表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/134

ラーメンにしよう

 Gクラスのダンジョンは、無事に攻略した。

 お祝いをするために寿司パーティーをする予定だったのだが、僕の何気のない一言で変わることになろうとは。

 「ラーメンが食べたい」

 中国発祥の日本生まれラーメン。

 日本人の庶民的な食べ物でありながら、ほとんどの人が毎日食べない物だ。

 だからこそ、たまに食べたくなる物の1つである。

 僕の譫言のような言葉を聞いたリンが、スキルにでも聞いたのだろう。

 寿司パーティーからラーメンを食べることに変更した。

 「でも、どうする」とリンが聞いてくるので、「どうするとは」と聞き返す。

 「ラーメンって色々あるでしょ」「色々?」僕には、醤油か味噌か塩、あるいはトンコツ位しか浮かばない。

 「詳細は省くけど、ラーメンはスープと麺と調味料に別れるでしょ。ここで言うスープとは出汁のことで、海産物系や動物系や野菜出汁それらを組み合わせたりシンプルに出したり、調味料は醤油、味噌、塩。醤油だって濃口、薄口、たまり醤油なんかもある。味噌だって白、黄、赤、合わせ味噌、塩だって海、湖、山、温泉なんて物もある。麺だって、極細麺、細麺、麺、中太麺、太麺、極太麺ってあるし、小麦粉のみの麺、カンスイの麺、卵麺等もあるの。どの組み合わせがいいのかな?」

 どのと、改めて言われると非常に困る。

 ほとんどが、母さんが作ってくれたラーメンを食べるだけであった。

 母さんとて、最初から作るわけでなく、丸いマークの袋麺から簡単に作っていたし、味については味噌が好みだったかな。

 出汁とか何だろう?動物系だと思うけど正直知らない。

 カンスイとやらは麺に入ってるのだろうけど、正直わからない。

 ただ、味噌ラーメンが好きと言うと、一部の人から外道とか、ラーメン食べるのになんでわざわざ味噌汁飲まないといけないのだとか言われてしまう。

 特にラーメン通というわけではないので、何を言われてもいいのだけれど、今現在どういったものを食べたいかと言われると詳しく話せない僕であった。

 ここで、僕は究極の選択をする。「リ、リンに任す」である。

 任されたところで困るリンは、スキルだより。

 そして、スキルが導きだした答えは、野菜入り魚介系スープの醤油ラーメンだった。

 動物系をしないのは、今の揃う材料だと出来ないとの事。

 カンスイに関しては、無くても小麦粉があればスキルで出来るとの事。

 スキルで作る麺なら、熟成させる時間がなくても出来るというメリットもある。

 メンマやチャーシューもないが、家で作るときは入ってないから問題ない。

 味噌ラーメンでないのが残念ではあるが、次回余裕があれば作ってもらう、もしくは作りたいと思う僕である。

 「その前にお風呂入りたい」

 そうだな、僕もお風呂入ろう。「ソラも一緒に入れてやって。僕は1人で入るから」

 「えっ一緒に入らないの」

 うん。リンとだけならまだいいけど、流石にソラも一緒にだと遠慮したい。

 「えーまーいいか」もーちょっと抵抗してくれてもいいのですよと、少し寂しく思う僕もいたのだが、男女の区別はしないとだな。うん。

 『おかえり』エンちゃん声にちょっとビックリするもすぐに「ただいま」と答える。

 「お、おかえりなさい」覚束無い声に「ただいま」と元気なリンが「お風呂いこう」とソラの腕を引っ張るが「えっ」とお風呂の意味がわからず戸惑うのだが、リンの力に抵抗できず奥へと消えていった。

 「えーーーーーーー」とソラの声が木霊するなか「僕もお風呂いってくる」『行ってらっしゃい』と返事だけが返ってくる。

 お風呂に着くと、既に2人は居なかったので、風呂に入っているのだろう。

 僕もお風呂にゆっくり浸かった。

 お風呂から出ると、簡易的な洋服を着る。

 ここは、寒くもなく暑くもない快適な空間なので、軽装だ。

 食堂に戻ると、まだリンとソラは居なかったので、エンちゃんを呼び出し、先にラーメンの材料を用意することにした。

 麺の材料は、強力粉と水と塩。カンスイはMpで誤魔化そう。

 出汁用に、鰹と鮪は青カビとあわせて、鰹節とマグロ節にする。

 鯖、飛び魚、鰯、鯵等も出汁用に加工。

 野菜もネギ類や根菜類、キノコなど出していると、ドタドタとリンたちが戻ってくる。

 「ちょ、聞いてーソラねーったら、何回洗っても泡がアワワワッワッ」急いでリンの口を塞ぐソラ。

 「ちょと、恥ずかしいから。ねっねっ」首を縦に振るリンが解放される。

 「可愛いね。似合ってるよ」薄い空色のワンピースを着るリンと、濃い空色のワンピースを着るソラ。

 クルッと回り、スカート部分をヒラッと舞い可愛さアピールのリンとモジモジするソラ。と、リンの目線が反れる。

 「あっ材料揃えてくれたの」「足りないものもあると思うけど、細かいのはいいかなって。後は醤油くらいか?」

 醤油を用意する。

 ラーメンは、最初からまともに調理し始めると時間がすごくかかる事は、リンがよく知っているので、スキル任せで確認する。

 リンが、僕とエンちゃんとで用意した材料を見つめていたが、一度ボードの方に向かい雉と卵を出し、器も用意する。

 全部揃ったようなので、リンが一気に調理する。

 用意した材料がグニャっと曲がると、ラーメンが出来上がっていた。

 雉のチャーシューと味付け卵つき醤油ラーメン。

 名前をつけると、こんな感じのラーメンが出来上がった。

 トサッ、ソラが尻餅をつく。無理もない、目の前のズラリと並んだ物が消え、見たこともない器が3つに変わったのだから。

 リンが、ラーメンをテーブルに並べて、僕が、腰の抜けたソラをテーブルに座らせる。

 「「頂きます」」「いっいただきます」

 スープから。

 半透明の醤油色。レンゲで掬い一口。

 鰹がほぼ中心になりながら、他の出汁が主張せずに存在する。

 野菜の旨味がコクをだしつつも主張してこないので、キレのあるスープに仕上がっていた。

 麺。

 細麺で、弾力はあるが簡単に噛みきれて、スープとの絡みも良い。

 チャーシューは、豚ほどではないものの、鶏より歯応えがありかつ柔らかく、味付け卵も最高である。

 美味しい。とにかく美味しく夢中で食べた。

 恐る恐るのソラも、普通に食べてる。良かった、気に入ってくれたかな。

 「美味しかった。ごちそうさま」「「ごちそうさま」」

 「食べた、食べた。ほんと美味しかった」リンが少し年配風な言い方になっているがスルーしよう。頷いてるソラが居るから、ソラも気に入ったんだろう。良かった。

 しかし、歴史上ラーメンを日本で一番先に食べたのは、水戸光國(みとみつくに)と言われてる。

 おもいっきり塗り替えてるけど、まーここが別空間だから良しとしよう。

 ラーメンは、ここの空間以外で食べたり、作ったり話す事を禁止した。

 「これから、どうするの?やっぱりFクラスのダンジョン攻略してく?」

 「ダンジョン攻略してくは、してくけど、一度都にいってみたい」

 「良いよー何でも。真っ直ぐ向かう?」

 「いいや、街道に沿ってゆっくりいくつもりだよ。それよりエンちゃんに聞きたいのだけれど」『なに?』 

 エンちゃんに聞いたところ、西暦999年夏の終わりとの事。

 都につく頃には、秋になっているだろう。

 都についたらのんびり過ごすのも良いだろう。

 それで、日本全国津々浦々ダンジョン行脚しながらのんびり過ごしていこうと思う。

 そう決めて、布団に潜る僕であった。

 おやすみなさい

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