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この世界は機械に犯されました【ボツ、打ち切り】1/5

連載用に書いていたけれど、ボツにしたのでここ送りに。

打ち切りなので途中で終わります。



サブタイトル:機械が怖い男と妹

 金がないなら仕事をすればいい。

 しかしその仕事がない。

 本来ならばほぼ詰みの状況であるが、今は違う。

 2年前から誰でも出来る、ある手段があった。

 しかし、それは本当の意味での誰でもではなくて……。




 街に点在する、ATMのような端末。メニューのアーティファクト。

 その自分のステータスが見れる不思議な機械の前でおれはため息を吐いた。


 ――【阿僧祇 京】Lv.1――


 そのモニタに表示された数字は1。

 未経験を意味するレベル1だ。


 既にわかっていたことだが、筋トレをした所でレベルとやらは上がらないようだ。

 レベルを上げてから初戦闘とか出来たら良かったんだが、そうもいかないらしい。

 やはり恩恵なしにモンスターを倒すしかないのか。


 俗に言うモンスター。

 機械。メカ。ロボット。


 この世界の改変が起こってから2年。

 都市と都市の間に謎の土地――フィールドが発生し、ついでにモンスターも発生して既に2年。

 物理法則は信用を失い、多くの大人たちは職を失い、親は失踪した。


 ――なんでこんなゲームのような世界になってしまったのか。


 風のうわさではどこかの誰かが神様に頼んだらこうなってしまったらしい。

 なんてはた迷惑な。


 親も、親だ。

 旅行に行くといって家を出たっきり。

 世界改変に巻き込まれてしまい、行方不明になってしまった。

 いや、行方不明とはまた違うか。

 まあ、なんでもいいけど親は帰ってこない。


 だからまだ18歳のおれと、妹の二人きりの生活。


 おれもここで高校を無事卒業したが、就職も進学もできなかった。

 つまり、都市からおれの分の補助金はもう出ない。

 さらに言うとバイトも見つからなかった。


 そうなると残された手段はフィールドに出てモンスターを狩るのだけれど。


 いやさ、人間相手の喧嘩位ならおれだってしたことはあるが、モンスターと戦うのは抵抗がある。

 あんな金属の塊となんて、いやだ。


 でも、生きていくためには戦うしかない。

 あるいはなんとか仕事を見つけるか。


 ただ、世界改変で職を失いまくった年配が多く、バイトですら倍率がすごい。

 しかもご年配はモンスターなんて狩れないから、ご年配優先で。

 そうなると、もうおれみたいなのは職にありつくのも大変な訳で。

 生きるためには金が必要な訳で。


 おれは重たい足取りでアーティファクトを後にした。



◆◆◆



「狩り、やろうよ。みんなやってるよ?」


 畳の上に寝転がり、なんかの本を読みながら、妹の那由はごく簡単そうに言い放った。


「そうは言うけどな」


 怖いんですよ、おれは。

 モンスターが。この混乱した世界が。


 市町村はフィールドによって引き離され。

 それによって都市間の移動はかなり制限された。

 通信もなぜかほとんどが死んだ。

 インターネットなんて全滅だ。


 理由はわからないし、政府とかの上層部がどうなってるのかもわからないが、今の一般人に使えるのは電話位だ。

 その電話だって割りと最近復旧したばかりだ。


 余計な土地が増えたのだから、地球の大きさも変わっているかもしれない。

 なのに重力とかに変化はなさそうで、今は学者たちが精一杯調べたり計算し直しているらしい。

 質量保存の法則とかどうなってるんだろう。


「いっそ家を売って、アパートにでも暮らすか」


 家を生贄にお金を上級召喚。みたいな。


「そんなにお金ないの?」


「いや、まだ多少の蓄えはあるけど」


 そんな切羽詰ってたら怖いとか言わずにモンスター退治もするよ。

 おれだけならまだしも妹もいるし。


「おうちがなくなっちゃうと、おかーさん達帰ってきたとき困るよ?」


「それもそうだな。それに、この家なら家賃とかもかからないし」


「あたし、このおうち好き」


