、皮下に出来た脂の塊を切り取ったりとか、レーザーが届く場所なら癌細胞の切除などなどこれから開発次第では大活躍することでしょう。


ナノマシーン革命ここからSFです。【設定】


生理食塩水の中に一定量のナノマシーンが入っている。注射で血管に注入すると、血栓を分解する。動脈硬化した血管の壁に然るべき措置ができる。

髪の毛以下の大きさで、遠隔操作が可能。医療従事者は巨大なスクリーンで拡大した映像が見れる。

AIが搭載されていて、ウイルスにも攻撃ができる。

脂肪を分解して肥満などの成人病対策がとれる。

薬や漢方薬の作用に似た働きをする。もっと言えば薬の代わりにナノマシーンを服薬できる。

作用後は自然に体外へ排出される。


【本文】


エドワードはタブレットをいつも持ち歩いている。パソコンより携帯するのに便利だし、最近出た機種はパソコンと同等以上の機能がついているのだ。

マーサおばさんが頭痛がひどいという噂を聞いて、一応念のため、ナノマシーンを疑って出張ってきた。

「こんにちは」

「はい。……おや、小さなお客さんだね」

無理もない。エドワードはまだ10歳になったばかりなのだから。でもみくびってもらっちゃ困る。これでもスペシャリストなんだ。

ナノマシーン追跡ソフトで近辺のナノマシーンの所在を調べる。ビンゴ!マーサおばさんの頭部に異常な数のナノマシーンが存在している!

「仕事は忙しい?」

「ええ。徹夜続きよ」

「アドレナリン放出のナノマシーンを使った?」

「!どうしてわかったの?」

「使いすぎだよ。頭痛はそのせいで起こってる」

「まあ!」

たまに違法スレスレでアドレナリン放出のナノマシーンを使用している輩がいるけれど、マーサおばさんはそうじゃないようだった。本当に仕事が忙しそうだ。

エドワードはタブレットでナノマシーンの個体識別番号をコンピュータで計算させて言い当てると、それらのナノマシーンに内蔵されているAIに直ちに人体から放出されるように指示を書き換えた。

「念のため、お水をコップ一杯飲んでください」

「お水ね」

じきにマーサおばさんの頭痛は治まった。

「ああ、眠い」

「寝不足ですよ。しっかり寝てください」

「わかったわ。どうもありがとう」

「どういたしまして」

エドワードの日常はこんな感じだった。



「ただいま」

「おう。帰ったか。どうだったマーサおばさんは?」

エドワードの父親で町医者のアランが出迎えた。

ちょうど診察が終わったところだったらしく、白衣姿だ。

「次の患者さんから助手として入ってくれ」

「うん。お父さん」

「何度も言ってるが、医者になる気はないのか?」

「僕はナノマシーンのメンテナンスをする仕事に就きたいんだ」

「そうか。残念だ」

看護師が次の患者を案内してきた。

動脈硬化気味で、いつ血管壁が剥離して血栓ができてもおかしくなかった。

ナノマシーンに血管壁にこばりついた汚れを取り除く作用をインプットした。

肉眼では見えないため、3ccの生理食塩水のアンプル内に1ダース入っているものを注射で投与した。

「お父さん。もし血栓ができたら、すぐにそれを取り除く機能をつけておこうか」

「できるか?頼む」

エドワードはタブレットでナノマシーン内のAIに指示を書き込んだ。

「坊や」

「エドワードです」

「できれば肥満もなんとかできないかい?」

「できますよ。脂肪を燃焼させる働きをするナノマシーンを追加投与しましょうか?」

「先生、いいですか?」

「ええ。いいですよ。でも、一応食事療法もやっときましょう。栄養士を紹介します」

「よろしくお願いします」

「では。次の方」

この病院が繁盛するのは、患者からクチコミで話を聞いた人たちのおかげだった。エドワードの人気はうなぎのぼりだったが、エドワードはいい気になることもなく、自然体で日々を過ごしていた。



コロナウイルス対策で、ワクチンの代わりにナノマシーンを使用していた。あらかじめ体内にナノマシーンを注入しておき、ウイルスがその尖った長いスパイクでアンジオテンシンIIの受容体に刺さる時に、スパイクを破壊して侵入を防ぐ役割を担っていた。

ウイルスが猛威をふるった時代は終わりを告げた。亡くなる人の数もぐんと減った。



手術の際、ナノマシーン内のAIから映像が送られてきて、医療従事者は巨大なスクリーンで局所まで確認できた。ナノマシーンの数を調整して大小さまざまな使い方ができた。



薬の代わりにナノマシーンを服薬するようになった。AIに書き込んでおけば、用がなくなったら自然に体外排出された。自然界に拡散したナノマシーンを集めて再利用することもできた。



「集団暴徒化現象をどう思う?」

エドワードは20歳になっていた。アランに問われて、彼は思慮深い眼差しで父親を見た。

「ナノマシーンの悪用かもしれませんね。AIのデータ書き換えにロックがかかるように開発する必要があるでしょう」

アランは息子を頼もしく誇りに思っていた。

「僕はナノマシーンのメンテナンスの仕事に就いてよかったです。本当にやりがいがある」

エドワードは今日もタブレットを肌身離さず携帯して、仕事に励んだ。


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