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閑話 ソラ

 おいら!イヤイヤイア私はソラ。

 ちょっとした手違いで、泥棒扱いされて追いかけ回されてた。

 何も、村人総出で追いかけてこなくても良いのにって思うんだけど。

 走って走って目眩がして、立ち眩みしそうなとき、目の前の村人でない人に助けを求めたような、気がするが記憶が曖昧。

 次に気付いたら、村長の家だった。

 生きた心地がしなかったのだが、口の中に入ってくる何とも例えられない味の水を飲んだら、元気が出てきた。

 その後、家に返されるも寝てしまって記憶がない。

 今までで、一番ぐっすりできたような記憶がちらついてるのは何でだろう。

 目が覚めると、見たこと見ない所にいた。

 私より一回り小さい女の子と、二回り大きい男の人が寝てた。

 驚いた。私の上下に存在する物体に。フワッフワッで肌触りがいい。布団万歳。

 そう、自分の家で寝始めて、違うところで目が覚めたことよりも驚く布団って凄いよね。

 暫くすると、女の子が目を覚ます。

 リンと名乗る女の子とお喋りしていると、急にお弁当箱を取り出した。

 2つあり、1つを渡されると「食べよう」と言う。

 貴重なお米がぎっしりと固められた物が3つも入っている。

 恐る恐る手を出すと、リンちゃんがバクバク食べてるので、私も一口食べてみた。

 気付いたらお弁当の中身が無くなっていて、お腹が満たされていたが物足りなさを感じている自分がいる。

 そうしている内に、男の人が目を覚ます。この人はタカにぃと呼ばれている。

 私はどう呼んだ方が良いのだろう。

 そんなことを思っていると、目の前が急に変化して外に出されてしまう。

 目の前の大木に向かって何かいっているが、理解できないでいると、また家に戻された。

 廊下とやらを歩いていると、目の前に広々とした場所に出る。

 涼しいと感じるその場所は、向こう側に赤や黄色の葉っぱを付けた木が並び、塀のこっち側は石の海があるみたいなところだ。

 目の前の変化に追い付いていけず、座り込んでしまう。

 目の前の壁に絵が表れ、女の子がいる。私と同じ歳くらいか上かといったくらいの女の子が動いた。しかも話しかけてきた。

 気絶しそうになる。

 思考回路停止直前の私に追い討ちされてる気分だ。

 壁の中の女の子は、エンちゃんと名乗る。私もそう呼んでいいと許可を得た。

 で、エンちゃんに今の私の状況を始め、この屋敷や空間の話を理解するまで聞かされた。

 今の状態では、私は1人で外に出れないんだって。外から入ってもこれないんだけどね。

 内容を理解していくなかで、外に出なくても良いのではとも思うが。

 ある程度理解できたところで、いい匂いがしてくる。

 エンちゃんが指差す方へ歩いていくと、広々とした所に出た。

 リンちゃんに呼ばれ、椅子なるものに腰かけると、茶色い何かがのった物を出された。

 食事として出され、2人が木の棒2本を使い食べ始める。

 私も真似て食べようとしたが、上手く使うことができず、何か掬うようなものを使って食べた。

 美味しかった。こんなに美味しいものが食べれるなら外の世界に行きたくないと思うほどだ。

 食べ終わると、2人はすぐに出掛けてしまう。

 広いこの屋敷で1人、机に頬擦り座っていると、急にエンちゃんが現れた。

 正確には、目の前の壁に写り出されたのだが。

 『箸の勉強をしましょう』「えっ私のお腹いっぱいだよ」

 『別に食べるわけではないのよ。箸と皿2つ、乾燥させてあるお豆を取ってきて』「えっでも、何処から?ってあの光ってるところにあるの」頷かれたので、光ってるところに行き、先程の木の棒2本と皿、さらに乾燥豆を移し机についた。

