エリカの作戦 第一弾
「さて、協力すると言ったが私は何をすれば良いのかね?」
お父様に尋ねられた私は温めていた計画を話すことにしました。
「先ずはこの王都に住んでいるはずのメリル・ブラウンを探して欲しいのです。
年齢は私よりも一つ下で茶色の髪をした女性です」
「ふむ、多少手間ではあるが年齢と名前が分かっているなら戸籍から割り出すのは難しくないだろう。
それで見つけた後はどうする?」
「私がお忍びで街に出向き偶然を装って出会います。
その時に彼女を気に入ったという事で私の侍女見習いに迎え入れようと思っております」
「なるほど。先ずは我が家で確保しておくという事か。
しかし、平民の娘を何の理由もなく侍女にするのをモニカが何と言うか」
「その点においても考えはあります。
これは本人に話すと未来が変わりかねないのでその時が来るまで黙っていて欲しいのですが、モニカは来年には結婚して退職します。
その例を逆手に取り私が気に入り、将来の専属として同年代の少女を育て上げるという名目で召抱えるのは不自然にはならないでしょう。
また貴族の娘はまだ社交デビューしていないのでこの年齢で召抱えるということはありませんが、平民であるからこそ私と同年代の少女を侍女見習いとして迎え入れるという言い訳も通じるはずです。
どうしてもダメなら私のワガママで押し通す事も可能でしょう」
お父様は私の案を聞いて頷かれました。
「たしかにその方法でなら侍女として雇うことも可能であろう。
そうして確保した後のことも考えているのか?」
「はい、もちろんです」
そして私はその先の計画についても話していきます。
「・・・なるほど。
実際にやってみないと分からんが良い方法だと思う。
少なくともお前を婚約させて一方的に破棄されるよりは良い未来となるはずだ。
いいだろう、この計画に全面的に協力しようではないか」
「ありがとうございます、お父様。
それでは先ずはメリル嬢を見つけたという吉報をお待ちしていますわ」
私はそう言って席を立ち礼をして去っていく。
後ろの方では早速執事に指示をと飛ばすお父様の声が聞こえていました。
第2弾以降の作戦は敢えて伏せました。
時期が来れば明かされます。
 




