第二十五話「汝の罪」
目的地まではそう遠くはなかった。
この世界はワープゾーンというものがあるから、案外早く辿り着いたのだ。
「ここがアリシア遺跡といって魔王が封印されてることで有名な遺跡です」
俺たちは遺跡の奥へと進む。
「くぎゃあああああおおおお!!」
遺跡の中では魔物たちが待機している様子だ。
って。
「イライア。魔物が出るとは聞いていないんだが」
「仕方ないじゃないですか。僕も来るのは初めてなんですよ」
魔物たちを片付けながら進む必要が出てきたというわけか。
「安心しろ。ここら辺の魔物は見た感じ雑魚に部類する。油断しなければ大丈夫なはずだ」
タラクスが俺たちを鼓舞する。
俺たちはその鼓舞のおかげか。順調に魔物たちを倒して奥へ進むことが出来た。
「ここがアリシア遺跡の奥か。さすが魔王が眠ってるだけあって、広いなあ」
「それよりも本当にもういいんですか? 魔王を倒せば貴方方はこの世界にはいられません。本当に」
「俺は大丈夫だ。安奈もいいか?」
「そうね。お別れ会はもう済ませたもの。十分よ」
「それじゃあ。魔王を復活させる。安奈。イライアから教えてもらったように魔王復活の儀式をしてくれ」
安奈は魔王復活の儀式を始める。
魔王は水晶に閉じ込まれていて、生贄と呼ばれる人間が、呪文を唱えて水晶に触れることで魔王が復活する。実は呪文を唱えなくても生贄である人間が水晶に触れれば魔王は復活するらしいのだが、呪文を唱えながら触れることで魔王を弱体化して復活させることが出来るらしいのだ。
「アリーシアスレイミホルティジオ」
安奈が呪文を唱えながら水晶に触れる。
儀式も終わりに近づいた。
「魔王よ。復活せよ」
安奈のその言葉が終わった瞬間。水晶が光を放ちだした。
眩しい。
「皆。大丈夫か?」
やっと視界が見えてきた。
「私は大丈夫。だけど」
どうやらイライアとタラクスは気絶しているみたいだ。
それよりも異様な殺気。まさか。
「海斗! 上!」
安奈の言葉を聞いた俺はすぐにそれに対処した。
鞘から剣を抜き魔王の上からの攻撃を受け止める。
「魔王か。俺は負けないぜ」
さあ来い。お前を倒せば俺たちは? あれ? 感覚が。
「汝の罪を思い出せ」
俺の意識は遠のいた。




