表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/134

りん

りん。

本編では読みやすい気がするという理由でカタカナ表示にしてあります。

 目が覚めるとリンの横顔がうっすらと見える。

 夜が明けるのと、太陽が顔を出す狭間の時である為か、薄暗い。

 静かに小さい寝息をたてているリンの横顔を見ながら今後の事を思う。

 魔法を使うこと事態は問題ないだろう。

 基礎知識は、徐々に教えていけば問題ない。

 となると、問題はダンジョン攻略になるかなと思う。

 これがテレビゲームなら、画面越しにキャラを動かせばいいが実際に自分の手で生き物のようなものを倒・・・殺さなければならない。

 はたして、出来るのだろうかと思うが本人と話してみなければ解らない。

 カナカナカナカナカナカナ・・・・・・遠くでヒグラシ(セミの一種)の声が聞こえる。

 もう少し寝ようと目をつぶる。・・・・・・

 シャンッシャンシャンッシャンジィージィージィージィーシャンッシャンジィージィー・・・・・・

 アブラゼミとクマゼミの合戦のような声に目を覚ますと、リンが顔を覗いてくる。

 リンの新しい下着と服を出し、着替えるように言うと不思議そうな顔をしたが、モゾモゾと着替えている。

 着替え終わった服を収納し、船の所まで行き朝食をとる。

 本日の朝食は、おにぎり弁当に海苔と青紫蘇を細かくして振りかけたものに水筒を渡す。

 僕も同じものを用意して、水筒の水を飲みながらエンちゃんに向かう話しかけた。

 《リンに魔法とか魔法以外でも生活に関することとか、教えるにいい魔法無いかな?》

 『これ・・・かなぁ』

 《えっと本訳イメージ10万Mp。本訳?翻訳じゃなく本訳だね。違いは?》

 『翻訳は、例えば外国語を日本語に置き換えるけど、本訳は辞典のようなもの。しかも、イメージだから言葉で説明されるよりずっと分かりやすいのではないかな』

 《凄いな。というか、このカード手に入ったら僕要らなくない》

 『そう・・・だね』何故か満面の笑みで答えてくるエンちゃん。

 ちょっと視線を逸らした僕の目に飛び込んできたのは、リンが困った顔をしている。

 「どうした?食べないのか?」

 「食べていいの?」

 「良いよ。ゆっくりお食べ」

 そう言うと、リンはおもむろに両手をおにぎりに伸ばし掴むとゆっくり口に運ぶ。

 小さな口を出来るだけ大きく開けると、一口分を口に頬張る。

 次の瞬間目を見開いて満面の笑みを浮かべ美味しそうに食べていた。

 本来、満面の笑みとはこの顔だよと思いながら、僕も食事を済ますと、船を収納する。

 びっくりしているリンに水筒を持たせ、次のダンジョンを目指す。

 リンのMpは、4万より少し下で10万まで時間がかかる。

 今日中に歩いてダンジョンの側まではたどり着くと思う。

 歩いている時に話でもしようとしたが、長くは続かない。

 村人の話以外無いからである。続くはずもなくお昼近くになった。

 村人の話だが、良くしてくれたのが村長とお婆さん位でほとんどが相手にしてくれなかったそうだ。

 リンの後ろにいた男の子やその親は、リンに酷い事をしていたようで、悔しそうに泣きながらしゃべるので途中で止めようかと思ったが、最後まで喋るとスッキリしたのかいい顔になっていた。

 腹の虫が鳴いたので、リンに大根1本差し出すと、かぶりつくように食べていた。

 夏に育った大根は辛い事が多いがこの大根はダンジョン産だし、特上だから甘いのでおやつにもってこいだと思う。

 僕は、海岸沿いに散らばっている木材を回収しては、収納場所で加工していた。

 人一人会わない海岸線を歩くこと数刻が過ぎ、太陽が傾く頃目的地のダンジョン入り口が見える。

 何もない所にポツンと存在するダンジョン入り口の側の大きな木にハンモック状に寝床を作る。

 海岸に戻ると、加工した木を並べて焚き火の準備をする。

 木の破片どうしを擦り会わせて火を付けた。

 焚き火で魚を焼き夕飯にする。

 おにぎり弁当に焼き魚と野菜が足りないがリンにとってご馳走である。

 夕飯を済ませたがMpは10万に届かないので、明日の朝に持ち越しである。

 することもないので、今日は早めの就寝。

 歩いてばっかで疲れただろうと思うけど、疲労度は10位までしか上がらず、ほとんど疲れてないように見えるが、知らないところを歩くのは精神的に疲れてたのかすぐに寝てしまった。

