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【Black】Restart  作者: 漉凛/こりん
『月の乙女のティアラ』編
7/16

5

私は夢を見た。








小さい頃、確かあれは私が9歳の時の話。

突然発作を起こした私はその場で倒れて、それから救急車に乗って病院へ運ばれた。



目を開けると白い天井が見える。

私は自分が倒れて運ばれたことが分かった。



小さい頃から患っていた。

「20歳まで生きればいいほうだ。」

と医者には言われていた。



私はまだ正常に戻らない不自由な体で何とか起き上がる。

そしてあたりを見渡した。



そこから分かったのはここは病院の個室の病室で、かなり高いところの病室だということだけが分かった。



...ああ、私はもう生きられないのかな?もう、死んじゃうのかな?



不安になった私は誰もいない病室でただ俯いた。

その時、ガラリと病室の扉が開く音が聞こえた。

お母さんか、お医者さんか、または見回りの看護師さんか誰かは分からないけど足音が近づいてくる。



手前にあるカーテンが開けられたときにそこに立っていたのは予想した誰でもない少女だった。

ミルクティーブロンドの髪に、藍色と月白色をグラデーションしたような瞳、彼女は見るからに儚げで今にも消えてしまいそうに見えた。

最初は幽霊なのかと思った、しかし彼女は生きている人間だった。



彼女は口を弧の形に描きながら私に話しかけた。

「貴方も、ここに入院している子なのね。実は、私も少しの間入院しているの。私の部屋は隣だから、これからできるだけ少しの間よろしくね。」



私は彼女が喋ったことに驚いた。

彼女はどこか日本人離れしていて、でも綺麗な日本語を喋っていて、妖精かと思うほどの容姿をしているそんな彼女は話しかけてこない存在だと思ったのだ。



彼女は私のベッドのところまできて私の手を握る。

白い彼女の手は温かかった。



「私はあずみ、よろしくね。貴方のお名前は?」



私は少し戸惑いながら答える。



「わ、私は咲、よ、よろしく、ね。」



彼女はふっと花が咲くように笑ったかと思うと手を離して「じゃあね。」と言って部屋を出ていった。

その数分後に看護師さんが見回りに来て私が起きたことを知るとすぐに親に連絡を入れてくれて、お医者さんに診てもらった。

お医者さんの診断からは「数日は入院したほうがよさそうだね。」ということなので数日入院をした。



そして私は退院の日に親に「先に行ってて。」と言って隣の部屋のネームカードを見たけれど、どちらの部屋にも誰も入院していなかった。

通りかかった看護師さんに彼女のことを聞いてみたら数日前に退院したとのことだそうだ。



久しぶりに病院の外に出た時にふと桜の木が目に入る。

そして上の枝の方を見ると彼女はそこに座っていた。



微笑みながら手を振って口パクで「バイバイ」と言っているように見えた。

不思議な子だと思った、彼女はどこが悪いのだろうかというぐらい元気そうだ。

でも、きっと彼女は病気にかかっていたのだろう。



私と同じ、それかもっと重い不治の病を患っているのだろう。

私と同じ階で入院していたということはそう言うことだ。





小さい頃に入院した時に同じ階にいた子と仲良くなった事があった。



しかし彼女はすぐにいなくなってしまった。

いや、正確に言うと彼女は亡くなってしまったのだ。



彼女と遊ぼうと彼女の病室を覗いた時に私は言葉を失った。

そこには彼女の母親と父親が顔を俯けてベッドを見ていた。

私はもう少しよく見てみようと病室に入った。



私は目の前の光景に驚いて思わずスケッチブックを落としてしまう。

「.........さ、やちゃん?さやちゃん?!」

私がいくら呼んでも彼女からの返答はなかった。



彼女は目を閉じたまま何も喋らない。

決して眠ってない、彼女はすでに息を引き取っていた。

私はショックでその場に倒れた。





その時私は知った。

命はとても脆く、儚いことを。









そんな経験から私はあずみと名乗った彼女も何かの病気を患っていることがなんとなく分かった。

私は彼女に手を振り返す。



隣を歩いていたお母さんが「咲?何をしているの?」と言うので「木の枝の上にいる子に手を振っているの。」と言うとお母さんは不思議な顔をした後「誰もいないわよ?」と言う。

私は彼女がいた枝を見るけれど彼女はもうそこにはいなかった。









朝のアラームが部屋に鳴り響く。

私は薄っすらと目を開けた。



するといつもの自室の天井だった。




顔を洗いに洗面所に行く。

リビングにはお母さんがいて朝ごはんを作っていた。



お母さんは私の顔を見ると口を開いた。

「おはよう、咲。良く寝れた?そういえば今日は珍しくようちゃんが家に来れないって、あと聖麗ちゃんから『今日は行けなそうだ。明日は絶対行くよ。』って連絡が来てたわよ~。」



「ん~、おはよう。寝れたよ。そうなんだ、珍しいね、ようちゃんが来ないなんて。聖麗も来る予定だったんだ...仕事しなくていいのかな?」

今日は二人は家に来ないみたいだ。



まあ、二人共社会人だから大変なところもあるのだろう。




ということで、私は朝ごはんを食べて一仕事して、その日は意外と仕事に時間がかかってしまったのでゲームをする時間はできなかった。

次回の投稿は明日の20時です。次回予告『意外な出会い』

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