第七話「一泊食事抜き」
「何で俺がお前と一緒に仲間を探さなきゃならないんだよ」
「こっちのセリフだ。安奈様の命令なら仕方がないだろ」
安奈は外に出ている。
ギルドだけを探すのはあれらしく、街の中で仲間を探すらしい。
俺たちはギルドに待機して出入りする人々に話しかける役割を押し付けられている。
っていっても見つかるだろうか?
これまで結構な数の人々に話しかけれきたが答えはNOしかない。
足元を見るやつらが多くて、仲間になる代わりにお金を要求する人たちばっかりだ。
それにもうそろそろ夜になるし、宿探しをしたほうがいい気もするが、それをフィルに言うと。
「金銭的に宿は無理だから、どこかで野宿するしかないだろう」
野宿か。野宿野宿っと。
って、えええええええええええ!?
「どうしてもっと早く言ってくれないんだよ!」
「何が?」
「宿探しのことだよ! お前がもっと早く言ってくれれば宿に泊まれたかもしれないのに!」
「安心して、安奈様には所持金があるから泊まるのが無理なのはお前だけだ」
「え? どういうこと」
「海斗」
安奈がやってきた。
「おおう、安奈、どうした?」
「海斗は泊まる宿決めた?」
「まだだけど」
「さっきとても安いいい宿を見つけたの! 付いてきて」
「ああ」
俺は安奈について行って宿に行くことになった。
「見て」
安奈が指差すところを見てみる。
「一泊10Gか」
「ね! 安いでしょ。しかもシャワー完備な上に夜と朝は食事付き! 海斗もここにしなよ」
「そうだな。お金払っておいてよ」
「え?」
「へ?」
「海斗お金持ってないの?」
「ああ」
「あら? てっきり10Gはあるもんかと思ってた」
「ああ、だから払っておいてくれない?」
「無理よ」
「何で」
「私10Gしか持ってなかったから」
「お前が取った部屋に泊まれないのか?」
「10Gという激安価格なのよ? 泊まれるのも一人用に決まってるじゃない」
「ほう。って、えええええええ!?」
俺は驚愕しつつ、その驚愕は次第に怒りに代わり、フィルを睨んだ。
「フィル。どういうことだこれは」
「言っただろう泊まれないのはお前だけだと」
「何で俺には所持金がないんだよ!」
「知るかボケ。元々この世界はお前のために存在してるわけじゃないからな」
どういうことだ?
「何だ? 安奈のためにこの世界があるということか?」
「これ以上は秘密だ」
「何だよ。話してくれてもいいだろ」
「お前に話す価値などない」
「フィル。私からもお願い」
「すいません安奈様。安奈様にもこの世界の秘密は教えることは出来ません」
安奈にも教えることが出来ない。この世界の秘密。一体何だろうか?
って、それよりも宿だ。
「おい。俺の泊まる場所はどうするんだ?」
「野宿でもすれば?」
「貴様あああ!!」
「まあ海斗。一応ベッドの上じゃないなら私の部屋で寝てもいいから」
ありがたや。
この時ばかりは安奈が天使に見えた。
「いいんですか? 安奈様」
フィルがこんなやつ泊める必要なんてないよとばかりの視線で俺を見ながら、安奈に話しかける。
「いいのよフィル。さすがに野宿は可哀想すぎるでしょ」
「良かったな海斗。杏奈様に感謝することだな」
泊めるのはお前じゃないくせに偉そうだな。
まあいい。泊まれるのだ。文句は無いさ。
――夜。
俺は大事なことを忘れてた。
食事!!
「今日ぐらい我慢しなよ」
「無理だ無理だ。腹が減って眠れねえ」
こうして俺はこの宿で一日を明かすことになった。