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白い部屋と白い影

私の左右の髪(通称ドリル)から眩い光が溢れ意識を手放してからどれだけ経ったのでしょうか?

あるいはそれほど時間が経っていないのかもしれません。

何故このような曖昧な表現になっているかというと目覚めた私は全く見知らぬ空間にいたのです。

壁も床も天井も真っ白な空間。

その中央にも白いテーブルがあり、向かい合うように二脚の椅子が配置されていました。


「目が覚めたかね?エリカ嬢」


突然何処からか声がかかります。

慌てて周囲を見渡すと先程までは誰も座っていなかったはずの椅子に白くぼんやりとした影が座っているのが分かりました。


「貴方は?それにここは何処なのでしょうか?」


混乱しそうになる頭を無理矢理抑え付けて何とか疑問を口にします。


「質問には答えよう。しかし、先ずは落ち着いて話すためにそちらの椅子に腰掛けては如何かな?」


影はそう言って向かい側の椅子を手で示します。

すると不思議なことに椅子が引かれていきます。

私は目の前で起こる不思議なことに呆然としてしいました。


「さぁ、落ち着いて話すためにも先ずは椅子に座ってくれたまえ。

ああ、座るときはいつものようにエスコートされている感覚で構わんよ。

この椅子はレディに対する扱いをしっかりと学んでいるからね」


影の言葉にハッとします。

私はエリカ・クロード。

将来の王妃として淑女としての礼儀を叩き込まれた私がこの紳士の礼に尽くさぬのは名折れというものしょう。


「失礼。少々見たことのない光景に感動してしまいましたわ。

それでは失礼するわね、紳士な椅子さん」


私がそう言って椅子に腰掛ける動作をすると、またも椅子が一人でに動いて私のお尻を綺麗に受け止めます。


「どうかね、そちらの紳士は?」


「大変に結構ですわ。

このようなエスコートは久しぶりで感動してしまいました」


そう、本当に久しぶりなのである。

殿下は私をエスコートしてくださったことはありませんでした。

将来の王としての教育を受けておられるはずですが、このような時は自分はサッサと椅子に座れてしまうので、しょうがなく自分で全てをこなしておりました。

その事も何度も注意致しましたが


「僕に下僕のように働けというのか」


と仰り全く聞き入れて頂けませんでした。

その事を思い出していると目の前の影は表情など分からないはずですが明らかに落胆した様子で


「やはりか・・・あのバカ王子は自分の婚約者のエスコートすらできぬとは」


と呟きました。

この方は一体何者で何処までのことを知っておいでなのでしょう?

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