 まずは、エンちゃんが箸を使って、皿から皿へと豆を移している。

 まるで、鳥の嘴のように器用に動かす姿に見とれてしまう。

 次は私の番だ。

 取り合えず、持ってみた。ブッブーという音が響き渡る。

 私の全てを否定されてしまったと感じる音である。

 エンちゃんの箸の持ち方をよく見て、雑に握ってる自分の持ち方に『それは、握り箸といい、いい持ち方ではない』と。

 持ち方を変えて、こうーでこんな感じでどう?ブッブー。

 『それは交差箸。酷い。こうよこう』見せてくるだけでなく、説明してくれてもいいのに、酷い。こうでどう?ブッブー。

 『それは平行箸。見た目はよくなってきたけど、動きがね』やっぱり教えてくれない。

 Xみたいな形になるのが、交差箸で、=みたいなのが平行箸なのね。

 だったらこうかな。『うん。綺麗。そのまま豆を移動してみよう』「下の箸を動かず固定して、上の箸で掴んでこうと」たいして力を使ってないのに筋肉が悲鳴をあげてるようだ。

 『慣れれば普通に使えるようになるよ。他にもダメな箸の使い方があるから見てもらう。いいね』頷くしかない。

 壁の画面が変わる。

 机の上に沢山の色々なお皿が並べられ、その中に食べ物らしき物が入っている。

 食べ物らしきとは、自分ではどういったものが並んでいて、美味しいのかどうかもわからないからだ。

 そこに、エンちゃんが現れ座った。

 箸を持ち、食事を始めるようだ。

 エンちゃんが、箸を複数の料理の上で行き来させていると、突然狙いを定めたかのように料理を箸で突き刺した。

 突き刺したものを口に運ぶと、気に入ったのか、突き刺した料理の皿を箸で掴み自分の近くまで引き寄せると、その皿の中の料理を食べ尽くす。

 汁物の中をぐるぐると回し、中の具を取り出す。

 具から落ちる汁をたらしながら口に運び、箸についた残り汁を嘗めとった。

 盛り付けられた料理の中を箸で掻き分けてると思ったら、次の料理を一旦箸で掴み戻したあと別の料理を食べ始める。

 箸で掴んだ料理を口に運び、今度はご飯を口いっぱい詰め込み、さらに箸で押し込む。

 一旦、箸をご飯に突き立て小休止。

 箸を再び持ち箸先を手の甲より高い目の高さまで振り上げると、箸についていたご飯粒を口で直接くわえとる。

 私の方に箸先を向けて『どう?悪いところわかった?』と聞いてきて、お椀の上に箸を渡して置いた。

 いや、わかるはずがない。

 さっき、箸の持ち方を出来るようになった人がわかるはずもないと、抗議したいほどだ。

 首を横に降り分からないことを示すと、『じゃ、最初から答えを合わせしながら教えてあげる』と、いやだから最初から教えてよ。

 改めて、箸を複数の料理の上で行き来させている[迷い箸]と、突然狙いを定めたかのように料理を箸で突き刺した。[刺し箸]

 突き刺したものを口に運ぶと、気に入ったのか、突き刺した料理の皿を箸で掴み自分の近くまで引き寄せる[寄せ箸]と、その皿の中の料理を食べ尽くす。[重ね箸]

 汁物の中をぐるぐると回し[回し箸]、中の具を取り出す。

 具から落ちる汁をたらしながら[涙箸]口に運び、箸についた残り汁を嘗めとった。[ねぶり箸]

 盛り付けられた料理の中を箸で掻き分けてる[さぐり箸]と思ったら、次の料理を一旦箸で掴み戻したあと別の料理を食べ始める。[移り箸]

 箸で掴んだ料理を口に運び、今度はご飯を口いっぱい詰め込んみ、さらに箸で押し込む。[押し込み箸]

 一旦、箸をご飯に突き立て[突き立て箸]小休止。

 箸を再び持ち箸先を手の甲より高い目の高さまで振り上げる[振り上げ箸]と、箸についていたご飯粒を口で直接くわえとる。[もぎ箸]

 私の方に箸先を向けて[指し箸]『どう?悪いところわかった?』と聞いてきて、お椀の上に箸を渡して置いた。[渡し箸]

 これらの箸使いをまとめて[嫌い箸]というそうなの。

 そうなんだ。って知らないよ。頭いっぱいいっぱいだよ。

 ついでにいうとお腹、減ってきちゃったよ。もーどうしてくれるの。

 あっ帰ってきた。

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