「おれもだ」


 結局、おれも妹もこの家が好きだった。



 ――子供の頃。

 友達はこの家を旅館みたいだ、と言った。


 木造で、広くて、部屋数もあって。

 でも和室ばっかりで。

 縁側なんてものもあって。

 大きいけど古めかしい、なんか由緒正しそうな感じが漂うそんな家。

 表札も阿僧祇(あそうぎ)なんて仰々しい漢字をしている。


 その昔。この古めかしい家には妹と、両親と、祖父母と、おれの6人が住んでいて結構賑やかだった。

 夏なんかになると縁側でスイカを食べて、種を庭に撒き散らし、皮を軒下に放り投げてはじーちゃんに叱られる。

 畑を荒らしては怒られる。畳に釘をぶっ刺してはばーちゃんにぶん投げられる。

 そういうのが楽しかった。


 そうそう、この家の裏には小さいけれど畑がある。

 じーちゃんが逝ってからは放置されっぱなしになってしまったが。


 おれも妹も平成生まれのシティボーイ&ガールには畑仕事なんて荷が重かった。

 両親にも荷が重かった。


 それが今となっては少しもったいない。

 ――とは思うが、今更荒れた畑を再生しようなんて気は起きない。

 それにやり方もよくわからないし。


「それならモンスターを狩るわ」


 でも、やだな。

 叩かれたら痛いんだろうな。

 聞いた話じゃ大したことないらしいけど。


 おれ、金属バットとかで殴られたこととかあるから、金属の恐ろしさは身にしみてるんだ。

 金属アレルギーっていうかトラウマだ。


「やるの?」


「嫌だけど、おれがやらなきゃ誰がやるって感じだし」


「あたし?」


「おい、11歳。無茶言うな」


「へーきへーき」


「いや、へーきじゃないから。なんだ、その自信」


 というか雇ってくれる場所なんかないだろ。

 こんな混乱した世界じゃあ法律も大分あやふやだけど、労働基準法みたいなのはまだあるんだぞ。

 おまわりさんにコラってされるぞ。


「おにーちゃんには頑張ってほしいけど、今まで頑張ってくれてたもんね」


「7歳も離れた妹に言われると立つ瀬がないんだが」


「じゃあ、いってくるね」


「話聞けよ」


 言いたいことだけ言い残して、妹は本当に出かけて行った。


 どこに行くというのだろう。

 まさか本当に狩りになんていくわけないし。

 仕事か? いや、それこそないな。

 おそらく遊びに行ったのだろうが、もう時間は3時を過ぎてるし、すぐに帰ってくるだろう。

 門限もあるし。


「ってかあいつ、散らかしっぱなしで出かけやがった」


 まったく。

 いまごろ両親はどこほっつき歩いてるんだか。

 おかげでおれなんかが一時的とはいえ、一家の大黒柱だ。

 妹の面倒も全部おれが見ないといけない。


 両親や祖父母によって大事に育てられた妹は、おれにとってもやはり可愛い妹だ。

 女顔なおれにわりと似て、見た目も良い。

 小学校でもモテるらしい。

 前は無造作に垂れ流しだった髪も、今は小生意気にも横で束ねたりしている。

 サニーサイドアップ……は違う。

 えーっと、ほら、あれ。サイドポニーだ。


 そんな妹の散らかしたものを片付けるついでに部屋も片付ける。

 夕飯を作るには早いし、春休みはやることがないな。

 いや、もう卒業したから休みじゃないんだけど。

 うーん……つまり俺も俗にいうニートになってしまったのか。


 やっぱりなんかしないと。

 そう決心をしつつも、モンスター退治は怖い。




「ただいまー」


 あれ? 早いな。もう帰ってきた。


 時計を見れば、出かけてからまだ10分程度しか経っていない。

 疑問を抱えつつ、とりあえず出迎える。


「おにーちゃん、そこで女の人拾った」


「お願いします。匿ってください。大変なんです。身の危険です」


「だれ?」


 そこには流暢な日本語を喋る、どう見ても外国人風の少女がいた。

 どう見ても厄介事。


 ――ああ、そういえば。

 こんなゲームみたいな世界になって、ゲームみたいな出来事も起こりやすくなったって聞いたな。

 もう、ほんと、やだ。この世界。

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