 次の日の朝、ヒグラシの声で目が覚めると、リンもすでに起きていた。

 さっそくMpを確認し10万を越えているので、早速リンにステータス画面を開いてもらう。

 魔法のカード製作の中から、本訳イメージを人差し指で軽くタッチしてもらうと、製作しますか?Yes/Noと出たのでYesを押してもらうと、Mp10万が無くなり、リンの手元にカードが1枚出来上がった。

 しばらくすると、カードは霧状になってリンの体に吸い込まれていった。

 これで使えるようになったのかな?と思うがどうかと思いリンに聞いてみても特に変化なしとの事。

 しかし、ステータス画面には製作済みとあるので問題なく使えると信じ、1つ聞くことにした「箸の使い方を調べて」と。

 昨日は魚を手掴みで食べていたが、無理もない。

 「箸って木の棒みたいなもの?」とリンが聞いてくるので、「そうだよ」というと、「何となくわかった」と言ってきた。

 頭の中に、知らないイメージが浮かぶ事自体に、違和感や嫌悪感など出るかと思ったがどうもそう言うことは無いらしい。

 調べものが無事出来たのだと安堵してたらこう聞かれた。

 「調べるって何?」

 「し、調べるってね。んー調べるとは自分の知らないことをだなー教えてもらうんだよ」

 「んー何となく調べるを調べてみたからわかった。ありがとー」

 「あっうん。その調子で解らないこと全部調べてね。あと、魔法とダンジョンについて調べてね」

 「うん。ダンジョン・・・魔法・・・大体わかった」

 早くないですかリンさん。

 良いけど、本当に良いことなんだけど、僕がすぐに用済みになりそう。

 百聞は一見に如かずという諺があるが、正しいイメージを直接頭に入れられたら理解するのも早いよね。

 「朝食にしようか。昨日と変わらないけど」

 「うん。昨日のご飯美味しかったから、それでいい」

 おにぎり弁当のおにぎりに、岩のりたっぷり振りかけ、蓋に昨日焼いておいた魚をおき、シソの葉に大根おろしをのせて箸を差し出す。

 ぎこちなさそうに箸を受けとるリンだが、指と箸の位置を確認しながらゆっくりと箸を持ち動かしてみる。

 漬け物を箸でつかむとゆっくり口に運ぶ。

 一度出来れば、次も出来るもので、魚の骨を丁寧に取りながら食べたり、おにぎり崩しながら箸で食べていた。

 ここまで箸を使いこなせるなら、ダンジョンも魔法も魔物を倒すことも出来ると思う。

 食べ終わった弁当箱を回収して、着替えを出すと慣れてきたのかすんなりと着替え終わる。

 「それって収納って言うものなの?」

 「そうだけど、調べられたの?」

 「うんとね。無属性の最後の方に載ってた。この、収納と錬金術というのがほしい」

 僕も調べてみたら、確かに載っている。

 収納・・・特定のもの以外収納することが出来る。時間経過無効。

 錬金術・・・特定のもの以外素材があれば作れる。

 特定とは、生きてる人や魔物、妖怪や神などらしい。

 最もそれらのカードを作るにはお互い100万Mpが必要らしい。

 リンであるならば、2ヵ月とたたずに習得できるMpだ。

 普通は一生かかっても会得できないだろう数値の対価を得るものを欲しがるリンは大物になれると僕は思った。

 どのみちちょっと先にならないと、習得できないので今日のところは僕とダンジョンを攻略してもらう。

 ダンジョンは、どんな敵がくるか、リンの魔法はどの様な物か、しばらくはGランクのダンジョンしか廻れないが楽しみだ。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