表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

スクールカースト最底辺の俺、実は元テニス全日本チャンピオンです!~辞めたはずなのに、スカウトやファン(大人気アイドル)に付きまとわれて迷惑してます~

作者: なろい

 「ムフフ~、楽しみだよな、まさかあの雪柳ゆきやなぎ坂46がこの学校でliveしてくれるなんて、僕、いまだに信じられないよ!!」

 

 「ほんとだよな!生歌を聞けるなんて..俺、もう、どうなってもいいよ!」


 公演が決まってから、クラスは彼女らの話題で持ちきりだ。

 そう、今日の五六限は、何やら有名アイドルグループがうちの学校に来てくれるそうだ。紅白にも出たことがあるグループらしいが、いったいこの学校とどんなつながりがあるんだろうか? 


 <ワアアアアアアアアッッッ!!> 

 歓声とともにライブが始まり、グループのメンバーがステージに現れた。

 体育館異様な熱気に包まれるなか、センターの女の子が喋り出す。 

 「みんな~、今日は私たちのために集まってくれて、ありがと~!」

 瞬間、俺の中の謎が全て解けた。

 ショートヘア、綺麗な黒髪に、くりっとして、何でも飲み込んでしまいそうな瞳。整った顔立ちに加え、何よりあの声…!俺は彼女を知っている。美甘桜(みかもさくら)…。テニスをやっていた頃、試合に毎回足を運んでくれていた女の子だ、美形とは思ってたが、まさかアイドルだったとは。


 しかし、問題はそこじゃない。俺がテニスを辞めることにしてから、どこで手に入れたか分からないがこの子は、俺の連絡先に「最近どうしてるの?」とか連絡をくれていた。

 テニスから距離を取りたくて、無視していたが、最近メッセージがエスカレートしてきていた。

 「返事くれないと死んじゃう。」とか、普通に怖いだろ。


 まずい、もともと、目立つのが苦手で、高校に入ってからは、念願の隅っこ生活を謳歌していたのに、元テニス全国一なんて知られたら、面倒なことになる。


 あれこれ考えてるうちに、舞台はもう終盤。焦った俺はトイレと偽って外に行き、様子を伺うことにした。


 最後の曲が始まった。「Budバッド Confidence(コンフィデンス)」と言う曲だ。旋律に夢中になっていたためか、センターが不在なことに気づくのが遅れてしまった。


 「る☆い☆くん、やっと会えたね!」

 そう言うと美甘は、後ろから俺に飛び付いた。やはり俺を探しに来てたのか、しかし、見つかったものは仕方がない。


 「あなた、どなたですか?僕はルイなんて名前じゃないですけど?」

 大嘘である。俺の名前は鳴海涙なるみるいだ。昔と違って眼鏡をかけているし、ごまかせるかとも思ったが、


 「えー、うそだぁ~!ルイ君が私のこと忘れるわけないよ!」

 

 「......え?それ、本気で言ってるんだったら怒るよ??」


 俺がしらを切り続けたからか、彼女の表情が笑えなくなってきたので、俺は別の作戦に出る。


 「う、嘘だよ、ちゃんと覚えてる。美甘さんだよね、いつも試合を見に来てくれてた。ホントにありがとう、でも、俺はもうテニス辞めたんだ。ごめんね。」


 「大丈夫!そんなこと、とっくに知ってるよ。」

 彼女は言う。だったらなんで?もう一度テニスを、なんて言い出すだろうか。


 「そ、それは..もちろん、きっかけはテニスしてるルイ君だったけど..ずっと見てるうちに、ルイ君のことしか考えられなくなっちゃったから..かな//?きゃっ、言っちゃったっ//」

 恥ずかしそうに顔を隠しながら、彼女は言った。


 「途中からは、テニスじゃなくて、..ずっと、ルイ君を見てたの..!アイドルを始めたのだって、ルイ君に少しでも近づこうと思ったからなんだよ?」


 彼女がそう話終わったころ、ちょうど公演も終わりを迎えたようだ、体育館からひと際大きな歓声が沸き起こる。


 「ルイ君が見られないんじゃ、私、生きていけないよ。

 ..だから、お願い、そばにいて?」

 クソ、重い…そして断りずらい..。


 「と、とりあえず戻りなよ。センターがいないんじゃ、締まらないでしょ..。」

 俺はそう言うと、彼女は舞台へと戻っていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 帰り道、俺は彼女への断り文句を考えていた。別に彼女のことが嫌いってわけじゃない。可愛いし、テニスに関しても熱心に応援してくれたいい子だと思ってる。

