1.買い物
まだまだ未熟ですが未熟なりに頑張ります。
それではなるはず(略)開始です。
眩しい太陽が照らす町〈サニア〉。その町の中でも一際人の多さが目立つ〈リト市場〉を少年は歩いていた。目当ての品である手頃な剣を買うためである。少年は昨日こそ〈冒険者〉としての資格を得ることができる年齢へと達したのであった。
「あーあ、安くて良い武器ないかな」
歩く度に聞こえる威勢の良い客寄せの声。もちろんその中には強そうな剣を売っているお店もあった。
「もう少しお金があればなあ」
少年の所持金は5〈ファル〉。正直、少年の探し求めている剣を買おうとする予算としては無謀であった。しかし、少年は今日から〈冒険者〉である。〈冒険者〉になると普通は〈ギルド〉への所属をすることになるのだが、〈ギルド〉に所属するためにはいくつかの条件をクリアしなければならなかった。その中の1つが〈希能付与武器〉の所有である。その〈希能付与武器〉は固有のものと他有のものがあり固有である程、力としては大きいし値段は高い。なぜなら固有は〈人間族〉が所持している〈希能〉を武器に付与するからである。逆に他有は〈異族〉と呼ばれる種族の〈希能〉を武器に付与することになる。力の大きさはピンからキリまであると言われ、危険度が高いランクの〈異族〉の〈希能付与武器〉程力は大きく値段も高くなる。
「よう、兄ちゃん。手頃な他有〈希能付与武器〉取り扱ってるぜ。安くしとくよ! 」
安くしとくよ!
安くしとくよ!
安くしとくよ!
少年の頭の中で何度もその言葉が反響する。悩む素振りもなく少年は返事をしていた。
「ほんとに!? 俺でも買える!? 」
少年の勢いに男は若干焦ったように笑う。
「凄いくいつきようだな。 兄ちゃんいくら持ってるんだ? 」
少年は大きな声で言った。
「500〈ファル〉! 」
は‥‥? 男の顔はまさにそれだった。
「やっぱり無理‥‥? でも俺どうしても今日欲しいんだ!」
そんな少年の様子を見て男は悩む素振りを見せる。
「んー、声かけたの俺だしな‥‥だって、まさか‥‥会えないと思ったし‥‥でもなー500‥‥うーん‥‥」
数十秒も経たないうちに男から、まあいいか! という声が聞こえた。少年はその声を聞き一気に期待の眼差しを向ける。
「ほんとに良いの!? 」
男はしっかりと頷いて
「男に二言はねえ! といっても売れるのはこれしかないが」
そう言って奥に入った男が持ってきたのは少年と同じくらいの大剣だった。