第三話「ワープゾーン」
「ねえ海斗、起きて」
「…………」
「起きてってば!」
「…………」
「起きろ!!」
「グハッ!?」
俺は腹部に激痛を感じつつ目を覚ました。
「おはよう海斗」
目の前には安奈がいた。
安奈はニッコリとしている。
とても人の腹に肘打ちをした後の顔だとは思えない。
「お、おはよう安奈」
「安奈様、こんなやつほっとけばいいのに」
ん? 他に誰かいるのか?
「フィル。一応海斗もこの世界に巻き込まれた被害者なんだからほっとくわけにはいかないよ」
フィル?
ああ! あの渋い声が最後に言ったサポート役というやつか。
しかし失礼だな。ほっとけとは。
「安奈様がそう仰るのなら構いませんが」
俺は視線を移してフィルの方を向く。
「な!?」
そこには小さい獣が宙を浮いている姿が写っていた。
その獣は猫みたいな顔をしていて、その上小さな翼が生えており、その翼をパタパタと動かして中に浮いてるようだ。
「何を驚いている」
そりゃ驚くだろ。
さすがファンタジーというわけか。
「さて、安奈様、出発しましょう。私に付いてきてください」
「分かったわ。海斗も行くわよ」
「お、おう」
安奈やフィルに気を取られていてよく見てなかったが、目の前には平原が広がっている。
建物何一つない綺麗な平原だ。
この調子だと結構歩くことになりそうだが大丈夫か?
「フィル。私たちはどこまで歩けばいいかしら」
安奈が的を得る質問をする。
ナイス安奈!
「すぐそこに次の街へワープ出来るゾーンがあります」
さすがファンタジー。
魔王とかワープゾーンとか聞いたことがない言語がどんどん出てくる。
俺たちはワープゾーンというところまで歩くことになった。
――
歩くこと数時間。
「おいフィル。ワープゾーンはまだなのか?」
「喋るな犯罪者」
おいおい、俺の扱い雑すぎやしないか。
「フィル。私からも聞かせて。ワープゾーンまでは後どれくらいなの?」
「あ、見えてきました。ワープゾーンです。もう少し歩いてみてください」
俺たちはフィルに言われたとおりに歩いていった。
「わあ、綺麗」
安奈が感嘆の声を上げる。
そりゃそうだ。目の前には綺麗に光る丸い穴があるからだ。
これがワープゾーンというやつか。
「さあ、安奈様お入りください」
「ありがとう。早速入るわね」
安奈はワープゾーンへ入っていった。
「すげえ」
さすがファンタジー。ワープゾーンの中に入った安奈は一瞬にして消えていった。
「さて、俺も入るか」
俺もワープゾーンへ入ることにした。
「あれ?」
俺の想定通りの展開なら、今頃街の中のはず。
それが。
「ああ、犯罪者君は僕の次だね」
どういうことだ?
そんなことより。
「俺は海斗という立派な名前があるんだ。犯罪者呼ばわりは失礼にもほどがある」
「はいはい分かったよ。海斗は僕の次ね」
「さっきから僕の次僕の次ってどういうことだ?」
「知らないの? このワープゾーン。人一人入ると一時間の間機能しないんだよ」
……え?




