依頼こなし2 鷹仁
御都合主義ですみませんが、鷹仁の話が続きます。
鑑定というスキルがあると思うのだが、鑑定スキルはアイテムと認識された物か、あるいはダンジョンでの魔物くらいにしか使えない。
それ以外の物は、大雑把に鑑定する。
現実世界において、鑑定できるものは、持ち物に仕舞える事が出来る。
他人の物でなければの話だが。
と、いうわけでスキルに頼らなくても金属の見分け方位自分でやってみようとして、手の中に収納で分解した一部を取り出して、この金属は何だ?と思いながらじっと見てたら手の上に文字が浮かび上がってきた。
真鍮という文字が浮かんだのである。
鑑定スキルは働いてないというと、別のスキルが発動したことになる。
何かなと思っていたら、基本学習スキルであった。
そういえば、完遂していたっけなと思う。
学生時代の勉強は役に立たんというけれど、役に立ってます。
真鍮は、合金の一種で主に銅と鉛を掛け合わせたもので、黄銅と呼ばれる事が多いそうな。
大勢の人達が目にするのは、五円玉かな。
他にも金とか銀とか超少量だがあったよ。
一番多かったのはスチールだけどね。
金属を取り出したはいいけど、プラスチックとかどうしようかな。
ゴミとして出すのは簡単だけど、近くにリサイクルできるとこ無いと思ってたけど、あるみたい。
収納の邪魔にならないし、とりあえず保留かな。
最悪でもダンジョンという場所もあるからね。
泥とかどうしようかな。
厳密に言えばリサイクルできるのだろうけど、これくらいはダンジョンでもいいかな。
あと、外来生物もいいかな。
そうだな、ダンジョン行こう・・・と思い立つ。
ダンジョンというと、あの稲荷神社のダンジョンしか行ったことがないから、そこに早速向かう事とする。
のんびり歩いて、商店街を抜けたその先が稲荷神社になる。
神社を入ると、お賽銭箱の後ろに人影・・・もとい、神様が座っていたのが目にはいる。
神様を無視するのも良くないし、とりあえず声を掛けることにした。
「今日は、お稲荷様」
「あら、今日は。今日辺り来ると思ってたよ」
「そうですか?さっき決めたんですけどね。ここに来ることは」
「細かいことはイイノ」
「サイデスカ」
「気の無い返事ね。まーいいわ。ところで、これを育ててみない?この前のお礼もかねて」
「これって、大豆の苗ですよね。普通の大豆ですか?」
「大豆と言うのはあってるけど、普通のってなに?」
「いっいや、ほらあの、一粒食べると千粒の効果が出るみたいな物ではないかと、思わなくもないわけで」
「何を訳の判らないとを」
「気にしないで下さい」
「じゃ、気にしない。100苗あるわよ。どうする?」
「も、もらいます。今から植えてきてもいいですか?」
「良いわよ」
「では、さっそく」
そう言うと、苗を収納に納め、畑へと向かい歩いていく。
神社の裏手にある畑へ行くと、夕方に近い時間帯のせいか、誰も居なかった。
自分の、と言うか親が借りた場所にたどり着くと、ものすごい量の雑草が生えていた。
栄養価の高すぎる土が出来上がっている証拠でもある。
表面から50cmが土の層なので、ごっそりと土の層を雑草ごと収納する。
収納した畑から、雑草と害虫、石を取り除き、土と益虫を混ぜる。
次に石や雑草と取って少なくなった分の土を補うため、ドブ掃除で取ってきたドブを一部使える分だけ畑の下に敷き、土を被せると、苗を均等に植えた。
葉や茎から根っこが生えてこない雑草をミキサーで細かくした様にして、泥水と混ぜると、苗に直接当たらないようにしながら撒いた。
作業を終え、神社の戻るとお稲荷さんはまだそこにいた。
「植えてきましたよ。ありがとうございます」
「礼なんていいのよ。と言うか5分ほどしか経ってないわよ。早すぎよ。っと、それより、頼みがあるのだけれど」
