22件目 私が親友とクレープ屋さんに行った件について!
今回は妹視点になります!
クレープ屋さん、ケーキ屋さん、ドーナツ屋さん。
それは私にとっての一番の天敵です。
「今日は何食べるー? 真冬っち」
放課後。
そんな一番の天敵である、クレープ屋さんに唯一の親友、駿河巫と一緒に来ています。
「何食べるー? じゃないんだけど、私は今日は無理って言ったよね?」
「とか言って私に付き合ってくれる真冬っち、結婚してください」
巫はいきなり頭を下げ、求婚してきます。
私はため息をついて
「なんでいきなり結婚になるの……」
冷静にツッコみます。
このやり取りを巫と知り合ってから、何十回と繰り返しました。
もういい加減飽きましたよ……
「で返事は?」
「いつも通り無理」
「だよねー……」
露骨に落ち込む巫も、もちろんそれもいつも通りです。
「ま、とにかく何にする? 私はあんこ増し増しのジャーマンポテト風味クレープかな」
「ほんと、巫はよくわからないのばっかり頼むんだね」
あんこと、シャーマンポテト風味のクレープとか味がよくわからない気がするんですけど……
「で、真冬っちは? 何にするの?」
「んー私は……」
最近太り気味なんですよね。
お兄ちゃんが夜食作ってくれるのはありがたいんですけど、それのせいで最近1Kg太りました。
「やめておこうかな?」
「え……」
「……なんでそんな、この世が終わる……みたいな顔してるの?」
「いや、だって真冬っち、甘いもの好きでしょ?」
「いや、まぁ好きだけど……」
それに月末でお金もないですしね。
手持ちも千円くらいしかないですし……
「あーわかったー真冬っちもしかしてー……」
「うん?」
「太ったから?」
こういう時だけ感が鋭い女、駿河巫。
なんかむかつきます。
「う、うん」
「そっかーあの完璧美少女、柊真冬ちゃんがーへー」
「な、何?」
「まぁ確かに、ちょっと頬に肉ついたよねー」
そう言うと巫女は私の頬を突いてきます。
む、むかつくけど図星なんですよね……
「と、とにかく私は買わないからね!」
「そっかそっか。じゃあ私の一口あげよっか?」
「い、いらない」
「えーなんで?」
「なんでって……」
私は戸惑います。
「あ、わかった! 間接キスとかになるから嫌なんでしょ! 全くーほんとはしたいくせに! ほんとツンデレなんだからー真冬っちは!」
ニコニコしていう巫女は、ほんとに馬鹿だと思います。
「変な味のクレープは食べたくないって言ってるの」
急に真面目な顔をして話すと本気だと悟ってくれる巫女。
「……なるほど。まぁとにかく買ってくるね! 待っててね!」
「うんわかった」
はぁ……疲れました。
巫女は急いでカウンターに行くと店員さんを困らせています。
なにやら、店内にないクレープを頼んでいるようです。
やはりあんこ増し増し、ジャーマンポテト風味は売っていないようです。
まぁこれもいつも通りなんですけどね。
おかげで出禁になった店数知らず……ほんと最悪です。
「お待たせー真冬っちー!」
巫は走ってこっちに来ます。
店内は走るなって注意しないとですね。
「ん? なんで二個持ってるの?」
巫の両手にはクレープがありました。
右はゲデモノ、あんこ増し増し、ジャーマンポテト風味クレープ。
左は、えーと生クリーム増し増し、バナナクレープ?
「左は真冬っちの分! はい!」
そう言うと巫は左に持っているクレープを渡してきます。
「い、いや悪いよ、あ、お金お金」
「お金なんていらないよ? いつもお世話になってるからねー、そしてこれからもお世話になるし!」
「み、巫……」
「死ぬまで!」
「いやそれはないかな」
「またしても振られるという……まぁでも食べていいから!」
「巫……うん! ありがと!」
何故か急に巫が良い子に見えてきました。
今日は店内走ったことは怒らないことにしましょう。
「「いただきます」」
私達は声を合わせ一口食べます。
口の中に甘い風味とバナナの香りが広がっていきます。
「んーおいしい!」
クレープは基本的に生クリーム多めが好きです。
まぁそれが太る一つの原因でもあるんですけどね。
「美味しいね」
「いや、巫の方はまずそうだけど……」
「い、いやいや! このドロドロで、ぴりっとした辛さがやみつきになるんだよ!」
「ふ、ふーん」
本気で目をキラキラと輝かして言う巫はほんとに不思議です。
絶対にあんことジャーマンポテトとか合わないですし……
まぁ深く考えずにクレープをもう一口。
すると、
「真冬っち?」
「はむっ……」
「ちょっとじっとしててね」
「うん?」
「生クリームついてるから」
「う、うん」
顔を近づけられ私は目を瞑ります。
その瞬間、
「……んっ」
巫は私の頬についた生クリームを舐めました。
「……な、な、な、な、な、何するの!」
またしても朝、いやそれ以上に体温が上がっていきます。
「何って生クリーム取ってあげたんだけど……嫌だった?」
上目遣いで悲しそうにする巫。
演技だと分かっていても、少し可愛い……
でもここは平常心に怒ります。
「……嫌に決まってるでしょ!」
「だよねーまぁ、わかってたけどさ」
そう言うと巫はゲデモノクレープを食べ終わります。
「それじゃあそろそろ帰ろうかー真冬っち」
「うん……」
ほんとにやめてほしいです……
私は顔が赤くなっているのをバレないように帰りました。
本来ならば、この話はもう一つ後に更新する予定でしたが、時系列がズレるので先にしました。
今回は少しだけ百合を入れてみました。
やっぱり真冬はまんざらでもない様子ですかね!
次回は主人公視点に戻ります!
ここまでお読みいただきありがとうございました!




