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修道院と勉強会

そして作戦当日。

私とジョン爺はお抱え商人が使っている馬車に乗り街に向かいます。

流石にクロード家の家紋が付いた馬車に乗ってはお忍びにもなりませんからね。

この馬車から降りれば裕福な商人の娘と先代のお爺様という組み合わせに見えることでしょう。


私はお父様から頂いた情報を元にメリルの元に向かいます。

この時間は近くの修道院で開かれている勉強会に参加しているということですので、その修道院の元まで来ました。


「ようこそ、当修道院へ。

本日はどのようなご用件でしょうか?」


裕福そうな2人組というせいか、身分の高そうな神父に出迎えられました。


「先日大きな取引がまとまりまして。

これは神のご加護に違いないと思いまして、その利益の一部を還元致したく参りました。

こちらの修道院では子供達の教育に力を入れていらっしゃると聞きましてな。

子供達は将来、我が商店で働いてくれるかもしれませんから、その手助けをしたく思っております」


ジョン爺はそう言って懐から金貨の入った袋を取り出す。


「それはそれは、良い心がけです。

当院の子供達は非常に真面目ですので将来きっとお役に立てることでしょう。

丁度いま勉強会を開いているところです。

良ければ見学されますか?」


「それは願ってもないことです。

エリカもそれで良いかね?」


「はい、お爺様」


私がジョン爺に返事を返すと


「それでは私についてきてください」


と神父様が修道院の奥に向かわれます。

私たちは仲の良い家族に見えるように手を繋いで神父様の後をついて行きました。

神殿の奥にある部屋で勉強会は行われていました。

10人ほどの子供達は殆どが男の子でしたが、中に1人だけ女の子がいました。

肩にかかるくらいのフワッとした茶色の髪に、同じ色をした茶色の瞳。

自分の記憶よりも遥かに幼い姿ですが、彼女がメリル・ブラウンでしょう。

男の子の中には集中力が無くなりだれている者もいますが彼女は必死に先生の話を聞き、質問したりと積極的に授業に参加していました。


(貴族学園に特待生で入学できる逸材ですからね。

元々、優秀で努力家だったのでしょうがこれは都合がいいですわ)


私はジョン爺の袖を数回引っ張ります。

それに気づいたジョン爺はしゃがみこみ私に顔を寄せました。


「ジョン爺、あの女の子が目当ての子です。

授業風景を見て見込みがあるので孫と友誼を結ばせたいと話してください」


ジョン爺の耳元で支持すると大きく頷き、神父様に話をされます。


「あの女の子は非常に真面目で優秀に見えますね」


「ええ、分かりますか!

彼女はメリル・ブラウンと言う名の娘です。

まだ7歳ですが非常に真面目で物覚えが良く当院の自慢です。

彼女の家は不幸にも父を亡くしてしまいまして、あの子の母親は幼い娘を守るために必死に働いています。

その為に我が院にメリルを預けているのですが、メリル自身も幼いながらにその事が分かっているのか、将来母を助ける為にと預けられている時間を無駄にしないように必死に勉強しているのですよ!」


「ふむ、7歳ならば我が孫に付けるのに丁度良さそうですな。

授業が終わってからで良いですので彼女と話が出来ますか?」


「もちろんです。

そのように手配しましょう」


神父様は嬉しそうにそう仰いました。

この方は純粋にメリルの家庭のことを心配しているのでしょう。

そして、ここで良い縁が出来ればという思いが伝わってきます。

私は定期的にこの修道院に援助をする事を心に決めつつ授業が終わる事を待つことにしました。

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