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設定世界の宿屋  作者: 藤島白兎
不思議な宿屋と主人と付き人
7/7

七回ほど逢引をしたとか

「あたしは山野アカネだ、よろしくな」


 皆様、しきものの準備が出来ました。

 座って談笑いたしましょう、私こっそりとお茶菓子を置いておきますので。


「流石だな描写さん、みんなも座ろうぜ」


 皆様座っていただけましたね。

 ではアカネ様、自己紹介もお願いできますか?


「様はいらん……っても無駄なんだよな?」


 ハッハッハ、そうですね。


「で、なんだ自己紹介か? あたしは一応アダルトゲームの作品キャラクターなんだが」


「いいよねームチムチバインバインは、うらやましー」


「オレはアカネをよく知らないが、ムチムチはイイネー!」


 マリア様、一応13歳位の設定なんですから、煙草は止めた方がいいかと。

 後アフロ様、女性にその物言いは失礼です。


「煙草じゃないよ! 魔力補給棒! スパー!」


 ナイスツッコミですが、煙は吐かないで下さい、煙草に見えてしまいますから。

 あ、お客様はお客様の世界のルールに従ってお酒や煙草やアダルト作品をお楽しみ下さい。


 私との約束ですぞ。


「それはそうとアフロ、あたしは二次創作にしかアダルト表現はなかったぞ?っても1枚2枚だがな」


「ファッツ!? ムチムチなバインバインだからヨロシクやってるかと」


「残念だったなアフロ、あたしは『性欲を発散させる作品の主人公』だったのだがな」


「ん!? なら何でヨロシクやってないネ?」


「1作目の主人公は『一方的にやられる主人公』だったんだ、私はそのシリーズの2作目の主人公だった」


「なら、なおさらネ!」


「私は『悪い意味で一方的にやる主人公』だったんだよ」


「それはエクスタスィーな意味ネ?」


「いや、ぶっ殺す方面でだ」


「オー」

 

 アフロ様、自慢のアフロを触るように頭をかかえると、ズレますよ?


「ハッハッハ、ハゲキャラにズレはおいしいネ」


「んにゃ? ぶっ殺すって言っても流石にワンシーンくらいあんじゃないの? よく知らないけどさ、スパー」


 アカネ様、よろしければ私がまとめましょうか?


「ああ、頼めるか? 話すと長くなるからな」


「あ、ズルい! マリアも!」


 承知しました、マリア様。


「お客人、最初からそれやれよは無しな『生きてるからこそ自分の言葉に力があるんだ』っても長くなるから描写さんはスゲー便利だな」


 ハッハッハ、崇め奉りなさい。

 

「調子に乗りすぎだ」


 では、アカネ様を私が話せる範囲で説明させていただきます。


 コホン。

 

 アカネ様は人気アダルトゲームの続編キャラクターだったのです。

 そのゲームの内容は、女主人公が理不尽なめにあう、性欲をかき立てる内容のゲームでした。

 次回作は1作目の主人公の妹設定でした、内容は姉を辱めた奴らへの復讐とよくある設定だったのですが。

 制作者達は何を考えたのか、アカネ様は返り討ちに合わずに次々と悪人を殺していきます。

 アカネ様の話だと、CGの90%以上が悪人殺してるCGだったとか。

 アダルトシーンはアカネ様がお風呂に入っているシーンくらいで、モブのアダルトシーンも無かったとか。


「確かセリフではあったかな、モブのアダルトシーン」


 だそうです。

 事前情報では盛り上がったのですが体験版を公開して炎上。


「ま、そりゃそうなるよな『シリーズのコンセプト』から外れてるもの、ワンチャン外伝にすれば」


「いやいや案内、外伝でもアダルト作品なのにアダルトシーンが無いのはどうかと思うぞ?」


 アフロ様、素に戻ってますね。


「ハッハッハ! ゴメンネ!」


「『アダルトシーンを入れる必要無いじゃないか!』っていう類のコンセプトじゃねーもんな」


「そんな訳であたしは消されてさ、新しい生まれ変わったあたしは続編にふさわしいキャラクターになったとさ、ま、消されてよかったよ」


 どうしてですか?


「んあ? 当たり前だろ、何で自分の身体好き勝手されなきゃなんねーんだ? ま、あたしはそういう設定だからそう思うんだろうが」


「アカネ、それは違うな」


「んあ?」


「設定だからそうじゃないだろ、お前はこの世界で生きてる、その考えはお前の性格であり意志だな」


「あ、ああ……そう、か?」



「スパー! 急にラブコメ始めちゃいましたよ、お客ちゃんと描写ちゃんとアフロちゃん、スパー!」


 ふむ、これは我々は邪魔でしょうか?

 あ、私達はご主人様達から離れて座っていますよ?

 空気を読むのも描写ですから、我々は別のしきものに座っています。


「明らかにラブコメの流れだよな?」


「アフロちゃん、素」


「いや、素にもなるだろ、戻すけど」


 ご主人様とアカネ様は何回か逢い引き、つまりデートなさってますからね。


「ムチムチのバインバインだから?」


 いえいえマリア様、私の知るご主人様は身体では選びませんよ?


「描写ちゃん、どゆこと?」


 はい、ご主人様も男ですから、恋愛ゲームとかもなさいます。


「ふむふむ」


「そういえば、アンナイに『アフロ美人達の誘惑』を貸してたネ!」


 いえ、その作品は積みゲーになってますね。


「オーシッツ!」


 ご主人様の恋愛ゲームの攻略キャラクター、アニメや小説等で気に入るキャラクターは『元気な女性』や『男勝り』だったりしますね。


「よかったよ、お兄ちゃんは性格で女性を選んでたんだね」


 はい、そこは私も安心しました、ご両親の教育もあるでしょうが。


「描写サン! アンナイに『アフロ美人達の誘惑』を絶対やらせてくれヨ?」


「アフロちゃん、それ今いいから」


「シッツ!」


「おーい、勝手に盛り上がってないでこっちこいよ」


 ご主人様が我々を呼んでいますな。


「ちぇ、描写ちゃんに私の描写してほしかったのに、そういう空気じゃなくなったじゃん」


 では、改めて描写しましょう。


「描写ちゃん、お願いね」


「ったく、お前らが変に気を使うから、お客人が帰る時間じゃないか」


 ご主人様達がこっちに来ましたね。


「は? ラブコメ空気だしたのお前やろ?」


「待て待てアフロ、俺はそんなつもりもはない」


「うんうん、案内は悪くないな」


「アカネちゃんも恋する乙女ゲージ振り切ってたじゃん」


「んあ? あたしは案内と居ると振り切るぞ? あんま表には出さないが」


「くっ! 紅茶をちょうだい描写ちゃん!」


 では、マリア様にはストレートティーを。


「ほらほら、大騒ぎしているとお客人の時間だ」


 申し訳ありませんお客様、お茶の一つもご用意出来ず。

 

「んじゃねお客ちゃん、撲殺されないように生きろよ?」


「オキャクサン、今なら『アフロ美人達の誘惑』を貸してあげるね」


「無理だなアフロ、物理的なやりとりは出来ない」


「オーマイガッ!」


「それはさて置きお客人、またこの世界で会えるのを待ってるわ、じゃあな」





 貴方はその光景を微笑ましく思いながら、貴方の世界に帰ってきました。




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