序章
レイ編スタート。
4作同時更新のため、更新に時間がかかります。
ご了承ください。
拭い去りたい過去は誰にも必ずある。
消えない痛みも必ず持っている。
忘れ得ない想いもある……
たとえその想いが憎しみだとしても。
真っ暗な空間に俺はいた。
この空間を俺は知っている……?
俺は歩みだした。
しかしどこに行っても何も起こらないし、何も無い。
「?」
俺は首をかしげた。
「ここはお前の来る場所じゃない」
「!!」
すると突如俺の五感全てがなくなる感じがした。
とてつもなく嫌な感じ。
この感じを俺は知っている……?
俺はそのまま意識を失った。
「はっ!」
俺は目を覚ました。
「あれ?」
何か自分の部屋じゃない。
でも見覚えがあるここは……
「何寝ぼけてるのよ」
「レイ……」
どうやら俺はオアシスで仮眠を取っていたらしい。
「そんなことじゃ新学期早々夏休みボケのままよ」
「そ、そうだな……」
レイは俺のほうを見ずに言う。
まあいつもアイツはそんな感じだ。
「それにしてもどうしたの?」
「何が?」
俺はレイの質問に首をかしげた。
こういうときレイは俺の方を向く。
「何だかうなされてたわよ」
「そうなのか?」
俺には全然記憶が無い。
ていうか夢すら見たっけ……?
俺は委員長から貰った錠剤のことを思い出した。
「あ、ちょっと薬飲む。水頼む」
「ラリんないでね」
「そういう薬じゃねえよ!」
俺はレイに吠えながらもレイから水を受け取った。
「ふ〜」
何だか落ち着いてきた。
「調子悪いの?」
「そこまでじゃないんだけどな、時々寝覚めが悪くなる」
「そう……」
レイが顔を背ける。
「お前は寝覚めとか悪くならないのか?」
「私?」
レイが考える。
「無いわね」
「マジで!?悪夢とか見ないの?」
「私、夢は見ないから」
「え?忘れてるんじゃなくて?」
「どうかしら」
レイはよく分からない回答を俺に言った。
「オイお前ら!そろそろ開店時間だ!」
マスターが2階から降りてきた。
仕事の時間だ。
「はい!」
俺とレイは返事をして準備をする。
そしていつものような日が始まった……そんな夏の日。
何かやってしまいました。
すいません。