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再び王城へ

誕生パーティーから3日後。

私はお父様に連れられて王城に向かっております。

私が王城に行ったならシグルド王子が騒ぎ出すのは分かっておりますので抑止力に令嬢スタイルのメリルも連れてきております。

最初は抵抗しましたがお父様からも頼まれ、お母様が嬉々として着飾ろうと待ち構えているのを見て諦めたようですね。

もちろん「お嬢様〜」と泣きつくメリルの肩を掴みながら


「今日はお姉様よ!!」


と指導しておくことは忘れません。


城に到着すると入り口にパーティーでも見かけた王子のお付きの方がいらっしゃいます。

彼はこちらを見かけると


「ようこそ、いらっしゃいました。

心より歓迎いたします、クロード公爵」


とお父様に頭を下げて挨拶をなさいます。


「うむ、歓迎の心遣いに感謝を。

ところで何故王子のお付きの君がここに?」


「は、王子からクロード公爵がお嬢様を連れて来られるという連絡を受け、王子は良ければお嬢様方の相手をされたいと申しております」


「なるほど、それは助かります。

私は国王と話し合う議題がありますので、どなたかに娘の案内を頼もうと思っていたところでしたよ」


お父様はそう言って私達を見ると


「王子がお待ちかねだそうだ。

案内してもらいなさい」


と私達を促しました。

今日は仲良し姉妹をアピールするためにメリルと手を繋ぎながらお付きの方に案内してもらいます。


「こちらで王子がお待ちです。

失礼します、王子。

クロード公爵のお嬢様方をお連れしました」


彼はノックをしてから扉を開けます。


「よく我が城まで来てくれた。

エリカ嬢、メリル嬢。

心から歓迎するぞ」


シグルド王子は満面の笑顔で私達を迎えてくれます。

本当にメリルといると前の時間軸では見なかった顔を見せてくれますわね。

私達は王子に案内されてソファーの上に腰掛けます。

その様子を見てすぐに王子の侍女がお茶を淹れてテーブルに出してくれました。

それを飲みながら3人で談笑します。

しばらくすると部屋をノックする音が響きます。


「失礼します、シグルド王子。

お勉強の時間ですのでクラリス様がお越しになっております」


「なに?今日は客が来ているから勉強は無しだ!」


「少しお待ち頂いてもよろしいでしょうか?」


勉強嫌いのシグルド王子は私達が来たことによってサボる口実を得たと思いかもしれませんがこのチャンスは逃せません。

前の時間では王子はマナーが全く身についておりませんでしたのでここで矯正させて頂きましょう。


「どうしたかね、エリカ嬢」


「王子は将来国王になられる身ですから、そんな方の勉強の時間を私達で削ってしまうのは心苦しくあります。

幸い私達2人共クラリス先生に教えを請いておりますので、私達3人に授業して頂くのは如何でしょうか。

ねぇ、メリルも王子と一緒に勉強したくはないかしら?」


「は、はい!」


私が話を振ると慌ててメリルは答えます。


「メリルがそう言うなら是非もない。

クラリス夫人を部屋にお通ししろ」


シグルド王子の言葉によりクラリス先生が部屋に通されます。

クラリス先生は部屋にいる私達、特にメリルを見て一瞬驚いた表情をされましたが、今の令嬢姿のメリルに納得がいったような顔になります。

侍女の身であったはずのメリルが私と同じ教育を受けて着飾って王城にいるのです。

彼女の中である疑問に対する答えが出たのでしょう。


「3人で授業をおうけなさるということをお聞きしました。

しかし、困りましたね」


クラリス先生は首を傾げます。


「どうされましたか?」


「言いにくいことなのですが、この3人の中ではシグルド王子が一番勉強が遅れていますの。

貴女達2人には一度習ったことの復習になりますがよろしいかしら?」


「な・・・なんだと!?

メリル、そなたもクラリス夫人から授業を受けておるのか?」


クラリス先生の言葉に王子が愕然とした表情をされております。

私はともかくメリルが授業を受けていて自分よりも優秀だとは思わなかったのでしょう。


「そうですわ!

それなら私のところでやっている授業方式を採用するのは如何かしら?

メリルが王子に勉強を教えて、クラリス先生が間違っていないかチェックするのです」


「それはいい考えですわね、エリカ嬢。

王子は如何ですか?」


「わ・・・私がメリルに勉強を教わるのが?」


まぁ、ここで言っても王子の無駄に高いプライドが邪魔しますわよね。

私は王子の近くにいくとコソコソと耳打ちする。


(王子、メリルに勉強を教わると言うことは机を並べて2人で1つの教科書を見て指導するということです。

その状況を想像してみてください)


(なに・・・む、中々良いではないか)


(後ろではクラリス先生が見守っておられますが、メリルが間違えていない限りは口出ししてきません。

また、メリルは私から見てもクラリス先生の教えをしっかりと理解していますのでそのようなことは殆ど起こらないでしょう。

私はその間、お付きの方に城の案内でもしてもらいますわ)


(なるほど。心遣い本当に感謝する。

そなたのように私の気持ちを汲んで行動してくれるものがいるのを嬉しく思うぞ)


私達は頷きあった後に離れます。


「よし、エリカ嬢。

そなたのて提案する授業を受けることにしよう。

ただ、その間にエリカ嬢を暇にさせては申し訳ないのでジェークスよ。

済まぬがエリカ嬢に城の中を案内してはくれぬか?」


「は、かしこまりました」


王子の言葉に1人の騎士が前に出て跪きます。


「王子の心遣いに感謝します。

ジェークス様、よろしくお願いしますね」


あれよあれよと決まっていく状況にメリルが


「お姉様は私を置いていってしまうのですか?」


と泣きそうな顔で服を掴んできました。

そのお姉様という言葉にクラリス先生の耳がピクリと動いた気がします。


「クラリス先生もいらっしゃるから大丈夫よ。

ここで貴女が頑張れば将来は国王を育てた女性になれるかもしれないわよ」


私はメリルの肩に手を置きウインクを1つするとジェークス様と共に部屋の外に向かいました。

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