「頼み?僕に出来ることなら」
「今は無理ね。でも、時期に出来ると思うよ」
「で、なんですか、頼みって」
「ポーションが欲しい。正確に言うと回復液なんだけど」
「確か、製薬スキルが30で、薬草30本で出来るやつですか?」
「そう、それよ」
「特上で99個。駄目かしら」
「今日は、無理だと思います」
「今日、明日でどうにかしてとは言わないわ」
「でも、何に使うんです?神様に必要な物とは思えませんが」
「私はね、確かに使わないわ。私が加護をあげてるあの子にあげるものよ。私の能力は商人向けで、あの子は戦闘系のお仕事に就いてるから愛称が悪くてね。と言って加護があるから他の者から比べたら断然有利なんだけど、怪我とかしないか心配で」
「なるほど、と言ってやはり難しいかな。今月末なら行けると思うけど」
「何故?今月末?」
「夏休み入るのでね。そうすればまとまった時間もとれるし出来ると思うよ」
「なるほど、よろしく頼む。時に今日は何しにここへ?」
「ダンジョンにゴミ捨てに来ました」
「ダンジョンにね。安全地帯に捨てなければダンジョンに吸収されるわね」
「吸収されたものはどちらに?」
「基本はエネルギーとして保管され、新たなダンジョンの元になるようだよ。最も、早くて何十年とエネルギーを貯めないと成らないらしいよ」
「そうなんだ。30分ほど潜ってきます。ダンジョン時間で15時間程かな」
「はいはい。行ってらっしゃい」
・・・約30分後・・・
「お帰り」
「只今」
「どうだった?」
「えっと、取り合えず、キツネうどんどうぞ」
「ありがとう。頂きます」
「ゴミと言うか、泥とか砂利とか、外来生物も捨ててきたよ」
「ほう」
「なんか、砂とかは30分ほどで塵になり始めて、ダンジョンに吸収されていった。生き物のほうはしばらくすると魔物達に潰されたりして、砂同様塵になって消えていったよ」
「製薬スキルはどうだった?」
「製薬スキル上がったけど、30には届かなかった」
「そう。そうか。無理はしないでね」
「今日は帰ります」
「うん。バイバイ」
僕は、商店街を通り抜けている。
昔はと言っても、僕が小学生の頃はここの商店街もかっきにあふれていたのかなと思うが、今は空き店舗もちらほらと見受けられる。
少し寂しい思いをしながら帰路についた。
「只今」
そう言うと僕はすぐに自分の部屋まで一直線。
途中、お帰りーと聞こえてくるのだが、夕飯まで部屋に篭りたいので玄関からもうスピードで部屋にいく。
スマートフォンを持っていることも今の段階でが、親に内緒である。
その内緒のスマートフォンを出して、ダンジョンについて調べている。
さっき行ってきたダンジョンは、東京都内に点在するダンジョンで名前はすでに判明している様だ。
秋葉原ダンジョンと言うらしい。
判明しているのに、らしいとはしかりと思うだろう。
実は、秋葉原駅周辺にSSSダンジョンの入り口を発見しているが、攻略されてないので、秋葉原ダンジョンが正確に何処なのか判断が付かないと言うものだが、発見されているダンジョンを総合的に見て間違いないだろうということだ。
お父さんが帰ってきて、夕飯が出来たことを知らされる。
僕は、スマートフォンを収納すると、台所に向かう。
「「「頂きます」」」
「今日、学校帰りに畑寄ってきたよ」
「そうか」
「それでね、大豆の苗が安く売ってたから植えてきた。」
「しっかり育つといいな」
「うん」
「大豆か。大豆も良いけど、枝豆なんて美味しそうじゃない」
「枝豆。いいな。枝豆になったら取って来てくれ」
「今日植えたばっかだから、まだまだ先の話だよ」
「それもそうだな」
笑い声に包まれながら夕飯の時が過ぎていくのであった