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2件目 僕の彼女が少し病んでる件について!

「…………」


 家を出てから僕は結衣(ゆい)さんをおぶって駅まで走っている。

理由としては駅に待ち人がいるのと、その人と結衣さんを会わせないためだ。


 もちろん引きずるのはやめました。まぁこれも中学の頃からやってるんで慣れましたけどね。

 

「ねぇいっくん」

「はい。なんですか?」

「重くない私?」

「どうしてそんなこと聞くんですか?」

「いや、毎朝大変かなぁと思って」

「そう思うなら自分で歩くなり走るなりしてくださいよ……」

「……頑張ってね……ふわぁ……」


 そう言うと結衣さんは僕の背中で眠り始める。


 もちろん、この会話も、会話の後眠ることも毎朝のことです。


***


「はぁはぁ……」


 駅の近くになる頃にはすっかり、僕の息もあがってしまっている。


 そら、鞄二個でも重いのに、結衣さんもおぶってたら息なんてきれるにきまってます。


「ふわぁ……もうちょっとだよ〜頑張って〜」


 結衣さんも駅に近づいたのを感じたのか目を覚ます。


「はぁはぁ……もうちょっとなんですから、自分で歩いてくださいよ…はぁはぁ」

「うーんそうだね」


 そう言うと結衣さんは僕の背中から降りる。


 いつもは駄々をこねるのに今日は素直なんて珍しいです。


「それじゃあ先に行ってるね」

「はい。また学校で」


 結衣さんは先に電車に乗るために改札を通ってホームに行く。


 まぁ、命の危険がありますからね。

僕の待ち人が、僕が結衣さんをおぶってるとこなんかみたりしたら駅周辺が、結衣さんの血で染まりますから……


一輝(いっき)く〜ん待った〜?」 


 ちょうど結衣さんと入れ替わるように僕の待ち人が来ました。


「全然待ってないですよ」

「一輝くんは優しいね」


 頬に手を当て顔を赤らめる僕の待ち人の名前は朝比奈(あさひな)(あかね)


 一応僕の彼女です。


「それじゃあ、行こっか一輝くん!」

「はい。行きましょうか」


 僕は歩きだそうとするが、茜が僕の手を引っ張る。


「ちょっと一輝くん、なんで敬語なの?」


 茜はどうやら僕が敬語なのを気に食わないようだ。


「ごめん。つい癖がね」

「なんだ癖か。もう! しっかりしてよね!」


 満面の笑みで頬を突いてくる茜。


 少しときめきました……かわいいすぎます……


「ごめんね。そんじゃ行こっか」

「うん!」


 茜は返事をすると、僕と手をつなごうとしてくる。

それを僕は受け入れて、手をつなぐ。


「えへへ」


 またしても満面の笑み。


 こういうのが学校でバカップルとか言われる所以なんですかね。


 改札を通りホームに行くとちょうど電車が来ていた。


 その電車は満員電車とは言えないが結構人はいて、少しばかり身動きが取りづらい。


 僕達が電車に乗ると


「おっと」


 電車がカーブで揺れてしまったその時、不覚にも誰かの足を踏んでしまう。


「大丈夫?」

「うん」


 茜は心配してくれる。


 優しい人です。ってか謝らないと……


 そう思い僕は振り返る。


『おいおい何、人の足踏んでんだ兄ちゃん』


 振り返るとヤンキーそうなおじさんがそこにはいた。


 ……ま、お約束ですよね。


 結構人がいるからこんくらいは許してほしいものなんですけど……

 とにかく謝らないと。


「すみま……むぐっ」


 謝ろうとしたその時、茜が、僕の唇に人差し指を当てる。


「謝らなくていいのよ? 一輝くん」

「いや、でも」

「今からこいつには死んでもらうから」

「……はい?」


 始まってしまいました……

僕の彼女、茜、いや朝比奈さんは……


 ヤンデレなのです。


 朝比奈茜、僕と同じく一年で、僕の彼女でもある。

真っ赤な目に少し赤みがかった茶髪。

身長は結衣さんより少し大きいくらい。

成績優秀者で確か2番目、美人系女子ランキング3位、胸でかいランキング3位などなど、沢山の称号がある。

 

 まぁ、僕としては初めて告られたから付き合ったってのもあるんです。

けど、まさかヤンデレとは思っていませんでした。

ちなみにこれでも、和らいだ方なんです。。

 まぁ、そんな茜が好きなんですけどね。


「ま、まぁ茜、僕が悪いんだし……」

「一輝くんは何も悪くない。悪いのは足を踏まれたこいつなのよ?」


 踏んだ側で加害者だけど、それはひどいと思います!

と声に出して言いたいものです。


「というわけで死んで? 知らないおじさん」

『な、何わけがわからねぇこと言ってやがる!』


 流石におじさんも動揺しているようだ。


「へぇ~、逆ギレですか……」


 いや、どう考えても正当だと思いますけど……


「だったら社会的に死んでもらいます」

『あ? 社会的に?』

「あーあーあー」


 発声練習のようなものをする茜。

するとスゥーっと少し空気を吸う。


 ま、まさか……


「キャ——この人痴漢です——!」

「は、はぁ〜!?」


 やっぱりか……


 そう叫んだ、茜は何やら満足そうに、僕の方を見て微笑んだ。


***


「ほんと、すみませんでした」


 電車を降りた僕らは警察の方や、ヤンキーそうなおじさん、そして周りのギャラリーの皆様方に謝っている。


「ほら、茜も謝って」

「ちっ……すみませんでした」

「舌打ちしないの! ほんとすみません!」

「どうも……すみません」


 不満そうに謝る茜。


 これはどう考えても茜が、悪いですよね。


 ギャラリーの人達は、興味がなくなったかのように、すぐに散っていくが、警察の方々と駅の職員さんはそうはいかない。


 これで遅刻確定です……

* ヤンデレ


主人公に好意を抱いている(デレ)が、その強すぎる好意が直接的または間接的な原因となり

他ヒロインへの嫉妬などの形で精神を蝕み、

精神的に病ん(ヤン)でしまうヒロイン及びその状態である

ヤンデレにもいろいろな種類のヤンデレがある。


茜は従属型ヤンデレです!


* 従属型ヤンデレ


対象者に従属しているヤンデレ。対象者を異常なほどにまで慕い、また依存している。対象者を幸せにするためであれば、どんなことでもする。

対象者の幸せ=自分の幸せ


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