15件目 私の従姉が屑すぎる件について!
妹視点になります!
「お兄さん行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい」
私と陽菜さんはお兄ちゃんを見送りました。
正直私としては、陽菜さんと二人きりにはなりたくはないですが……
でも私が二人きりになりたくないのに、ならなくてはいけないのには、ちゃんとした理由があります。
「真冬ちゃーん! ほんとにかわいいねー!」
お兄ちゃんが出て行った瞬間またしても私に抱きついてきます。
正直、うっとおしいです。
「やめてください」
私は冷たくあしらいます。
「えぇー冷たいなぁ。でもそんな真冬ちゃんが私は……す・き・だ・よ」
耳元で囁く陽菜さん。
ほんとに反吐が出そうです。
「そんなことよりも、陽菜さん」
「うん?」
「何か飲みますか?」
「うーん……オレンジジュースがほしい!」
「はいはい」
私はキッチンにいってお茶とオレンジジュースをコップに入れ持ってきます。
「どうぞ」
「うん! ありがとう!」
笑顔でそう言う陽菜さんはどこか気持ち悪いです。
傍から見たら、可愛いんでしょうけど、私は違います。
私からしたら、正直怖いです。
「それで、陽菜さん」
「うん?」
私はお茶を一口飲んで話します。
「今日は私を潰そうとはしないんですね。ブラコンである私を」
「なんのこと?」
「とぼけないでください。今回の目的はなんですか? 私ですか? 結衣さんですか? それともむぐっ……」
私が名前を上げようとすると人差し指で口を抑えてきます。
「ダメだよ? 真冬ちゃん。お兄さんにそのこと話したら……」
陽菜さんはまた私の耳元で囁きます。
「先に真冬ちゃんから食べちゃうよ?」
私は少し背筋がゾクッとなります。
なぜなら陽菜さん、いや柊陽菜の本性は悪魔と言ってもいいほど、屑なのです。
柊陽菜。
私の従姉で、容姿端麗、頭脳明晰、絵に描いたような美少女です。
高校1年生ながら、前の学校では生徒会長をしていたとも聞いています。
しかし、そのやり方はまさに独裁政治と言ってもいいもので、先生をも支配下においていたと聞いています。
ちなみに名字が柊のままなのは、離婚したそうです。
お兄ちゃんの前では、デレデレと良い子ぶる。
けれども、お兄ちゃんと自分の未来の障害になるものは容赦なく排除しようとする。
最低最悪のドロデレというやつです。
まぁお兄ちゃんからしたらただ、デレデレする女の子なんでしょうけどね。
「……何を目的にしてるかは知らないですが、私とお兄ちゃんの生活だけは潰さないでください」
「もし潰したら?」
「その時は……」
私は机の上に置いてある、シャーペンを目に向けて刺そうとします。
もちろん寸止めです。
「殺します」
私は本気です。
今の幸せが壊れ、お兄ちゃんを不幸にさせることがあれば、私はその人を本気で殺ります。
「真冬ちゃんー怖いなぁ……まぁでもそれは、私の気分次第かな?」
そう言うと陽菜さんは妖艶な笑みを浮かべます。
「まぁ今は……」
「ただいまー」
陽菜さんが話を進めようとすると、ちょうどお兄ちゃんが帰ってきました。
私達は急いで玄関まで行きます。
「おかえりなさいお兄さん」
「おかえりお兄ちゃん」
二人揃ってお出迎えです。
先程話していたことがバレないように。
「た、ただいま」
バレてはいませんでしたが、お兄ちゃんはどこか驚いているようでした。
* ドロデレ
主人公などの好意を寄せる相手についてはデレデレと溺愛の表情や態度を見せるが
自らの障害となると判断したものについては徹底的に潰そうとするような性格、または属性。
お読みいただきありがとうございました!