 しかし、今やあの子はトップアイドルだ。変に一緒にいるところを撮られでもしたら、一躍時の人。最悪だ。

 そうなると断るのが一番だが、彼女は何をするかわからない。どうしたものか..。


 「おっかえりー!」

 家に入った途端、声が聞こえてきた。まさかとは思ったが、そこには美甘さんの姿があった。


 「なっ、美甘さん?!どうやって入ったの!?」

 戸締りはしっかりとしておいたはずだが。


 「こんなちっぽけなカギで、私たちの愛は妨げられないよっ!

 あっ、でも、毎回お風呂の窓から入るのは面倒だから、合いかぎ作っておいてね?」

 そんな侵入方法を..ってか合いかぎってなんだ?!


 「へへっ、私も今日からここに住むことにしたから!」


 はぁ!?


 ----数分後出てきた彼女の料理は、確かにおいしかった。久しぶりに誰かと食べたってのも、あるんだろうが。

 「どう?私と住めば、毎日こんな料理が食べられるよ??」

 にやけながら彼女は語り掛けてくる。さっきから断ってはいるが、せめてこっちでの用事が終わるまでは、と言って聞かない。ここはきっぱりと言うべきだが、彼女の真っ直ぐな瞳に、俺は昔のことを思い出してしまった。

 

 どんな超人でも、スポーツをやっている以上、スランプと言うものはある。俺の場合、それは四年くらい前の事だった。順調に勝っていたのが一転、敗けが続き、こいつはもうだめだと、誰もに見捨てられたとき、この子だけはこの真っ直ぐな瞳で応援し続けてくれた。今でこそこんな感じだが、俺はしばしば救われていたのも事実だ。

 

 「分かったよ、その代わり、用事が終わるまでな…」

 こうして、彼女の居候が決定したわけだが、俺はこの時しっかりとした期間を儲けなかったことを、長く後悔することとなる。


 その夜は、一晩中、あれほど言ったのに、俺の寝ている布団に入ろうとしてくる美甘さんを追い出していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして翌日、ある男女が学校内の注目を独占することとなった。

 アイドル転校生と、そして、なぜか彼女と仲の良いメガネ陰キャだ。

 そう、なんと彼女は転校してきたのだ。そしてそうなると、用事と言うのは学校のこと。そしてそれが終わるのは…。

 完全に騙された。

 朝、人気者の彼女が俺の名前を呼ぶたびに、「何であいつが?!」というような雰囲気が俺に刺さる。


 そして、

 「おい、お前、話によるとテニス上手いらしいじゃねえか?ちょと相手してくれよ。」

 昼休みに、俺にそう話してきたのはテニス部集団だった。

 美甘さんがテニスの話をしていたのを聞いたのか?

 勝って変な噂をされても仕方ない。しかし、こいつらに負けるのもそれはそれで嫌だ。

 やれやれ、いっちょ相手にしてやるか。

 俺は絶妙に初心者っぽいショットで、奴らを軽くひねってやった。我ながら完璧だ。

 

 「クソ!なんで勝てねぇんだ?!」


 そう言って悔しがる彼らをしり目に、俺はコートから出る。早く片付けたつもりだったが、そろそろみんなが来る頃だ。

 そんな俺に声をかける一人の少女。

 「あの…、もしかして、鳴海涙さんですか..?私、ファンなんです!」

 彼女は目を輝かせていたが、俺は、プレーを似せているだけだ、と言って逃げだした。


 やれやれ、美甘さんには絶対に邪魔をしないように言っておいたが、こんな感じで、俺が正真正銘の窓際生活を送るには、もう少しかかりそうだ。

 

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 面白かった、とか、続きが見てみたい、って方がいらっしゃったら、【広告の下の★マーク】から、評価や、ブックマークをしていただければ励みになります!

 また、異世界を舞台とした、異能力バトルストーリー(ステータスが雑魚過ぎて農家になる予定が最強スキルを手に入れた幼馴染を追って軍隊に入ってました~3等兵の成り上がり~)など、ほかの作品も書いているので、気になったら見ていってください!

 それでは!

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