エリディス王立学校と選択学科
何だか随分と長い時間がかかった気がしますが、ようやく入学式の行われる講堂にたどり着きました。
シグルド様は今回は生徒ではなく視察に来た王族という形を取っているので貴賓席の方に行かれます。
「それじゃ、また後でね。
メリルの活躍しっかりと見させてもらうよ」
最後にアピールしていくところを忘れないのは流石王子様といったところでしょうか。
前の時間での粗暴な振る舞いが一切なくなり、洗練された動きをするようになりましたので周りの女生徒の視線とため息が凄いですわね。
その後、私たちはゾロゾロと中に入ります。
席は特に決められていないということでしたがメリルは挨拶があるために最前列に座るように言われています。
なので、私たちは自然とメリルを中心に一番前に行きました。
私は前の時間軸で知っていますが、普通はここで校長の挨拶から始まり各教科の先生が紹介されます。
その後、新入生代表の挨拶があり、校長の締めの挨拶で終わりです。
私は今回は挨拶がないので気楽に構えておりました。
・・・ええ、油断しておりましたわ。
なぜ、騎士科に所属する教師の紹介でお爺様が出てきたのでしょうか!?
お爺様、私達に気付いて笑顔で手を振らないでくださいまし!
「お・・・お姉様。なぜお爺様が教師の紹介で出てこられたのでしょうか?」
「分かりません・・・分かりませんが一つ間違い無いのは今年の騎士科の生徒は地獄を見ますわね」
祖父はかつて隣国の侵略から前線を指揮して戦った騎士です。
そして、未だにトレーニングを欠かさないどころかモニカの提唱する肉体開発の運動も貪欲に取り上げておられました。
おかげで私の領地の騎士団は精強なもののエリディス王国一厳しいと知られています。
そのお爺様が教師となられたのです。
騎士科の生徒にはご愁傷様というしかないでしょう。
特待生の中にも騎士科に所属するものがいるのでしょうか?
この貴族学校・・・正式にはエリディス王立学校では最初に希望する学科を選びます。
主に騎士科、文官科、領主科です。
基本的な教養の授業+学科の授業という形ですね。
通常は貴族の跡取り出ないものや特待生が前の二つを。
跡取りが領主科を取るのですが、メリルも王妃になる予定なので2人で領主科を選択しております。
共通の授業ではビリー達と一緒になりますが、選択学科の授業では私、メリル、エミリオ、シャルロットの4人のみが受けることになるでしょうね。
そんな事をぼんやりと考えていたらメリルの挨拶の出番が回ってきました。
「それではお姉様、行ってきますわ」
「ええ、貴女なら簡単にこなせることよ。
楽しむくらいの余裕で行ってらっしゃい」




