眼鏡くん
外ゎ晴れてる。
「まじ溶けそ…」
私は一言つぶやいた。
私は高山瑞恵25歳。
独身。
特技は…
ない。
趣味…
これもないな。
毎日仕事に行って、帰ってくる。
ただそれだけ。
かと言って、今の自分に不満もない気がする。
たぶん。
ただ、半年前までは、少なくとも、今よりは何も知らない子供のように…
無邪気で楽しかったと思う。
恋をしてたから。
「って何考えてんだ、私…」
瑞恵は呟いた。
外はもうすぐ夏。
ジメジメした空気が瑞恵まわりを吹き抜けていた。
「高山さぁーん!!」
甘ったるい、高い声が聞こえてくる。
「高山さん、探しちゃいましたよぅ。」
由加里は肩で息をしながら駆け寄って来た。
「なに?」
瑞恵はそっけなく返事をした。
「あの、この前教えてもらったヤツなんですけど…」
言い掛けた所で、瑞恵が言葉を遮った。
「いい。私がやるから」
由加里は苦手だ。
天然というのか。
無知というのか。
仕事の覚えも悪い。
人付き合いも悪い。
「こんな簡単なコトなのに…」
瑞恵は呟く。
どうしようもなくイライラしたとしても、半年前だったら耐えられたかな。
そんな感情を覚えるようになったのは、この季節だからかな。
そんな事を最近よく瑞恵は思い出すようになっていた。
息が白い。ベンチに座りながら、瑞恵は手をこすりあわせた。
「みぃたん!!」
「いたっっ!!なにすんのぅ!?」
背後から急に飛びつかれ瑞恵は頬を膨らませた。
いつもの待ち合わせの公園。
もぅ日も落ちて暗い。
「ごめんごめん。びっくりした??」
そう言って、祐一は瑞恵の頭を強くポンポンはたくようになでた。
「もぅっ!そんなしたら、髪がボサボサになっちゃぅぅ!!」
祐一は笑っている。
瑞恵も笑っている。
こんなくだらない会話。
こんなくだらない触れ合いが好きだ。
いつも笑って祐一は瑞恵を見てくれる。
そんな祐一が瑞恵は大好きだ。
「で?ゆたさん?今日はどうしたんだい?」
瑞恵は髪をなおしながら、祐一に聞いた。
今日は特に逢う約束もしてなかった。
「へへ!実はねぇ…」
祐一は笑う。
「なに!?笑い方キモチワルっ!!」
瑞恵が言うと、祐一が急に腕をつかみ、手の中に何かを入れてきた。
「みた!24歳オメデト!!誕生日、一緒にいてあげられなかっただろ?
ちょっと遅いケド、プレゼント!!」
そう言って、祐一は瑞恵の大好きな笑顔を向けた。
「ささ!見て見て!」
あまりに突然の贈りモノに瑞恵は驚きながらも、自分の手の中を見た。
小さい白い箱に金のリボン。
祐一の満面の笑みを見ながら瑞恵は箱を開けた。
「わっ!!これ!!」
瑞恵が祐一の顔を見る。
箱の中には、キラキラ光る石が3個付いた、ピンクゴールドの指輪があった。
「あれ?気に入らなかった…?」
祐一は心配そうに瑞恵の頭を、今度は優しくなでた。
「ちょおかわいい!!なにこれ!ありがとぅ!」
「すげぇだろ?実はこれダイヤだぜー!」
と言いながら祐一が指輪を瑞恵の左手の薬指にはめた。
「みぃたん似合うじゃん!!やっぱオレってセンスあるー!でね…実はこれペアリングー!!」
祐一は自分の左手を瑞恵に見せた。
薬指には石が3個付いたブラックの指輪を付けている。
「ゆたさんフンパツしたねー!!」
瑞恵が祐一の左手と自分の左手を交互に見比べていると、祐一がいつも以上の最高の笑顔を見せた。
「みぃたん。オレと結婚してくんない?」
瑞恵には思いもよらない突然の出来事だった。
初めての作品です。下手くそですがスイマセン。続きもありますのでよろしくお願いします。