シャルロット・カミール 1
やらかしてしまいましたわあああああ!!
私は自分の部屋に戻ると頭を抱えて蹲ってしまいました。
堅苦しい実家から学校の寮へ移って浮かれていたのでしょう。
私は傘下の子爵・男爵令嬢を率いて庭に散策へ行きました。
そこには制服を着た男女6人がワイワイと騒いでいたのです。
この学校には指定の制服があり昔はそれを全員が着るというルールがあったらしいですわ。
しかし、一部の上級貴族が毎日同じ服など着ていられないと学校側に訴えて自由にさせたそうです。
結果、毎日違う服で着飾るのが上級貴族の嗜みとされ、制服を着ているのは下級貴族や平民とみなされ馬鹿にされることになったと聞いておりますわ。
まだ上級生の方々がおられないので問題なさそうですが、その方達が戻ってきたときにこんな風に騒いでいたら絶対に厄介な絡まれ方をしますわね。
その前に私がガツンと言って立場というものを教えてさしあげましょう。
そう思って私は彼らの前に立ったのですが・・・
「なんでクロード公爵令嬢が制服を着てますのおおおおお!」
クロード公爵と言えば、エリディス王国で最も力のある勢力と言われています。
養子に迎えたメリル・クロードは王太子殿下の婚約者で次代の王妃となる方です。
姉のエリカ・クロードは一年ほどは病欠で噂を聞きませんでしたが、妹の後見人として、また王太子殿下と仲の良い友人として有名な話題の方でした。
そんなお2人が制服を着て下々の者と混じって話をしているなど誰が想像できますか?
しかも、そこにシグルド王子とエミリオ王子まで現れるなんて・・・。
入学する前から盛大にやらかしてしまったことの大きさにどうしたらいいのか分かりません。
そんなどうしようもない程に落ち込んでいると取り巻きの一人が声をかけてきました。
「シャルロット様、少々よろしいでしょうか?」
この娘は最近この中に入ってきた者でしたわね。
名前は確か・・・ネリィ・オーエン。
そう、オーエン子爵の娘でしたわ。
「見て分かると思うけれど、私はとても落ち込んでおりますの。
貴女にこの状況を打開する術でもありますの?」
私がそういうと彼女は一言
「あります」
と答えましたわ。
「ほ・・・本当に?」
「ええ、実は私は過去にクロード家で行われている夜会に参加していた時期がありまして、エリカ様とメリル様のお二人と面識がございます。
今から私が面会を申し込んでシャルロット様が先ほどの無礼を詫びたいと伝え、その流れで謝罪するという形はどうでしょうか?
お二人は心優しい方なのできっと快く許してくれることでしょう。
そうなればシャルロット様はお二人と入学前に縁を紡ぐことも出来るでしょう」
私はネリィの言葉でその光景を想像します。
確かにここで謝罪して受け入れてもらえれば、先程のミスを帳消しにしてお釣りがきますわ!
「その意見採用しますわ!
貴女、見所がありますわね」
「ありがとうございます。
つきましてはお二人の心象を更に良くする為の案がございます」
「あら、ここまで素晴らしい意見を出してくれたネリィの言うことですもの。
間違いないはずですわね!」
数十分後、私達は制服を着てクロード公爵令嬢に割り当てられた部屋の前まで来ました。




