17件目 僕の幼馴染が風邪を引いた件について! その1!
百合騒動もとい僕が理不尽に怒られてから一夜あけ、翌朝僕はいつも通りに目が覚める。
すると普段通り僕に抱きついている人がいる。
また結衣さんですかね……
僕はそろーっと、布団をめくり、
「結衣さん起きてください!」
声と一緒に布団を一気に引き剥がす。
しかしそこに寝ていたのは……
「あ、お兄さんおはようございます!」
陽菜だった。
しかも生まれたままのあられもない姿でだ。
「ひ、陽菜!?」
僕は慌てて目を隠す。
「な、な、な、なんて格好してるんだよ!!!」
「いやーやっぱりお兄さんも目を覚ますと全裸の美少女が起こすっていうのを体験したいかなぁと思いまして」
自分で美少女って言う、陽菜も陽菜だと僕は思うが、これは冗談の度を越しているような気がする。
僕も思春期真っ盛りなんですから……
ホント自重してほしいんですけど……
てか結衣さんでも下着は履いてますよ……
「はぁ……」
僕は頭を抱え、ため息をつく。
「とにかく服着てきて? あと学校の準備もまだだよね?」
そうなのだ。
怒って疲れたのかは知らないが、陽菜は昨日、8時過ぎくらいには眠ってしまった。
まぁソファで寝てたので、僕が結衣さんと陽菜を二人運ばないといけなかったんですよね。
「はーい! っていっても制服着るだけですけどね」
「いやいや、学校の準備してないでしょ?」
「転校してきたばかりなので、まだ教科書もないんですよ」
「あぁー……」
「なるほど」と僕は納得し、「とにかく着替えてきて」と部屋から陽菜を追い出す。
「だからもう少し話しましょうよー!」
陽菜はドン、ドンっと扉を叩くが僕は気にもしないで、制服に着替える。
そういえば今日は結衣さんじゃなかったということは、自分の部屋で寝ているのでしょうか?
僕は疑問を持ちながら、部屋を出て、階段を降りリビングに行く。
「お兄ちゃんおはよう」
「おはよう真冬」
僕は真冬に挨拶をすると、リビングを見渡す。
しかし、そこに結衣さんの姿はない。
「真冬、結衣さんは?」
「え? お兄ちゃんと一緒じゃないの?」
真冬は本気で知らなそうだ。
てことは部屋で寝てるのでしょうか?
「僕見てくるよ」
「うん。お兄ちゃんお願い」
僕と真冬が話し合っていると、制服を着てきた陽菜が真冬に抱きつく。
「真冬ちゃーん! おはよー!」
「おはようございます陽菜さん」
うっとしそうにする真冬と、ベタベタ抱きつく陽菜。
なんか陽菜が犬で真冬が猫みたいな感じです。
「とりあえず僕見てくるね」
僕はイチャイチャ?している二人を放って結衣さんを見に行く。
結衣さんが僕の所で寝てないってのは、ほんとに珍しいんですけどね。
てか珍しいって思ってしまう自分がいるのが怖い……
僕はそんなことを考えながら結衣さんの部屋まで行き、扉を3回ノックする。
「結衣さーん朝ですよー」
「…………」
結衣さんからの返事はない。
女の子の部屋に入るのはちょっと抵抗があるが、仕方がないと自分に言い聞かせる。
「結衣さん入りますよー」
僕はそう言い扉を開け中に入ると、部屋のカーテンを開ける。
まさかカーテンも開けてないとは……
「てか、結衣さんの部屋思ったより綺麗……」
結衣さんは、だらしないというか、めんどくさがりだから、部屋は汚れていると思っていたが、全くといっていいほど、綺麗に片付いていた。
てっきり下着とか、そのままかなと、思っていたんですけどね。
ベッドを見てみると、案の定結衣さんらしき膨らみがある。
それを見た僕は布団を勢い良く引き剥がす。
「結衣さん起きてください」
しかし結衣さんの反応は鈍い。
「結衣さん?」
結衣さんを揺らして起こそうとするが、何やら息が荒い。
「はぁ……はぁ……いっくん……おはよ……」
「もう朝ですから起きてください」
「う、うん」
結衣さんは返事をすると立とうとする。
しかし、足元がおぼつかない感じでふらついている。
「結衣さん大丈夫ですか?」
僕は少し心配になる。
結衣さんの顔も少し赤いように感じる。
もしかして……結衣さん……
「ちょっとデコかしてください」
僕はそう言い、結衣さんのデコに手を、自分のデコにも手を当ててみる。
すると……
「結衣さん熱がありますよ!」
「はぁ……はぁ……やっぱり……?」
結衣さんは風邪を引いてしまったようだった。
もうしばらく結衣さんがメインです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!




