3件目 僕のクラスの委員長がサドな件について!
「茜もうこんなことやめてね」
僕と茜は30分ほどかけて、警察や、駅員に怒られて、ようやく解放された。
「なんでー? 一輝くんのこと思ってやったんだよ?」
不満そうに茜はそう言う。
「毎回毎回遅刻して怒られるのは僕なんだから」
「……わかった。一輝くんがそう言うなら……」
そう。毎回毎回、遅刻して生活指導室に呼ばれるのは僕のみ。
ずっと前に茜と、一緒に行くと先生が殺されかけたからだ。
あのときの茜は本当に怖すぎました。
ハサミを持って、体育のゴリラ先生こと山下先生を押し倒しましたから……
「まぁでもだいぶ落ち着くようになったね茜。えらいえらい」
僕はそう言って頭を撫でる。
もっともっとと言わんばかりに、頭を僕の撫でやすい位置に持ってくる。
犬みたいで可愛すぎます。
「それじゃあまた放課後ね」
「えぇー、一輝くんも一緒に私のクラスで勉強しようよ」
「そんなことできるわけないでしょ。また放課後迎えに行くからね」
「はーい」
目をハートマークにさせる茜と別れ自分のクラスへと向かう。
茜は1組、僕は2組だから、必ず別れる。
ちなみに結衣さんは3組。
ついたところで、もちろんのことながら、授業は始まっている。
しかし今日の一時間目はロングホームルーム。
幸いながら、まだ先生も来ていないようだった。
しかし、この組にはやっかいな委員長がいる。
はぁと僕はため息をつきながら、ゆっくりと扉を開けた。
「……おはようございます〜」
すると当たり前の様にご機嫌斜めな委員長が扉の前で待っていた。
「おい……柊? お前は今何時だと思っているんだ?」
少し、いやかなり怒り気味で委員長はそう言う。
「はい! 9時です!」
僕は大声で、返事をする。
「そうだ。 お前は私にシバかれたいのか? 鞭で打たれたいのか? 殺されたいのか!? 私をそんなにゾクゾクさせたいのか!? 言ってみろ!!」
なぜそこで、「私をゾクゾクさせたいのか」なんて言葉が出てくるのかが、わかりません。
まぁ逆らわないほうが吉なんですけどね。
「そんなことないです!」
「しかし柊、お前は私のお気に入りだ。だから、特別に! 特別にだ! 許してやろう!」
「お、お気に入り? と、特別に? ま、まぁありがとうございます……」
ホッとしてしまう。
普段は校庭30周とか言われるんですけど、今日は何故か優しいです。
このサドことクラスの委員長、藤堂澪。
少し紫がかった黒髪で、目も髪の色とほぼ同じ紫っぽい黒。
成績優秀者、3番目で、美人系女子ランキング1位
さらに体力測定も校内1位
これだけ聞いたら完璧な女子高生なんですけどね……
彼女はサディストで、属性はサドデレである。
普通にしていたら「美人なんだけどなぁ」と思ってしまいます。
「な、な、な、何をいきなり美人などと言っているんだ!!」
どうやら心の声が漏れていたようです……
「い、いや事実そうですし……」
「全く、美人だなんてナンパもいいところだ! そ、それに結婚したいだなんて……照れるじゃないか……」
顔を紅に染めながら、話を飛躍的に進めようとする。
委員長の悪い癖の一つでもある。
そこまで言ってないんですけど、機嫌損ねたら、どこまで走らされるかわからないですからね。
放っておきます。
「委員長そんなことより、なんの話をしていたんですか?」
「ああ、今日は文化祭の出し物について、考えていたんだが、案がまとまらなくてな」
「なるほど……」
黒板に書かれてるのは次の出し物。
『劇』
『メイドカフェ』
『男装カフェ+女装カフェ』
『お化け屋敷』
『迷路』
『女王様へのご奉仕カフェ』
……一番したの意味がわからないのはともかくとして、インパクトが足りませんね。
「んーなんか全てありきたりですよね?(一番したのやつ以外ですけど)」
「柊もそう思うか?」
「はい(一番したのやつ以外ですけど)」
「まぁ、そろそろチャイムもなるし、また次のロングホームルームだな」
「そうですね」
そう言うと僕は席について、カバンから机の中に教科書を入れだす。
* サドデレ
サドデレとは、ツンデレのツンの部分が個人的嗜好の関係でドSなツンデレの事でデレていても、好意を持った相手を言葉攻めしてしまうことが多い。
また自分のいいように解釈してしまうサドデレもいる。