前世の呪い
「あの、本当にアイン様が謝られる事ではありませんので・・・。
それよりも何故私はこんな所にいるのでしょうか?」
「確かに本題に入った方が良さそうだな。
先ずは質問の答えだが、君をここに呼んだのは私だ。
君に会い、頼みたい事があるのだ」
「頼みですか?それはいったいどのような事なのでしょうか?」
「それを語る前に少し私の話をさせてくれたまえ。
私はエリディス王国を建国したのち、この地の神々にその功績を認められて眷属になることを許されたのだよ」
「まぁ、神様の眷属に!
あ・・・話を遮ってしまい申し訳ありません」
私はアイン様の言葉に驚きをの声をあげたのちに、話を遮ってしまったことを謝罪します。
「いや、構わないよ。
眷属になるときに願いを一つ叶えてあげようと言われてね・・・そこで私はこう願ったのだよ。
この国が滅びに瀕したときにそれをやり直すチャンスを与えてくれとね。
神はそれを了承して一度だけになるがチャンスを与えようと仰ってくれたのだよ」
「やり直すチャンス・・・それが私がここにいる理由ですか?」
「その通りだ。
エリカ君には多大な迷惑をかけることになり申し訳ないが、過去に戻り滅びのきっかけとなる婚約破棄をどうにか防いでほしい」
「なるほど・・・私がもっと上手く立ち回れば婚約破棄を宣言されることも無くなりますか」
私がそう言うとアイン様は顔・・・はよく分からないですが明らかに疲れたような様子で首を振りました。
「いや、実はそのような単純なことで解決する話では無いのだ。
今回の騒動のきっかけとなったシグルドとメリル嬢だが、あの2人はどうやっても結ばれる運命にあるらしい。
これは神に直接聞いた話なので間違いない」
「運命の人というものですか?
ロマンチックな話ではありますが・・・」
「そのようなロマンのある話なら良かったのだが、そうではないらしい。
本来、人にそのような決められた運命などは持たない。
自分で切り開いてこそというのが神の教えだからね」
「では、なぜあの2人は?」
「それは彼らの前世がかけた祈り・・・らしいが、記憶も何もないのに結ばれる運命というのは最早呪いというしかないかもしれないな。
この事に関しては私も詳しくは教えてもらえてないんだよ。
ただ、あの2人はどうあっても結ばれる・・・作られた運命の元にあるということだ」