運命の出会いと仲良し姉妹
第1王子が自らお祝いに来たということで、挨拶に来ていた貴族達が一斉に一言述べて去っていきます。
シグルド王子はメイドに案内されて私たちのテーブルにいらっしゃいました。
お父様は立ち上がり
「わざわざ私の娘の祝いにシグルド王子に来ていただけるとは光栄の極みでございます。
娘もきっと喜ぶでしょう」
「うむ、久しいなクロード公よ。
して、お主の娘とは・・・」
そこまで言いかけてシグルド王子の動きが止まります。
視線の先はメリルに固定されております。
メリルの方もシグルド王子を見て固まっていますわ。
こうなるのは分かっていましたが、お互いに見つめあっていて最早2人の世界ですわね。
「あー、えーシグルド王子?
娘を紹介させて頂いてもよろしいでしょうか」
「う、うむ。良きに計らってくれ」
「それではこちらが私の娘、エリカです」
お父様に紹介されて立ち上がります。
「ご紹介に預かりましたエリカ・クロードですわ」
「うむ。この度は10度目の誕生日を迎えられたこと誠にめでたく思う。
これから我が国のためによろしく頼む」
シグルド王子はそう言いながらもチラチラとメリルの方に視線がいっております。
「紹介も終わったところで良ければ王子もお掛けください」
「う、うむ。
・・・ところでエリカ嬢の隣にいる女性はどなたなのかな?」
「メリル、王子がご所望ですので紹介なさい」
「は・・・はい、お姉様!
私の名前はメリル・ブラウンと申します。」
メリルは立ち上がり王子に教えて通りに綺麗なカテーシーで挨拶をします。
「うむ、聞いているとは思うが私はこの国の第1王子シグルド・エリディスだ。
しかし、エリカ嬢よりも幼く見えるがその完璧な挨拶の仕方。
ブラウン家とは聞いた覚えがないがクロード家に連なる貴族だったかな?」
「そ、そんな・・・貴族だなんて」
王子の問いにメリルがあわてて首を振ります。
その様子に首をひねる王子に私は笑いながら答えます。
「ふふふ、シグルド王子。
ここだけの秘密ですがこの子は私の侍女で、貴族ではなく平民ですのよ」
「なんと・・・なぜ、この場でこのような格好を?」
「彼女はとても優秀で貴族の礼儀なども心得ておりますの。
私も彼女に期待しておりますので後学の為に身分を隠して参加させていますのよ」
「ううう、お姉様は意地悪ですわ。
私のような立場の者が場違いもいいところです」
「いや、そなたはどこから見ても上級の・・・クロード家の縁の者に見えるぞ。
自信を持って良い」
メリルがそう言うがシグルド王子が即座に否定する。
「シグルド王子の言う通りよ。
周りの貴族の方たちも、メリルのことをお父様の隠し子だと思って噂していますの」
「なに、それは本当か!
それは・・・かなり好都合ではないのか」
後半の部分は聞こえないように呟いたのでしょうがバッチリ聞かせていただきましたわ。
どうやら思惑通りに事が進んでいるようですね。
「ははは、私はミラ一筋なのですがね。
まぁ、せっかくですので何処まで広がるのか見るのも一興かと」
「私も旦那様が裏切るなどあり得ないと思っていますのでこの状況を楽しませてもらっていますの」
お父様とお母様は意地の悪い笑みを浮かべています。
これは演技ではなく本気で楽しんでいらっしゃいますわね。
さて、もうそろそろ次のステップに移ると致しましょう。
「お父様、主催として私がお客様の相手をしてきますわ。
シグルド王子はメリルが気に入られたご様子ですので、メリル。
貴方がお相手さしあげてちょうだい。
お父様とお母様はメリルが何か失敗しないようサポートしてくださるかしら」
「分かった、お前に全て任せよう。
こちらは私とミラに任せておいてくれ」
「そうよ、こちらは任せて貴女も楽しんできなさい」
「エリカ嬢・・・そのお心遣い感謝する」
「お・・・お姉様。行ってしまわれるのですか?」
皆が快く送り出してくれる中メリルだけは心配そうな顔をしています。
私はそんなメリルの手を掴み立ち上がらせます。
「王子、席を立つ前に少しだけメリルをお借りしますわ。
悪いようには致しませんので」
「う、うむ」
私はメリルを連れてお化粧直しのための部屋に行きます。
「お・・・お嬢様〜」
「あら、メリル。
今日1日はお姉様と呼ぶ約束でしょう?」
「うう、お姉様。
王子と話せなんて私には無理ですよ」
「そんな事ないわよ、メリル。
シグルド王子は貴女の事をとても気に入ったようですからね。
メリルもシグルド王子が気に入ったのでしょう?」
私の言葉にメリルは目を見開いて真っ赤になってしまう。
「で・・・でも、相手は王子様ですから。
平民の私には雲の上の存在ですわ」
自信なさげにモジモジするメリルを私は抱きしめます。
「お、お姉様!?」
「メリル、聞いてちょうだい。
貴女のその想いは決して無駄にならないように私が何とかしてあげます。
だから私を信じてちょうだい」
「お姉様・・・お姉様がそう仰られるなら私、信じます!」
メリルも私の背中に手を回してギュッと抱きしめてきます。
「ふふ、今の私たち本当の姉妹みたいね」
「お姉様と姉妹に見てもらえるならこんなに嬉しいことはありませんわ」
私達は少しの間抱きしめあった後、笑顔で手を繋ぎながらシグルド王子の元に戻りました。
百合姉妹の間に挟まろうとする男、その名もシグルド王子!!
さりげなくミラお母様の名前が初登場しております。




