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獅子と翼

アイン様の言葉に再び私は思考の海へと沈んでいきます。


難しい話は置いておいて、婚約破棄が問題ならば最初から婚約しなければ良いということです。

また、殿下とメリルさんが、必ず結ばれる運命というのであれば私以外の貴族の娘と婚約しても同じ結末を辿るでしょう。

ならばメリルさんを殿下に相応しい立場に整えてから婚約させてはどうでしょうか?

それならば貴族としての教育の時間も取れるので学園の卒業式からいきなり貴族にと言われるよりも遥かに良い気がしますね。

そうなってくると我が家で養子に迎え入れ、貴族として教育を施し、将来の王妃としての教養を私が教えるのが一番早いのではないでしょうか?

メリルさんは私より一つ年下だったはず。

姉と妹という立場なら近くで見守り導くことも出来るはずですわ。

問題はこの方法はお父様の協力が必要だということですね。


「一つ・・・妙案がありますわ」


「ほう、聞かせてもらえないかね?」


アイン様に私が考えた方法をお話しします。


「・・・という方法でメリルさんを我が家に迎え入れ、教育を施しながら殿下との婚約に持っていくという方法です」


「メリル嬢を自らの手で王妃に相応しい立場に育てあげるというのか・・・ハハハ!!

面白い、実に面白いアイデアではないか!」


私がそう話すとアイン様は突然大笑いなさいました。


「お褒め頂きありがとうございます。

細々とした問題点は置いておくとして一番大きな問題が一つ。

お父様の協力が得られなければこの作戦は成功しません。

ここでの話をして信じてもらえるかどうか」


「ふむ・・・君が戻るのは人間が物心がつくと言われてる年代。

だいたい5歳頃になるはずだ。

その歳で今までに受けた王妃教育の成果を見せれば信じてもらえそうではあるが・・・。

ああ・・・そういえば君に渡すものがあった」


そう言って彼がテーブルの上に手のひらをかざすとそこに金色の懐中時計が現れた。

更にそこに時計の表面には剣を咥えた獅子が刻まれていた。

これは我がエリディス王家の紋章になっている有名なシンボルですが、少し違う場所があるような気がします。

そう・・・王家の家紋には獅子に翼があったはずです。


「エリディス王家の紋章に似ていますが翼がありませんわね」


「ふふふ、その通りだよ。

これは私が建国する前の家紋なのだ。

建国してからはエリディス王国を私の手で強くするという決意の為に獅子に翼を付け足したのだ。

最もいまやそれを知っているのは王家と四代貴族であるクロード家、スペンサー家、ハイド家、ダイナ家の当主くらいであろう」


確かに私が王妃教育を受けていても習わなかったことから一部のものにしか伝わらないように規制された情報なのでしょう。


「これを持って初代様にお会いしたという話をすれば信憑性が増して信じてもらえるかもしれませんわね。

こちらはありがたく受け取りたいと思います。

・・・ところで何故この情報は規制されているのでしょうか?」


私は疑問をそのまま口にしてしまいます。

するとアイン様の白い身体が少し赤くなり


「強くするからと言って獅子に翼をつけてなどという話、恥ずかしいではないか。

若気の至りが伝承として長く広く語り継がれるのは堪らんよ」


と仰り私は思わず笑ってしまいました。

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