メリル・ブラウン3
私は改めてシグルド王子の元に戻ります。
王子は待たせてしまった事を不快に感じる事なくニコニコとしておられました。
やはり国を背負って立つお方というのは度量も優れておいでなのでしょう。
それからシグルド王子はずっと気さくに話しかけてくれました。
私が理解できなった部分は旦那様や奥様が分かりやすく教えてくださいましたので会話が詰まるという事もありませんでした。
いつの間にか私たちは完全に打ち解けてパーティーが終了するまで楽しくお喋りしてしまいました。
シグルド王子も城にお戻りになる時間となり私に別れの言葉をかけて頂きました。
これで夢のような時間も終わり・・・そう思っていたのですがお姉様が唐突にシグルド王子に話しかけます。
それも今日は殆ど言葉をかわしていない筈なのにとても仲良くなれたとアピールしております。
政治的なご判断なのでしょうか?
シグルド王子も同じように顔に疑問符が浮かんでおります。
しかし、その後の仲の良いお友達ならばお互いの家に遊びに行くという言葉にシグルド王子は何かを感じとったのか、感謝の言葉を述べ周りにも自分はお姉様と友情を深められたと宣言されました。
まだ、意味の分かっていなかった私の前でお姉様は更に言葉を続けます。
王子が遊びに来られる時は妹と共に出迎えると。
・・・この場合の妹とは私のことですよね?
私はやっとお姉様とシグルド王子のやりとりの意味に気付きました。
お姉様は約束通りに私の想いを無駄にせずに次に繋げてくれたのです。
お姉様の優しさに感動している私の前でお姉様はまた姉妹の時間が出来ると微笑んで下さいました。
私、一生お姉様についていきますわ!
・・・そう心の中に誓って3日後。
私はまた貴族令嬢の姿で王城に来ております。
お姉様・・・いくらなんでも早すぎますわ。
しかし、そんなお姉様の早すぎる行動にシグルド王子は嫌な顔をせずに部屋に迎えてくれましてた。
シグルド王子からもてなされていると扉がノックされます。
今からシグルド王子は勉強の時間になるそうです。
シグルド王子と一緒に居られる時間も終わりですか・・・私が密かに落ち込んでいると教師が私たちと同じクラリス先生だと知ったお姉様はとんでもない提案をされます。
何と、普段私がお姉様に勉強を教わっているように、シグルド王子に私が勉強を教えてはどうかと言われたのです。
そんな事出来るはずがないと思ったのですが、どうやらシグルド王子の勉強は私たちよりもかなり遅れているようでした。
やはり第一王子という立場は忙しく勉学の時間すら中々取れないのでしょう。
私はお姉様を信じ、その提案を受け入れることにしました。
その後、お姉様は庭園の散策に行ってしまわれました。
私はシグルド王子の隣に座り勉学の進歩具合をみます。
・・・なるほど、この辺りならば確かに問題なく教えることができるでしょう。
シグルド王子は最初は私がこの勉強を理解し教えることが出来ることに驚いておりました。
しかし、すぐに真面目な表情になると熱心に勉学に打ち込まれました。
シグルド王子はとても優秀で私が教えた事をすぐに理解し、実践し、応用されました。
私は何か間違えていないかクラリス先生を見ましたが、先生は優しく微笑んで頷いてくれます。
こうして熱心に勉強に打ち込んでいるとクラリス先生から
「今日はここまでにしましょう」
と声をかけられました。
気がつけば随分と時間が過ぎていました。
シグルド王子の勉強もかなり進んだと思います。
「このペースならばすぐに追い越されてしまいそうです」
「そなたのお陰だ。
私は今日、勉学の喜びというものを初めて知った。
ありがとう、メリル」
王子は真っ直ぐに私をみてお礼を述べます。
私は顔を真っ赤にしながらも
「シグルド王子の役に立てたならこれ程嬉しいことはありません」
と答えました。
クラリス先生はそんな私たちが本当に微笑ましいと言わんばかりにニコニコと見ておられました。
そのあとはクラリス先生も交えて様々な話をしました。
そして、楽しい時間はあっという間に終わり旦那様とお姉様が迎えに来られました。
帰りの馬車の中で今日も夢のような時間を過ごせた事を嬉しく思っておりますとお姉様が真剣な表情で私に仰られました。
屋敷に戻ってから大事な話があると。
お気付きだとは思いますがメリルから見たシグルドには乙女フィルターがかかってります。
但し、シグルド王子はメリルの前ではフィルター通りの人物なのは間違いではありません。




