特待生達との出会い
学校は入学式が始まり、1週間は新入生への授業への説明。
学校内の案内、顔合わせのレクリエーションなどが行われその後授業がスタートします。
現在は校舎は施錠されており入れず、授業の開始は1週間後なので2年、3年はまだ寮に戻ってきてはいないでしょう。
その為に敷地内は人が殆どおらず閑散としております。
私たちが中庭に向かうとそこでワイワイと騒ぐ男女がいました。
彼らは男の子2人と女の子2人の4人組で私達と同じように制服を着ています。
私たちはその4人に近づき
「ご機嫌よう」
と挨拶をしました。
突然の挨拶に彼らは驚いて話をやめてこちらを見ます。
そんな中、男の子の1人が
「なんだ、貴族様かよ!」
と言いました。
その言葉にムッとしたのかメリルの握っていた手に力がこもります。
私はメリルが落ち着くように何度かギュッ、ギュッと握り返しました。
私たちがそうしてコミュニケーションを取っていると、もう片方の男の子が慌てます。
「ばか、いきなりなんて事言うんだ。
申し訳ありません、貴族様。
こいつにはよく言って聞かせますので」
と、頭を下げます。
それに合わせて女の子達も
「申し訳ありません」
と、頭を下げました。
当の本人もここで自分が良くない行動をしたと気づいたのか
「悪かったよ」
と、ぶっきらぼうながら頭を下げました。
「どうぞお気になさらずに。
この学校内では生徒は全員が平等なのですから」
「お姉様がそう仰るなら私も気にしませんわ」
と私達が言うと4人は驚いた表情のまま顔を上げます。
「あんた達良いやつなんだな。
さっきは本当に悪かった」
ともう一度頭を下げられました。
「先ほども言いましたがお気にならずに。
せっかくこうして出会えたのですから自己紹介でもしませんか?」
私の言葉に周りの子達は次々と賛成してくれます。
「それじゃ、先ずはこちらから名乗らせてくれ。
俺の名前はビリー・ブレイズ。
この学校には特待生として入ってきた」
燃えるような赤い髪をした彼はそう名乗りました。
身長が高く野生の獣を思わせる風貌をしていますが、特待生ということは勉学が出来るということでしょう。
「次は僕の番かな?
僕の名前はマーク・オーエンスと言います。
同じく特待生として入ってきた平民です。
正直、貴族と会うのは初めてなんですが貴方達のような考えの方で良かったです」
銀髪に眼鏡をかけた彼はビリーとは真逆のタイプに思えます。
理性的な話し方からは知性が窺えるような気がしており、マークからは貴族を名乗ってもおかしくない雰囲気を感じました。
「はいは〜い、次はあたしだね!
あたしの名前はカチュア・フレイル。
良かったら同じ女の子同士良かったら仲良くしてね!」
元気いっぱいに挨拶をしてきたのは青い髪をしたショートカットの女の子。
私たちの繋いでいない方の手を握ってぶんぶんと元気に振りながら挨拶をします。
「私は・・・パメラ・リィス。
よろしく・・・」
最後に白く背中まで伸ばした長い髪の少女が、おずおずと言った感じで挨拶します。
見た目から分かる通りにかなり大人しそうな女性なのでしょう。
「挨拶ありがとうございます。
私たちは・・・」
と挨拶しようとした矢先
「あら、貧乏くさい臭いがしますわね!」
という言葉に遮られてしまいました。




