全然違う友達の同じ傷
馬蹄がアスファルトを、いっそ気持ちよく打つ音が続いた。セントールの春浦が、背中に同級生の東野を乗せていた。東野の足はギブスで硬く固められていて、歩くには杖が必要な怪我だ。だから、これはありがたいことなのだ。なのではあるが、東野の男の子としてのプライドはちょっぴり針で突かれていた。ぽっかぽっかと、ニンゲンらしい柔らかい足裏とは違う足音が、同学年の平均よりもガタイが優れる東野を軽々運ぶ。ニンゲンと馬では力もサイズも大違いだ。「セントールに競争で勝つのは無理だよ」「うん、沁みてる。ーー次はドラッグカーを持ってくるよ」「うわぁー、東野クンは賢いね」違う生き物なのだ。よく知っていた。東野は二本脚で、春浦は四本脚。だけど一緒に暮らしていた。何もかも違うけど、一緒に生きられる。東野は「……ごめん」と迷惑をかけていることに謝った。春浦は上半身を半捻り、むすっとした顔で見つめ、でもすぐに笑みに崩す。「前、私が脚を怪我したとき真っ先に助けてくれたから、お互い様だよ」